私たちの生活を守る、火災の予防

生活の基本は、何と言っても住宅。

大切な家族とともに、毎日穏やかな気持ちで充実した生活を送りたいものです。

 

そんな人々にとって欠かせない住居ですが、建物火災による死者数のうち、住宅火災による死者数は全体の69.5%にものぼります。日々の生活の中で、火災が起きたとしても安全に対処できるよう、火災の発生原因を知り、予防などの対応策を知っていくことは、自分の命と生活を守ることでもあります。

 

消防庁や各自治体の消防署には、発生した火災に対応するだけでなく、火災を防ぐための「予防課」が設置されています。予防課の仕事は、火災を防ぐ最大の方法として「火を出さない」ことを目的に、事業所について、消防計画の作成や訓練の実施、火気の使用・取扱いの監督、消防用設備等の点検などの防火管理制度を企画・立案しています。

また、毎年春と秋に『火災予防運動』を実施するなど、火災予防思想の普及啓発を行うとともに、火気使用器具などからの出火防止のための防火安全対策についても、指導を行っています。

 

起きてしまった火事への対処だけでなく、火事は未然に防ぐことが肝心です。

 

大規模火災からの教訓を予防に活かすために

三芳町の通販会社アスクルの物流倉庫で2017年2月16日に起きた火災は、床面積4万5千㎡を焼き、鎮圧までに6日、鎮火まで12日を要しました。総務省によれば、床面積1万平方メートル以上の建築物の火災は、過去10年間に2件、いずれも1、2日で消火に至っており、アスクル火災は、例をみない大規模火災となりました。

日本立地総覧によると、2013年~2014年に建設・計画された首都圏の床面積1万平方メートル以上の物流施設は、225件が操業、193件が着工しました。

最新の法令に従って建てられた倉庫も、予測不能の原因で火事に見舞われています。出火原因と建物の因果関係など、まだ不明点の多い火災ですが、起こってしまった事故を教訓に、より堅実な防火体制を築いていかなければなりません。

 

埼玉県の「予防」担当の現状は?

 防火、消火と、その安全管理を担っている消防職員ですが、埼玉県では消防職員の充足率が82.7%、救急車92%と必要数を満たしていない状況にあります。また、職員全体の充足率が82%であっても、担当部門別にみれば予防担当職員の充足率は地域によっては40%台という極めて低い状態が生まれています。

アスクルの火災事故も、その運営に携わる人間が、“正しい予防知識”をもち、日常的な消火訓練を受けていれば、事故は防げたかもしれません。私たちの暮らしを火事から守るためにも、その“正しい予防知識”を普及する、消防職員の中でも「予防」に携わる職員の強化が求められています。

 

安心して生活できるよう、消防職員に頼るだけでなく、まずは自らの身の回りの環境に注意し、最新の予防知識を積極的に取り入れるなどして、火事を予防していきたいものですね。