埼玉県議会12月定例会は最終日の12月21日、本会議を開いて各議案を採決しました。
日本共産党を代表して村岡正嗣県議が知事提出議案についての反対討論をしました。以下、全文です。
私は日本共産党を代表して知事提出議案、第102号議案、第103号議案、第107号議案、第109号議案、第116号議案、第117号議案、および第149号議案について反対の立場から討論を行います。
私立幼稚園父母負担軽減の一般補助廃止は子育て支援を後退させる
県立小児医療センター移転前提の土地鑑定評価費支出
県内被災者への県独自の財政支援なし −−2011年度決算県決算認定
●まず第102号議案「平成23年度埼玉県の一般会計及び特別会計決算の認定について」ですが、
第1に、私立幼稚園父母負担軽減金のうち、これまで全員を対象に年額4000円を補助していた「一般補助」を廃止したことは問題です。平成22年度には予算約5億1500万円、対象者約11万人だったものを、平成23年度には家計急変世帯への補助のみとし、予算約1億2500万円、対象者757人へと激減させたことは、子育て支援を後退させるものです。今、若い世代では不安定雇用の広がりなどで、幼稚園児を持つ家庭の所得は大きく減っています。月に2万円から3万円の保育料に加え、預かり保育料、園バスや制服代など負担は重く、軽減して欲しいという願いは切実です。一刻も早く一般補助を復活すべきです。
第2は、県立小児医療センターの移転を前提として「さいたま新都心医療拠点整備土地鑑定評価費」約243万円を支出したことです。この問題では、岩槻区から4万筆以上の署名が県議会に、患者家族会からは9万筆以上の現地存続を求める署名が県に提出され、加えて、さいたま市議会を含む6自治体の議会から意見書があげられたことは、県民の理解を得ぬまま拙速に進めてきた結果と指摘せざるを得ません。計画は撤回すべきです。
第3は、八ッ場ダム事業費として、約5億4539万円が執行されたことです。
第4は、人口比で全国1少ない職員数をさらに170人も削減したことです。職員のメンタル面での病休は増加の一途で長時間残業も常態化しています。職員体制を充実させ過重労働の解消こそ必要です。
第5に、東日本大震災によって本県でも液状化被害をはじめ深刻な被害が発生しましたが、こうした被災者に対して県独自の財政支援を一切行わなかったことです。私は昨年9月の一般質問において、久喜市南栗橋での液状化被害は県内最大の震災であり、県としての財政支援を求めましたが知事は拒否しました。誠に残念であり遺憾です。
以上を主な理由として第102号議案には反対です。
●第103号議案については、水道用水供給事業会計決算で、八ッ場ダム関連予算31億1194万円、病院事業会計決算で県立小児医療センター移転関連予算約2619万円が執行されたことで反対です。
地方消費税の税率引き上げは深刻な影響およぼす
待機児解消を理由に保育所の基準引き下げには賛成できない
●次に第107号議案 埼玉県税条例の一部を改正する条例ですが、これは地方消費税の税率を引き上げるというものです。しかし、現在の深刻なデフレ不況の下で消費税を増税すれば、内需を決定的に冷え込ませ日本経済の底が抜けかねません。
とりわけ、中小企業への打撃は計り知れず、医療・福祉など非営利施設も深刻な影響を受けます。6割の国民は消費税の増税に反対しており本条例案には反対です。
●続いて第109号議案 埼玉県青少年健全育成条例の一部を改正する条例ですが、青少年に入れ墨を施す行為を罰則つきで禁止するというものです。一般社会では「入れ墨」というとまず暴力団関係者とイメージされますし、入れ墨は安易に消すことができません。こうした問題について、特に青少年に広く啓発することは極めて重要なことです。従って、本条例案の趣旨は理解できるところですが、入れ墨の範囲がタトゥーやアイラインや眉毛まで含まれ、外国人まで対象とされ、罰則をもって禁止することなど、これらの点について、審議会や議会において十分に審議が尽くされたとは言い難く、こうした段階で条例化するのは余りに拙速と言えます。医師法では、医師免許を持たないものが業として入れ墨を施すことを禁じております。
法の運用では不十分な点はありますが、まずは、法による取り締まりを徹底することが先決であり、この問題は、引き続いて十分な論議が必要と考えます。
●続いて第116号議案 児童福祉法施行条例は、待機児童の多い川口市、朝霞市で1歳児のほふく室の最低基準を3.3uから2.5uまで縮小し緩和するものです。保育室の広さは、子どもの安全と成長・発達保障の観点から非常に重要な基準であり、待機児童解消を理由に、今でさえ低い基準をさらに引き下げることを認める条例案には賛成できません。
●次に第117号議案 埼玉県国民健康保険財政調整交付金条例の一部を改正する条例ですが、国民健康保険法等の一部改正に伴い、財政調整交付金の総額を改定するものです。
国保財政の逼迫、市町村の繰り入れの増大の深刻さは、我が党も指摘してきた重大問題です。これは、かつて約50%だった国庫負担を国が段階的に引き下げ、約25%までに後退させたことに起因します。このたびの法改正によって国が国庫負担金をさらに2%引き下げ、県の負担としたことは到底容認できません。
埼玉県は国保の広域化を進めていますが、市町村の助け合いで国保財政の危機は解決できる訳ではありません。国保財政の立て直しは、まず国の負担を50%に戻すところから始めるべきです。よって本条例案は認められません。
●最後に第149号議案 職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例案についてですが、国に準じて退職手当の基本額を段階的に400万円もの引き下げを行うというものです。このような大幅な引き下げは、職員とその家庭の将来設計を大きく狂わすものとなります。毎年、職員定数を減らされる中、被災地の復興支援や県民サービス向上に懸命に働いている職員の士気を大いにそぐものとなります。また、大震災によって自治体職員の役割が再認識され、公務労働への就職を希望する若い人にも水を差すものです。今回の措置の影響を受ける対象者は、警察・教員も含め6万人に上り、今後市町村もそれにならうとなれば、それでなくとも疲弊している地域経済にも深刻な打撃となります。よって反対です。
退職手当の引き下げは国からの要請ですが、県職員の奮闘や地域経済への影響に鑑み、削減はしないという本県なりに判断する姿勢こそが、本当の地域主権のあり方だと付言して、反対討論を終わります。
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