県立高校の日本史教科書、実教出版含め学校選定の通り採択 県教育委員会
埼玉県議会教科書を考える議員連盟(議連)が実教出版の高校日本史教科書の不採択を求める要望書を提出するなかで、埼玉県教育委員会は22日、県立高校・特別支援学校で来年度に使用される教科書について学校選定の通り採択しました。
議連が県教委に政治的圧力
議連の要望書は、国旗掲揚と国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記した実教出版の高校日本史教科書について、「学習指導要領に基づき、国旗掲揚、国家斉唱を指導することは当然であり、『強制』ではなく、『義務』」と指摘。「学習指導要領、県教委の立場に反する」として同教科書の不採択を強く求めていました。
教科書検定に合格した特定の教科書について、一部の記述を問題視してその不採択を求めることは、教科書採択への政治的介入にほかなりません。
議連の圧力に教育委員会がどう対応するかが注目され、マスコミはもちろん一般傍聴に30人の市民が受付をするなど大きな関心が寄せられました。
多面的・多角的な判断力を
会議では、各委員からはグローバル社会のもと、一面的な見方ではなく、多面的・多角的な見方で物事を判断できる力の大切さが口ぐちに強調されました。また、それぞれの教科書の記述を比較でき、国や県の見解や統計などを盛り込み、地理歴史の授業で活用できる「指導資料集」への期待や注文も寄せられました。
そのうえで、県議連の要望について「国旗・国歌を尊重する態度が大切」「現場では国旗・国歌の扱いがどうなっているのか」などの意見・質問が出されました。
県側は「すべての学校で適正に取り扱われている。国旗・国歌への正しい理解と尊重する態度が大切だと考えている」と答えました。
委員の一人である、関根郁夫教育長も「議連の要望の趣旨は重く受け止めたい」と述べました。
しかしながら、教科書採択については「学校の様々な実情にあわせて学校現場で時間をかけて選定したもの。それをしっかり活用してほしい」などの意見もあり、学校が選定した教科書が原案の通り採択されました。
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