県議会4月臨時会で可決された県立小児医療センター建設費の補正予算について
2014年4月16日
日本共産党埼玉県議会議員団
団長 柳下 礼子
埼玉県と自民党は県民に説明すべき
今臨時会には、3週間前に議会によって否決された県立小児医療センター建設費の増額予算が、ほとんど金額の変更もなく、もう一度提出された。これに対して定例会で増額否決の修正案を提出した当の自民党が、本会議質疑もなく賛成した。2月定例会で2日にわたって集中審議されても納得できなかった増額をなぜ認めるのか。修正案を提出、可決し、臨時会まで開会したにもかかわらず、今回の自民党の対応は県民には理解しがたい。知事の提案説明では、県内業者の受注機会の確保について述べていたが、このことは福祉保健医療委員会・予算特別委員会質疑、修正案の提案理由等では、まったく触れられていなかった問題である。議長あっせんについて知事の言及があったが、あっせんの詳細含め、自民党と知事は今回の経緯について、明確に説明すべきである。
提出の段階で変更が予定されている補正予算は認められない
本補正予算は、建設資材、労務費の高騰により、杭工事や地下駐車場などを別途発注とした部分42億円と、市内の建設残土搬出地では土質が適合しないことが判明したことによる搬出地の変更による約12億円を病院建設費に上乗せするものである。
しかし知事の提案説明では、別途発注工事42億円について、地下構造の設計変更が行われる見通しである。減額の可能性がはっきりしているのに、補正予算として積算されないのは、許されない。
また、議案では市内の建設残土搬出地を、幸手市、栃木県など5カ所の搬出先に変更している。ところが、提案説明で知事は全く言及しなかったが、基準の2.3倍のヒ素がこの土壌から検出され、汚染の原因もその規模も詳細不明である。この5カ所の搬出先が受け入れるかどうか予断を許さず、搬出先変更の議案を審議している中で、さらに変更が必至となっている。このように積算根拠が崩れている補正予算は認められない。
患者家族や周辺住民との約束は守らず、2年と2カ月にわたって放置してきた
増額補正予算案が否決されてわずか3週間で、全く同じ増額予算を、拙速に提出する一方で、患者家族や周辺自治体住民が望んでいる現在地に残す機能についての検討が、2年2カ月にわたり進んでいない。本会議質疑で、知事は最後まで、専門家任せを貫き、すぐに対応するという決意を表明しなかった。このような不誠実なやり方は認められない。
福祉保健医療常任委員会には付帯決議が可決された。付帯決議の言う「移転に伴うさいたま市岩槻区の現病院の機能保持のあり方について、早急に方向性を示すことをもとめる」という部分には賛成だが、「予算執行に不誠実な状況が見られた」のであり、全く同じ内容の補正予算に賛成はできないと考え反対した。
センターは現在地に存続し、新病院建設計画は見直すべき
本補正によって、新病院の建設費は472億円にもふくれあがる。同時期に同規模の子ども病院の移転建設を計画している兵庫県の病院建設費は207億円で、新都心の病院の43%にしかならない。建設費が高いのは新都心という狭い土地に、むりやり高層建築で小児病院を建設するからである。現在地に総合周産期医療機関を建設するなら、472億円もかけずともすばらしい病院が建設できる。県立小児医療センターは現在地に存続し、新都心の病院計画はさいたま赤十字病院を中心のものに全面見直しを行うべきと考える。
建設費増額は可決されたが、党県議団は、今後も、計画見直しの立場で全力を尽くす決意である。
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