教育委員会制度改悪は認められないー知事提出議案反対討論
3月13日に柳下礼子県議が行なった知事提出議案に対する反対討論をご紹介します。
私は日本共産党を代表して第22号議案、第24号議案、第26号議案、第30号議案ないし第32号議案、第36号議案、第38号議案、第39号議案、第49号議案、第50号議案、第53号議案に対する反対討論を行ないます。
青少年総合野外活動センターは使用継続を
はじめに第22号議案「埼玉県職員定数条例の一部を改正する条例」については県立小児医療センター移転を促進するものであり反対です。第24号議案「知事等の期末手当等の特例に関する条例の一部を改正する条例」は、知事の手当減額はともかく、行政委員までの減額には賛成できません。
次に第26号議案「埼玉県青少年総合野外活動センター条例を廃止する条例」についてです。キャンプなど自然の中での体験は子どもたちにとってはいうまでもなく、若い保護者たちにも貴重な経験です。老朽化したとはいえ、野外活動センターは指定管理者の努力で年々利用者が増加しており、県民の福利厚生とともに、秩父市の観光に寄与しております。改修して使用を継続すべきと考えます。
要支援高齢者介護、市町村事業へーー憲法25条否定につながる
第30号議案「介護保険法施行条例の一部を改正する条例」は、国の介護保険法の改悪に伴い条例の一部を改訂するものです。
要支援者向けの訪問介護と通所介護は、介護保険サービスから外され、市町村が行う総合事業に移され、ボランティアなどの多様な担い手が行うとされました。このことに対して関係者はもとより、県民の怒りが広がっております。要支援者は決して軽度者ではありません。高齢者の細やかな変化に気づき、重症化を防ぐ、尊厳をもった自立した生き方を支援するヘルパーは専門的な役割をもっています。介護保険創設当初の介護の社会化という理想を投げ捨て、憲法25条の否定につながる本議案には反対です。
第31号議案「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行条例の一部を改正する条例」と第32号議案「児童福祉法施行条例の一部を改正する条例」については関連しているので一括して討論します。これによって指定看護小規模多機能型介護事業所で高齢者と共に、身体・知的障害児・障害者を一緒に介護することが可能になります。委員会審議の中でも医療の必要な障害者や重複障害者の介助は専門性が必要であることが明らかとなっており、研修程度ですますことは許されません。今必要なのは障害児者の施設の建設であり、高齢者の介護施設に入れようとするやり方は人権無視といえます。よって反対です。
首長任命の教育長支配の教育委員会に
第36号議案「埼玉県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例」と第38号議案「行政委員会の委員及び監査委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」と第39号議案「埼玉県教育委員会委員の定数を定める条例の一部を改正する条例」については関連しておりますので一括して討論します。
これらは「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」いわゆる「教育委員会制度改悪法」の施行に伴い条例の整備を行なうものです。教育政策の大本となる大綱の決定権を首長に与え、教育委員長を廃止し、教育長の任命権も首長に与えます。これは教育委員会と教育長との関係を逆転させ、教育委員会を首長任命の教育長の支配下におくものです。
もともと教育委員会は、終戦直後に、「お国のために血を流せ」と子どもたちに教えた戦前の中央集権型の教育行政を改め、教育の自主性を守るため教育行政を首長から独立させたものです。
その後公選制が廃止され、教育委員会の形骸化はすすんでしまいましたが、それでも、大阪市橋下市長が違法な職員の思想調査を行なおうとしたとき、市教委が否決をして教育現場が守られたというような事例もあります。この教育委員会の「首長からの独立性」をとりあげることは許せません。
現場を萎縮させる政治介入は許せない
安倍政権による侵略戦争美化・「戦争できる国づくり」のための教育への介入が進められていますが、本県においても、議会による教育現場への政治的介入が乱暴に行なわれています。この条例改悪によって、国・県議会・知事三位一体の政治的介入が強化されることが懸念されます。
教育は、教員と子どもとの人間的なふれあいを通じて行なわれるもので、そのためには教員の自由や自主性が欠かせません。だからこそ、憲法は政治権力による教育内容への介入・支配は厳しく戒められているのです。したがって、教育行政の自主性を損ない、現場を萎縮させる本条例案に反対するものです。
地方を疲弊させる地方創世
第49号議案「荒川左岸南部流域下水道の維持管理に要する経費の関係5市の負担額について」と第50号議案「中川流域下水道の維持管理に要する経費の関係15市町の負担額について」は関係市町の負担増となることから賛成できません。
最後に、第53号議案「平成26年度埼玉県一般会計補正予算」についてですが、これは国の地方創生関連法と緊急経済対策予算に基づくものです。個々の内容には共感できるものもありますが、大きな視点で国の地方創生と経済対策には賛成できません。
本補正では「まち・ひと・しごと」創生総合戦略の策定などが盛り込まれていますが、安倍内閣のいう地方創生は、人口減少への危機感をあおり、公共サービスを整理、統廃合し、民間投資の活用をすすめるものです。農地転用など規制緩和を促進し、社会保障分野では地域医療機関の再編縮小を進め、医療、介護の制度から利用者を追い出そうとしているものであります。こうした地方創生には賛成できません。よって第53号議案には反対します。
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