“オスプレイ問題”について考える①~本当に「オスプレイ」は危険か?~

2016年末に、沖縄普天間基地所属のオスプレイが、沖縄北部の沿岸に墜落しました。民家に近いところに不時着したため、一歩間違えれば民間の日本人も巻き込まれていたかもしれない重大事件でした。
この事故は大きくニュースに取り上げられ、「オスプレイは危ない」という認識を強烈に印象づけることとなりました。

そして、沖縄よりもさらに人口が密集する市街地にある、米軍横田基地に隣接する埼玉県も、決して他人事ではありません。横田基地では2017年秋からオスプレイが配備されることが決まっており(現在は延期が決定)、日米合同訓練などで、埼玉上空を飛行したりしています。

では、本当に「オスプレイ」は危ないのでしょうか。
今さら聞けない「オスプレイ問題」について、考えてみたいと思います。

≪オスプレイの危険① クラスA事故率が3年で約2倍に上昇≫

アメリカの海兵隊が運用する航空機事故の中で、高額な損害か、人身に死亡または同等の障害が残る状況が起きたものを「クラスA」と分類されます。
その基準に照らした際、オスプレイの10万飛行時間あたりのクラスA事故率は、2012年時点では年間1.93件であったものが、2015年時点では3.69件と、約2倍にまで上昇しています。

さらに、オスプレイの2012年~2016年(9月末時点)までの平均事故率は3.44件で、同期間のオスプレイ以外の海兵隊航空機全体の平均事故率2.83件より、大幅に上回っています。

オスプレイは飛行機とプロペラ機を融合したような機体で、普通の航空機に比べて飛行技術が難しいため、事故のほとんどが人的ミスであると言われています。
しかし、昨年12月の沖縄県での事故原因については、「日米地位協定※」が結ばれているので、事故機を日本の警察などが捜査することはできず、本当のことはわかりません。
アメリカ側からは詳しい説明もないため、欠陥を隠蔽されているのでは、という見方もあり、オスプレイの機体自体の安全性も疑問視されている状況です。

※日米地位協定…日本での米軍兵士が起こした犯罪や事故について、仕事中や基地内で起こったものについては、アメリカの法律が適用され、アメリカが捜査を行う、という協定。

≪オスプレイの危険② 飛行ルートが明確に開示されていない≫

今年3月、日本とアメリカの合同訓練が行われた際、オスプレイが横田基地に飛来すること、埼玉上空を訓練で飛行することなどが公表されていましたが、その具体的な飛行ルートや訓練内容までは、開示されていません。
訓練期間は約10日間でしたが、その期間のいつ、自身の住んでいる地域の上空を飛行するのかがわからないため、不安な思いをしながらやり過ごすしかないのが現状です。

埼玉県から国に対して、正確で素早い情報提供を求めてはいるものの、「国の防衛政策」という重要な情報を公表にするのは、対外国からの防衛を考えると危ない、ということからすべての開示には至っていません。

ここまで見ていくと、確かに大きな危険性を伴って、軍事訓練が行われていることがわかりますね。
県民としては見過ごせない重大な問題です。
しかし、“オスプレイ問題”は、これだけにとどまりません。

米軍基地が地域経済を脅かす問題について、次の記事でお伝えします。

「“オスプレイ問題”について考える②~地域経済の発展を阻害?!