児童虐待の通告が急増!児相の対応も限界に…

知ってほしい 1週間に1人が命を落とすこと
 すべての子どもたちは、健康に生まれ、十分な栄養や愛情を受け、守られて育つ権利を持っています。一方で、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト(養育放棄)といった虐待行為が、子育てと表裏一体に存在しています。

 育児不安や精神不安などの親の原因はもとより、経済的不安や不安定な夫婦関係など、様々な原因が重なって児童虐待が起こされ、自動相談所における児童虐待相談対応件数は24年間で約80倍まで増加しています。2017年上半期には、児童相談所に通告された子どもの数が初めて3万人を超えました。今、虐待による死亡事件例は年間50件を超え、1週間に1人の子どもが虐待によって命を落としています。

虐待するまで追い込まれないように
 子どもの虐待の原因は様々ですが、大半の虐待する親は、悩み苦しみ続けた結果、子どもを虐待してしまっているという現状があります。また、ひとたび虐待しているとみられた親は周囲から敬遠され、一層社会から孤立し、さらなる虐待に繋がっていきます。
 子どもたちを虐待から救うためには、虐待してしまう親にまで遡って相談を受けるなどのケアをしていかなければなりません。

虐待事件は未然に防げた?
 全国に広がっている虐待は、埼玉県でも同様に発生しており、2016年1月には、狭山市のマンションで両親から日常的に虐待を受けていた3歳の女児が顔にやけどを負って死亡した事件がありました。
 事件前の2015年6月と7月に、県警狭山署の職員が、県民から虐待を疑う通報を受けて、内縁の夫と母親の家庭を訪問していたのにも関わらず、その際の情報が挟山市保健センターや所沢児童相談所に共有されていませんでした。もし、その際の情報が、正しく関係機関と共有され、対策がなされていれば、事件は未然に防げていたかもしれません。
 挟山市要保護児童対策議会では、「署が虐待の疑いがないと判断した場合も市に情報提供する」という新基準が設けられましたが、挟山市の保健センターの保健師の受け持ち件数は
全国平均を大幅に上回ったままです。一回に80件もの案件を抱え、1件につき3分程度しか時間を取れない体制で、児童虐待の防止まで手が回らない現実があります。所沢児相の体制を充実させ、保健センターとの連携の強化が求められます。
悲しい事件が繰り返されないよう、児童虐待の窓口となる児童相談所を拡充し、虐待を早期発見できる体制を県としても整えることが望まれます。