目が見えなかったら、どうやって目的地まで着くのか
視覚障害には1級から6級までの等級があり、1級が最も重度の視覚障害です。1級は「両眼の視力の和が0.01以下のもの」、6級は「一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超えるもの」となっています。近年では、糖尿病網膜症、緑内障、加齢黄斑変性症などが理由で人生の半ばを過ぎてから視覚に障害を持つ人が増えており、高齢化の影響から、今後その数はますます増えていくことが予想されます。
自動車や自転車に乗れない視覚障害者にとって、目的地まで安全に移動するには、公共交通機関を利用し、歩いていくしかありません。公共機関には、点字ブロックや触地図が設置され、一見すると視覚障害者への配慮が進んできたように思われます。
しかし実際の視覚障害者の方からは、
・施設ごとに設備の表示形式が異なっていた
・触地図の場所が分からなかった
・点字ブロックの上に障害物が置かれていた
など、困難は多く、その場所やケースごとに、障害のある人に寄り添ってサポートしていく必要があります。
これ以上駅ホームでの転落事故を起こさないために
2017年1月にJR京浜東北線蕨駅で盲導犬を連れた全盲の男性が、電車の側面に接触し死亡した事故がありました。駅には点字ブロックはあったものの転落や接触を防ぐホームドアはありませんでした。
駅利用者のうち、転落や転落に繋がる危険な思いをした経験のある人は、一般利用者では4%ですが、視覚障害者の場合にはなんと36.5%が実際に転落を経験し、65%が転落しそうになったと答えています。その事故防止策として、有効とされているのは、ホームドアです。
障害者が安全に移動できる駅づくりを
埼玉県内のホームドア設置状況は11駅にとどまっており、作業の進捗は芳しくありません。
利用者が10万人以上の駅を優先するという国の設置基準もあり、沢山の視覚障害者が利用するにもかかわらず、埼玉県立盲学校の最寄り駅である、JR川越駅には、ホームドアの設置がなされていません。
川越市に住む視覚障害者の平野力三さんは「JR川越駅は利用者が10万人に満たないが、県立盲学校の最寄り駅で生徒が何度もホームに転落している」と指摘しています。
国の設置基準に満たない駅でも、視覚障害者の利用実態などを踏まえ、一刻も早いホームドアの設置が求められます。効率優先ではなく、障害者の権利や安全を守る駅の整備が必要です。