議員提出議案(決議・意見書)に対する反対討論
埼玉県議会9月定例会最終日の10月11日、本会議が開かれて議員提出議案10件が審議され、いずれも可決されました。
議員提出議案のうち、意見書・決議は次の7件です。(かっこ内は提出会派、「共同提出」は日本共産党、自民、民主、公明、刷新)
議第13号 竜巻への対策強化を求める意見書(共同提出)
議第14号 給油所の過疎地問題の解消に関する意見書(共同提出)
議第15号 青少年を有害情報から守るため、青少年インターネット環境整備法の見直しを求める意見書(共同提出)
議第16号 子ども・子育て支援の推進を求める意見書(共同提出)
議第17号 八ッ場ダムの一日も早い完成を求める意見書(自民、民主、公明、刷新)
議第18号 高校日本史教科書採択の再審査を求める決議(自民、刷新)
議第19号 新たな森建設についての執行停止を求める決議(自民)
日本共産党埼玉県議団は17号、18号の2件に反対しました。村岡正嗣県議の本会議討論を紹介します。
日本共産党の村岡正嗣です。日本共産党を代表して、議第17号議案、議第18号議案に対する反対討論をいたします。
議第17号議案「八ッ場ダムの一日も早い完成を求める意見書」についてです。
本意見書案は、近年の局地的豪雨による災害と取水制限を理由に、八ッ場ダムの一刻も早い完成を国に求めるものです。ダムの治水効果は限定的であり、なんの根拠もなくダムが豪雨災害の決定的手段であるかのように決めつける本意見書には賛成できません。
八ッ場ダムの根拠である利根川河川整備基本方針には、群馬県伊勢崎市の八斗島における基本高水流量を2万2千立方メートル毎秒と見積もり、八ッ場ダムのほか十数ものダム群で防ぐとあります。八ッ場ダムひとつの治水効果はごく一部であることがわかります。また、山間地のダムの治水効果は雨の降り方によって大きく変わり、国土交通省も、戦後わが県で大きな被害をだしたキャサリン台風のような災害に、八ッ場ダムは効果がないことを国会の場で認めています。むしろ、局地的に降る今年のような豪雨に対しては、地域の堤防強化が急務です。国土交通省の調査では、川の水位が上昇すると破壊される恐れのある堤防が利根川・江戸川流域各地に確認されております。一刻の猶予もありません。ダムは直ちに中止して、堤防強化予算を抜本的に増額すべきであります。
利水上も、県人口はダムが完成する以前の平成27年をピークに減少しはじめる見込みです。給水量実績は平成12年をピークにすでに減少し続けています。大規模な水源開発はもはや時代遅れであり、八ッ場ダムは、時代とともに治水上も利水上もその意義を失っております。
かけがえのない自然環境とその地域の人々の生活を破壊してまで八ッ場ダムを建設する必要はなく、わが党は「八ッ場ダムの一日も早い中止を求める」ものです。
よって、本意見書案には反対です。
続いて、
議第18号議案「高校日本史教科書採択の再審査を求める決議」についてです。
本決議案は、埼玉県教育委員会が高校日本史教科書について再審査を行い、その権限と責任において採択を行うことを求めるものです。
県議会文教委員会は9月に高校日本史教科書の採択について調査する閉会中審査を開きました。審議のなかでは、教科書検定に合格した日本史教科書の記述の一部や、執筆者の経歴などを問題視し、現場の校長を呼んで教科書選定について質したうえで県教育委員会に教科書採択の再考を繰り返し求めたことは、教育行政の自主性を脅かす不当な政治的介入と言わざるをえません。
子どもたちの人格的成長と学力の向上を保障するためには、学校現場の教師集団が学校の特色や生徒の実情に即して、もっとも最適な教科書を自由に選定できることが大切であります。高校は、小中学校とは異なり、学校ごとに生徒の学習状況も様々であり、生徒の実情に合った教科書を選定した各学校の判断を県教育委員会が尊重したことは、教育上むしろ当然であります。
加えて、各教育委員は教科書採択にむけ、学校訪問と校長ヒアリングにより教科書選定の観点について理解を深め、教科書調査の意見交換、教育委員会における協議を重ねております。今回の教科書採択は十分な討議のうえ、県教育委員会の権限と責任のもと行われたものであり、県議会はその採択結果を尊重すべきであります。
よって、本決議案に反対です。
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