平和資料館アドバイザリーボード開かれる 運営協議会に代わる第三者機関が初会議
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平和資料館入口(2013年2月撮影) |
埼玉県平和資料館(東松山市)の運営について専門的見地から助言を受けるための第三者機関「アドバイザリーボード」の初会議が8月7日、東松山市内で開かれました。
運営協議会を廃止、遺族会や平和団体を入れない新組織
平和資料館にはこれまで、展示や教育普及など資料館の事業について必要な事項を協議する「運営協議会」が設置されていました。
県は今年4月から平和資料館に指定管理者制度を導入したことに合わせて館長職を廃止しました。館長の諮問機関と位置づけられていた運営協議会も、館長の廃止で設置根拠がなくなったとして、3月に予定されていた定例会議も開かず、委員の任期が切れる今年6月末をもって廃止してしまいました。一方的な運営協議会の廃止には、県内の平和団体から批判の声があがっています。
アドバイザリーボードの構成員は7人(学識経験者2、教育関係者2、経営関係者2、地元関係者1)で、運営協議会の13人から半分近くに削減されました。運営協議会委員には遺族会、傷痍軍人会、平和団体(平和のための埼玉の戦争展実行委員会、平和資料館を考える会)からも選出されていましたが、アドバイザリーボードからははずされました。「経営の立場から助言を求める」として経営関係者の枠が設けられました。
10月20日リニューアルオープン
会議の中で、現在進められているリニューアル工事の予定が示され、10月20日(日)に開館20周年記念式典を開きリニューアルオープンする日程が報告されました。
エピローグに「国際貢献活動」 内容はいまだに「検討中」
リニューアル工事の内容に関して、常設展示の最後の部分(エピローグ)に「今日の平和を未来につなげるため、一人ひとりが考えることを促す」スペースを作るとの説明がありました。
エピローグの具体的な内容については「現在検討中」としか説明がなく、構成員からエピローグの内容について質問が出ました。県側は「国や県、民間の国際貢献活動について写真パネルを掲示する」と回答。ユネスコや赤十字の活動など、過去に企画展として展示してきたものを参考に検討していると説明しました。
エピローグを含め、展示内容の見直しには広く県民の声を聞き、十分な時間をかけて検討する必要があります。平和資料館の本来の目的に反するような展示にならないよう、県民の監視が必要です。
また、入口から展示室に向かう途中に設置予定の「大壁画」について、世界地図や平和のシンボル、県の花や木(サクラソウ・ケヤキ)などを描いたものになるとのイメージが紹介されました。
入館料無料の提案、メンバーからは危惧の声も
一般100円、大学・高校生50円となっている入館料について、指定管理者が無料にしたいと提案してきたと報告されました。
指定管理者が示した理由は@近隣のこども動物自然公園の利用者や物見山公園の散策者が気軽に立ち寄れるなど、集客力を上げるA利用料収入よりも、利用料を徴収するコストの方が高くつく、の2点です。いずれも経営的な視点からの判断だと言えます。
構成員からは「無料の施設だと、管理の水準が低くなっても利用者からの苦情が出にくくなる。管理水準の低下が利用者の削減を招く悪循環にならないよう注意が必要だ」「無料化されると、見学するつもりのない人も入りやすくなり、資料管理に問題が起こったり見学者の妨害になったりする可能性もある」と、無料化を危惧する声があがりました。
愛称を制定 「なぜ公募しないのか」の声
県側は、平和資料館の英語表記をもとにした愛称「埼玉ピースミュージアム」を制定し、普及広報に活用したいと報告しました。
構成員からは「正式名称よりも長い」「『平和資料館』のほうがなじんでいる」という意見や、「なぜ愛称を公募しないのか」という疑問があがりました。
県側は「10月20日のリニューアルオープンと同時に愛称を打ち出したいから」と公募しない理由を説明しましたが、構成員からは「公募すればそれ自体が広報の意味を持つのではないか」という声も出ました。
開始後30分間傍聴者入場できず
会議は午後1時半から始まりましたが、傍聴者は午後2時近くまで会場の外で待たされました。受付の担当者に理由を聞いても十分な説明がなく、傍聴者から不満の声があがりました。
傍聴者が入場すると、まず県側から「発言は一切しないこと」などの傍聴者の守るべき事項の説明がありました。傍聴のルールについての文書が傍聴者の手元に届けられているにもかかわらず、わざわざ全て読み上げて説明する念の入れようでした。
県側は会議終了後、傍聴者の求めに応じて、傍聴者の入場が遅くなった理由を説明しました。県側の説明によると、新メンバーに対する説明や、座長の選出やなどの手続きに想定以上の時間がかかり、傍聴者の入場手続きが遅れたとのことでした。
あらかじめ「傍聴者の入場までに時間がかかる」と公表しておくとか、会議の進行状況を途中で説明すれば、外で待つ傍聴者の不満はある程度緩和されたはずです。傍聴者に対する丁寧な対応が、県側には求められます。
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