少子化の中にあっても、学校が抱える教育課題は急増
社会を取り巻く環境が多様化・複雑化していることを背景に、児童の貧困や個別指導が必要な外国人の増加など、学校が抱える教育課題は急増しています。
そんな中、教育現場では、教員や支援職員等の不足が指摘されています。
一方で、厳しい財政事情が続く中、教育関係予算を縮減するために、教員の数および給与を抑え、非正規教員を増やす自治体が広がっています。
その結果、非正規教員は、その数及び教員総数に占める割合とも近年増加しており、日本の教職員全体の16.1%にも上っています。
埼玉県の「正規採用教員」と「臨時的任用教員」の格差
埼玉県の臨時教員の募集要項によれば、任用期間は6ヶ月を超えない期間であり、1回の更新を含めても1年間以内に限られ、再度更新することはできないこととされています。
しかし実際には、年度末の1日程度の空白をもうけて、連続的に雇用され続けている実態があります。毎年毎年赴任先が変わり、決まるのもギリギリ、再任用されるかどうかもギリギリにならないとわからないという状況は、教員本人だけでなく、特に障害をもった生徒などにとっても大きな不安となります。
生徒や保護者の立場からすれば、正規採用と臨時採用にかかわらず、教員は同じ責任を負っています。同一労働同一賃金の原則に則り、待遇の格差をなくし、教員が同一校で落ち着いて勤務することが、教員だけでなく、生徒及び保護者からも求められます。
定数に対する正規教員の割合が、首都圏最低の埼玉県
埼玉県の定数に対する正規教員の割合は88.4%。
東京都は101.9%、千葉県94.5%、神奈川県93.5%で推移している中で、埼玉県の臨時的任用教員率が高いことが明らかです。
それは、学校を取り巻く環境が大きく変わっているにもかかわらず、教職員定数の基準をそのままにして、退職補充などを臨時的任用教員で補うことに頼ってきたことに原因があります。非正規教員の割合が過度に大きくなることは、学校運営面や教育内容の質の維持・向上の面で問題であり、増加する臨時的任用教員を減らしていくことが必要です。