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政策・提案

県立小児医療センターの現地での存続を求める申し入れ
2011年12月15日
埼玉県知事
 上田清司 様
日本共産党埼玉県議会議員団
団長 柳下礼子

県立小児医療センターの現地での存続を求める申し入れ

 6月に知事は県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)のさいたま新都心8−1A街区への移転計画を発表しました。耐震性に欠ける県立小児医療センターとさいたま赤十字病院と併せて同街区に移転させ、総合周産期母子医療センターや高度救命救急センターの機能を付加するというものです。
 しかし同センターの移転には大きな問題があります。 
 第一は、センター周辺医療圏の周産期・小児医療体制に大きな空白が生まれることです。埼玉県の医療圏の中で県立小児医療センターがある東部北・利根・中央地区はとりわけ医療体制の脆弱な地域です。人口当たりの医師数だけみても遅れがありますが、周産期医療機関が1施設もなく、第3次救命救急センターもないというように施設面でも他地域に比べ遅れています。小児2次救急医療体制も春日部市立病院の小児科の閉鎖、中央医療圏の長年の輪番の不確立にみられるように脆弱です。人的にも施設的にも非常に乏しいこの地域の医療体制のうち周産期と小児部門を、高度医療機関である県立小児医療センターが長年にわたって補ってきました。その貴重な施設を、わずか数年で同地域から移転させてしまうことは、地元の実情を無視するものであり認められません。現在、蓮田市議会や県議会に4万5千筆を超える請願署名が提出され、伊奈町でも存続を求める署名が取り組まれています。
 第二に、同センターの患者や家族に大きな負担を強いることになるからです。長期に同センターに通院している難病患者の家族は、同センターの周辺に引っ越して定住しています。難病患者の多くは人工呼吸器や経管栄養など医療機器とともに移動せざるを得ず、電車での通院は不可能です。渋滞が予測される新都心への自動車での通院に患者の保護者は大きな不安を抱いています。
 県南部に移転することによって、都内を含めて広範囲から難病患者が集中する可能性もあり、今でも半年まちの受診予約がさらに困難になる可能性もあります。
 第三に、さいたま新都心では小児医療機関として十分な医療・教育環境を保障できないことです。新都心の8−1A街区は2万4千平米にすぎず、この土地に2病院、1特別支援学校を建設する場合、高層化が不可欠であり、特別支援学校のプールや農園など必要な機能を併設するのは無理があります。まして総合周産期母子医療センターなど高度な機能を付加するとなれば、現状の機能より後退する部分が出てくることは必至です。十分な駐車場の確保も困難です。
 第四に、異なる経営体が共同して総合周産期母子医療センターを運営している例は全国的にはなく、責任・管理体制の複雑化が危惧されることです。
 第五に、さいたま新都心への移転計画は、病院や学校関係者、患者の家族、周辺自治体などへの説明もないまま唐突に知事サイドから出されたもので、まず新都心の開発を最優先したものです。本来ならば、現在同センターを利用している患者やその家族の意向や医療従事者の意見などを十分聞いたうえで計画に移す問題ですが、こうした手続きを踏まないままトップダウンで計画を強行することは手続き上も許されません。
 以上の理由から、党県議団は現在の県立小児医療センターの移転計画を以下の点で見直すことを強く申し入れます。


一、県立小児医療センターのさいたま新都心への移転問題については、現在地での建て替えを原則とし、万一移転する場合も周辺地域とすること。その際、現在、同センターが中央・東部医療圏などで担っている小児2次救急医療を当面、継続できるようにすること。
一、県立小児医療センターの建て替えにあたっては、病院関係者や学校関係者、センターを利用する患者家族、周辺自治体関係者、有識者などで構成する検討協議会を設置し、県民的な合意と納得のもとに計画を策定し推進すること。
一、総合周産期母子医療センターについては、さいたま赤十字病院の新都心への移転と同時に、新都心に整備できるよう県として財政面や医師確保などの面で全面的にバックアップすること。
一、今回の問題は、人口比で全国最低水準にある本県の深刻な医師数を背景にした病院の不足に起因している。県は医師確保対策に本腰を入れ、埼玉県立大学への医学部の設置など抜本的な対策を計画的に推進すること。
以上

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