あなたの願いを県政にとどけます 日本共産党埼玉県議会議員団

県政トピックス

2012年9月定例会柳下礼子県議の一般質問と答弁全文
小島信昭議長 質疑質問を続行いたします。
 六十二番 柳下礼子議員
       〔六十二番 柳下礼子議員登壇〕(拍手起こる)

◆六十二番(柳下礼子議員) 日本共産党の柳下礼子です。
 周産期、小児科医療機関が次々崩壊の危機に見舞われています。私は、最初に、埼玉県の地域医療を守るため、緊急かつ重大な課題である医師確保対策について質問します。
 独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院の二名の新生児担当医師の退職で、周産期医療がこの十月から休止します。地元では不安の声が広がっています。近隣の五市長から、存続のための要望が上がりました。院長は、必死に後任探しに動いておられます。
 まず、県立小児からの派遣も視野に入れ、新生児担当医師の確保に病院とともに努力してほしい。また、医師を派遣する大学に三千万円補助する寄附講座制度も積極的に活用すべきと思いますが、二点、保健医療部長よりお答えください。
 問題は、西埼玉中央病院だけにとどまりません。熊谷総合病院、さいたま赤十字病院、また志木市民病院、県立小児医療センターで、周産期、小児科、麻酔科医師が大量退職しています。県内各地の小児二次救急輪番は、いつまでたっても埋まりません。医師がいないため救急支援病院が年々減少し、搬送先が見つからないために三十回以上病院に問い合わせたケースもあります。病院勤務医の勤務状況は厳しく、三割近くが一か月間休暇も取れない状況にあります。人口当たりの医師数では埼玉県は全国最下位ですが、その結果、病院勤務医、とりわけ小児科、周産期、救命救急は危機的な状況に陥っているのです。知事は、こうした現実を深く認識すべきです。いかがでしょうか。
 私は、この問題の根本的解決のためには、県立大学に医学部の設置が必要だと考えております。この間、確かに政府は、大学医学部に全国で一千三百人の定員増を行ってきました。しかし、現在埼玉県の人口当たりの医師数は、OECDいわゆる先進諸国の半数程度であり、これに追いつくには一万人以上の増員が必要となるのです。四十七都道府県で一千三百人程度の増員で、これだけの遅れは取り戻せません。しかも、政府は今後医学部新設は行わず、既存医学部への増員で対応するとしています。埼玉では、この対象となる医学部は埼玉医大一つで、東京都は十三大学と大きく差が生まれています。医学部を県内に新設して、養成機関の偏在を正していかないことには、自立した医師確保は実現しません。この点で、県は国の動向を注視すると言っていますが、国に対して攻勢的、積極的に働き掛けていただきたい。知事、医学部の新設を要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、当面の医師確保は緊急の課題です。私は、県の医療再生計画にもある、医師確保が困難な地域の拠点病院への医師の派遣や若手医師のキャリア形成を支援する新たな組織を早急に創設すべきと考えますが、部長の答弁を求めます。
 また、医師確保の中心は研修医の獲得です。埼玉県は、四百人の研修医の枠の半分程度しか研修生が来ておりません。そこで提案ですが、第一に、研修生を中小病院でも迎え入れるため、複数の病院での研修医受入れを可能とすべきと考えます。第二に、県外医学部に学ぶ学生の奨学金制度導入は高く評価できますが、減免要件として一部特定地域での勤務を義務付けております。医療過疎は全県に広がっていることから、地域の限定を緩和すべきと考えますがいかがでしょうか、部長答弁をお願いします。
 続いて、県立小児医療センター移転についてです。
 知事がトップダウンで県立小児医療センターの新都心への移転計画を公表してから、一年と三か月余りがたちました。現在、基本設計の準備が進められていますが、計画への患者の意見の反映もなく、医師をはじめとしたスタッフの意見反映も不十分です。その中で、赤十字病院側の小児科医が四人、県立小児側の麻酔医四人が大量退職しました。県は、この退職を深刻に受け止め、患者家族ら関係者の声に真摯に耳を傾けるべきではありませんか、病院事業管理者の答弁を求めます。
 一方、この移転に反対する声の広がりは、とどまるところを知りません。患者家族、岩槻区の署名は合計で十一万筆を超え、移転反対や患者家族への配慮を求めた意見書を採択した議会が四自治体に上っています。地元蓮田市は、庁舎とJR蓮田駅前に「移転反対」ののぼりを掲げています。この九月九日にも移転問題を考えるシンポジウムが開かれ、周辺地域から会場に入り切れないほど多数の人々が参加しました。シンポジウムの中で岩槻自治会連合会の方は、「四万筆の請願署名を県議会に提出し、趣旨採択された。それなのに、なぜ新都心に行かなければならないのか、今も分からない」と話されました。
 また、患者家族の方の報告も紹介します。「我が家には、現在、一歳八か月になる重度の脳性まひの女の子がいます。妊娠には問題がなく、陣痛が来て病院に行きましたが、その後、子供の心拍が止まり、緊急帝王切開後、重症新生児仮死となり小児医療センターに運ばれ、今日まで何度も入退院を繰り返しました。現在、酸素吸入と胃ろうでミルクを摂取、いまだに首が座らず、寝たきりです。そのため、たんが詰まり、チアノーゼを起こしたこともあり、たんの吸引が必要です。現在のセンターへの通院途中に何度もコンビニやスタンドで止まって、たんの吸引をしながら時間をかけて通っています。先日、新都心まで行ってみたら、付近にはコンビニもスタンドもありませんでした。渋滞に巻き込まれたら、娘の命は守れません。私たちは、不便になるから反対しているのではなく、子供の命がかかっているから反対しているのです」、この実態を理解してほしいと、県当局に、一緒に新都心まで車に乗って、たん吸引や酸素吸入の様子を見てほしいと求めてきました。県は、これを拒否しております。早急に患者と同行調査をすべきです。病院事業管理者の答弁を求めます。
 二月議会冒頭で、知事は一部機能の存続の検討に言及しました。私は、都立八王子病院が廃止されたとき、患者のために機能を残すとして建設された八王子市立小児・障害メディカルセンターを視察しました。障害児の診療所や歯科診療所、リハビリ施設を備えたすばらしい施設でしたが、長時間のけいれんなどは病院でなければ対応できないという答えでした。県立小児医療センターに通院している患者が必要としているのは、診療所ではなく総合的な診療科を持つ病院機能なのです。知事、患者の立場に立って機能の存続を言うなら、全ての機能を存続すべきではないですか。答弁を求めます。
 県立小児医療センターの移転は、地域医療にとっても重大事態です。私は、県立小児は、県央、利根、東部医療圏にとってもかけがえのない小児と周産期の拠点病院だと指摘してまいりました。この三医療圏には、新生児集中治療床いわゆるNICUは一床もありません。確かに、総合周産期母子医療センターでなら、あらかじめリスクの予想される出産は対応できます。しかし、地域の産院でのアクシデントで子供が低酸素状態で産まれるケースはどうなるのですか。搬送時間が長くなれば、その分だけ赤ちゃんへの負担が重く、生存や障害程度に大きく影響します。だからこそ厚生労働省は、周産期医療機関に地域周産期母子医療センターを位置付け、地域にNICUの設置を求めているのです。利根、東部、県央地域にもNICUは不可欠ではないですか。県立小児のNICU十五床を移転してしまうことは、赤ちゃんにとって余りに危険な行為ではないですか、知事に伺います。
 次に、新都心の施設計画について伺います。
 現在の県立小児の敷地は七万平米ですが、一万平米に押し込まれることによって、施設は高層化を余儀なくされます。基本計画によると、駐車場はデッキ下又は地下に立体式で設置するとあります。施設整備検討委員会の中で、地下立体式駐車場は一台三千万円、三百台なら約百億円かかる、そんなに建設することは不可能だという議論がありました。現在地での建替えなら、広大な敷地に平面駐車場の設置が可能です。また、立体駐車場は、小児を連れて車椅子や酸素吸入の器材を運ぶ患者家族にとって負担であり危険であることは、各方面から指摘されています。知事は、この危険性をどのように認識していますか、お答えください。
 県の失政の結果、空地となっている新都心の穴埋めを、他地域の病院を移転してというのは、余りにも安易で医療の現実を見ないものです。県立小児医療センターの基本方針には、「地域が安心できる小児救急医療を支援します」とあります。県に提出された岩槻区の請願には、「埼玉県の小児の未来のためにとの崇高な理念に共鳴し先祖伝来の土地を提供した岩槻市、蓮田市の地権者の思いも、勘案していただきたく申し添えます」とあります。どんな医療機関でも、地域の温かい協力を受け、地域の中で成長、発展するのではないでしょうか。知事は、いま一度患者と地域医療を守る立場に立ち返り、移転計画を撤回してください。新都心には、赤十字病院を中心として、県の全力の支援によって総合周産期母子医療センターを建設すべきです。二点、知事の答弁を求めます。
 次は、障害者問題です。
 障害者の運動と自立支援法違憲訴訟の闘いによって、民主党政権は自立支援法を廃止し、障害者参画の下に、応益負担をなくす新たな総合的福祉制度を制定するという基本合意を結びました。ところが政府は、この基本合意をほごにして、障害を自己責任とし、家族収入を含めて応益負担を課すという障害者総合支援法を強行しました。私は、障害が重くなるほど負担も重くなる違憲の応益負担は絶対に認めることはできません。今、政府がやるべきことは、この障害者総合支援法を撤回して、障害者参画の下、新しい法整備を行うことだと考えますが、知事のお考えをお示しください。
 続いて、障害者入所施設の待機者問題について伺います。
 入所施設への入所を希望する待機者が県内で一千二百人を超えました。「この子より一日でいいから長く生きたい」、皆さんそう語ります。地域や家庭で家族が一緒に過ごしたいと考えても、親も高齢化するなど、やはり限界はあります。ところが、国は原則入所施設は造らない、補助も行わないとの方針を決めました。そこで部長に伺いますが、現実を見ない国のこのやり方に対して、今後も入所施設整備を進めるよう強く要望していただきたい。また、国が拒否するのであれば、県独自で建設を進めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 次に、県産木材の利用促進についてです。
 私は、全国に先駆け木造仮設住宅を設置した岩手県住田町を視察してまいりました。隣の陸前高田市の被災者に入ってほしいと、町独自で仮設建設に踏み切ったというお話に胸が熱くなりました。
 本県にも、住田町同様木造仮設住宅に取り組んでいる自治体があります。西川材の飯能市です。飯能市の庁舎の庭には木造仮設住宅が展示されております。木造仮設は、木のぬくもりがあり、結露が少ない。しかも、建物本体二百三十八万円とプレハブと比べても安く、材料は地元にあるから調達が早いと、仮設住宅としても優れています。また、地域の林業振興や関連産業の振興、雇用にもつながります。プレハブの仮設住宅は、大手住宅メーカーが利益を独占し、予算的にも設置費用五百万円から六百万円と高く、地元の雇用にもつながりません。県は、応急仮設木造住宅の建設に関する協定を全国木造建設事業協会と県住まいづくり協議会と結びましたが、高く評価したいと思います。是非、災害時に木造仮設を広範に使用できるように供給量の確保を計画的に進めていただきたい。また、木造仮設住宅を県としても是非庁舎の庭等に展示して、来庁者にアピールしていただきたいのですが、二点、知事の答弁を求めます。
 震災以来、資源の地産地消への関心が急速に高まっております。その点で、県土の三分の一を森林が占める本県において、県産材の使用は重要な課題です。戦後植林された県内の杉林は、十分生育しております。県庁舎はじめ県有施設には、意識的に県産材が使用されておりますが、知事、県民へのPRのためにも、本庁舎一、二階など来庁者の多い部分の腰壁をはじめ、木質化を一気に進めてはいかがでしょうか、答弁をお願いします。
 次に、民間住宅の木質化ですが、埼玉県産木材センターなどとともに、その良さの普及に全力を挙げていただきたい。
 私は、天竜杉のふるさと浜松市の天竜区へ視察に行きました。区役所全体の木質化が美しく進められ、静岡県も市も民間住宅には直接補助も行って、木質化を進めております。特定優良木材の使用に対して補助する制度ですが、導入前六施設だった特定木材工場が、導入後には二十九施設にまで広がったそうです。静岡県では、年間採択予定件数一千百戸を目指しています。同様の県産木材利用促進事業は国庫補助もあるので、全国三十九府県が実施しています。埼玉県でも十年ほど前に、県産材を六〇パーセント以上使用し、県内工務店で建設した民間住宅に五十本の柱材をプレゼントするという制度がありました。本県も国の制度を活用し、県産木材を使用する民間住宅への補助を行ってはいかがでしょうか、農林部長の答弁を求めます。
 次に、原発からの撤退と自然エネルギーの普及についてです。
 福島第一原発事故は、日本と世界に衝撃を与え、原発からの撤退と自然エネルギーへの転換の流れは大きく広がっています。しかし、政府は、各種の世論調査で原発の縮小・廃止を求める声が過半数を占めているにもかかわらず、原発からの撤退を閣議決定しませんでした。政府のこのような姿勢に対する知事のお考えをお示しください。
 私は、地域にあるエネルギー資源を有効活用することで、産油国依存や原発依存から脱却し、地域内経済効果を実現する、この点で自然エネルギーに注目しています。ドイツでは、自然エネルギーで自給自足を達成した自治体が五百を超えていますが、我が国では、岩手県の葛巻町のように需要エネルギー量の八〇パーセントを自然エネルギーで賄い、電力の自給率一六〇パーセントを超えている自治体が現れております。今後は、この流れが爆発的に広がっていくことは間違いありません。
 私は、知事に、自然エネルギーで地域循環型の経済を構築し、埼玉県の地域産業を再生するため、本気の構えを求めたいと思います。そのために、自然エネルギー推進計画を環境基本計画の一分野とせず、県の主要政策として位置付け直すこと。また、産業労働部、環境部、農林部と分離した体制を見直し、全庁横断的な体制をつくること。
 以上の三点について御答弁お願いします。
 県内各地にメガソーラー設置計画が進んでおります。埼玉県も寄居町の三ケ山ソーラー発電事業の事業者が決定しました。地元自治体に、毎年発電量の一定割合に応じた寄附を行うという点は大変評価できます。
 しかし、メガソーラーも県が普及を進める電力自活住宅も、発電した電気を地元自治体や家庭が使うことはできません。背景に、電力会社による発電事業と送電事業の独占があります。自然エネルギーで地産地消を実現するためには、発送電分離など国の政策転換が必要です。知事、本県としても発送電分離等を国に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、太陽光パネルやメガソーラーの普及は、太陽光の適地である埼玉県にとって有利な発電方法ですが、経済の地域内循環の視点からは、地域の中小企業や市民団体の参入を重視する必要があります。この点では、太陽光に限定せず、太陽熱、小水力、地中熱、木質、下水汚泥、生ごみなどバイオマス、あらゆる自然エネルギーを視野に入れての取組が必要と考えます。県内では、多様な自然エネルギーを実用化に向け研究している個人や団体が熱意を持って頑張っています。その支援のためにも、第一に、県民や団体に研究施設など県有施設を提供すること。第二に、太陽光で市民共同発電事業が実施されていますが、多様なエネルギーに拡大していただくこと。第三に、太陽光発電のための頭金ゼロ円融資制度の多様なエネルギーへの拡充と市民ファンド創設支援の研究。
 以上三点について取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、環境部長よりお答えください。
 次に、県立図書館の廃止について質問します。
 埼玉県が熊谷、浦和、久喜の県内三か所の県立図書館のうち、浦和と久喜を廃止して、熊谷市の旧テクノグリーンセンター構想予定地に計画する複合施設、北部地域振興交流拠点施設(仮称)内に一元化する方針が報道されました。廃止が予定されている久喜図書館の地元市議会では、存続を求める意見書が全会一致で可決されました。市も市議会も、九月十九日の報道を見て初めて廃止計画を知ったそうです。地元に相談もなしに計画を進めるやり方は許されないと思います。県は、北部地域振興施設(仮称)の新たな図書館整備に伴う浦和と久喜図書館の廃止について、十二月議会で基本構想案の骨子を説明したいとしていますが、申し上げたように地元から反対の声が上がっており、余りに時期尚早です。期限は設けずに、地元市含め県民的議論の上で決定すべきと考えますが、いかがでしょうか、教育長、答弁を求めます。
 続いて、環太平洋経済連携協定、いわゆるTPP問題です。
 毎週官邸前でTPP反対集会が開かれ、熊谷市内でもツイッターで呼び掛けられたデモが行われているというように、TPPに反対する声は、事前協議参加後も農業関係者にとどまらず国民的広がりを見せています。TPP参加は、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え、国民の安定的食料供給を土台から崩し、アメリカ中心の貿易ルールに一層巻き込まれる道です。国は、TPP参加の条件として、アメリカから規制緩和を求められているBSE輸入規制を緩和しました。アメリカからは、このほかにも遺伝子組換食品や添加物の規制緩和などを要求されています。知事は、TPP参加の条件として、アメリカの要求のままに、国民の食の安全が脅かされている現実をどのようにお考えですか。しかも、TPPの影響は食と農業にとどまらず、暮らしと経済のあらゆる分野に及びます。地元中小企業への優先発注も不可能となります。雇用の一層の破壊も指摘されています。
 日本医師会は、TPP参加によって混合診療の全面解禁で保険の効かない医療が拡大し、所得によって受けられる医療が制限される。また、株式会社の参入によるもうけ本位の医療が広がり、不採算部門の切り捨てが行われ、医療崩壊が進むと指摘していますが、私もそう思います。知事は、埼玉の医療を守る立場から、この医師会の指摘をどのように受け止めますか。
 国民の反対を押し切って、民主党政府はTPPの事前協議に参加しましたが、この協議の中では驚くべき事実が明らかになっています。第一は、政府が米などを例外にできると説明してきたにもかかわらず、全ての品目が関税ゼロであるということが確認されたことです。第二は、TPP交渉の内容は四年間国民に非公開とするということです。この事実をどのように受け止められますか。また、述べたようにアメリカ言いなりに、国民生活をあらゆる分野で破壊するTPPへの参加は、改めて反対すべきと考えますが、二点について、知事お答えください。
 次に、県内自衛隊、米軍基地被害についてです。
 自衛隊入間基地は、全国で唯一、内陸にある航空自衛隊基地であり、町なかに航空機が離発着する危険な基地です。週三日、午後五時半から八時半までタッチ・アンド・ゴー訓練が行われ、騒音で日常会話も成り立ちません。そのほかの日にちでも、訓練が予告なく随時行われます。基地周辺の住民の騒音被害を少しでも軽減するために、第一に正確で迅速な訓練情報の入手、第二に訓練の抑制、二点を防衛省に申し入れていただきたいのですが、企画財政部長の答弁を求めます。
 また、この入間基地にはC1輸送機が配備されていますが、その後継機とされているC2輸送機は、機体の長さがC1の一・五倍の大型補給機です。県は常にアンテナを高くし、事前の情報入手に努めるべきです。また、滑走路の短い入間基地への配備は無謀です。配備について断固反対を表明すべきと考えますが、部長より答弁お願いします。
 次に、米軍機の問題です。
 沖縄県をはじめ全国各地で、欠陥機と指摘されている垂直離着陸機オスプレイの配備計画反対の声が広がっています。オスプレイは、全国七つのルートで訓練飛行を予定し、米軍横田基地への配備と横田空域である埼玉県上空を飛行する可能性は濃厚です。県は情報収集に努め、横田基地へのオスプレイ配備計画には迅速に反対を表明していただきたいのですが、部長答弁を求めます。
 部長、御存じでしょうか。横田基地では、二〇一〇年に日本の民間小型飛行機所有者などを集め、関東平野空中衝突防止会議なるものを三回にわたって開いているのです。所属するC130輸送機が、埼玉県はもちろん、関東近県でわずか百五十メートルの低空を、編隊を組んで有視界飛行訓練をするので注意してほしいという驚くべき内容です。今、北部各地でこのC130が目撃されています。県民や自治体に情報提供がないまま、民間機と衝突が予想されるような訓練が堂々と実施されているなんて重大です。
 第一に、県はこの関東平野空中衝突防止会議を把握しておりますか。第二に、積極的に情報を収集して、自治体に提供するべきと考えますが、どうですか。また、埼玉県上空のような米軍、自衛隊、民間機が錯そうする空域での低空編隊飛行訓練の抑制を要望すべきです。部長の答弁をお願いします。
 次に、所沢米軍基地の問題です。市街地の真ん中にある米軍所沢基地は、市民の暮らしと町の発展を阻害し続けています。現在、東西連絡道路計画が進められていますが、所沢市民の真の願いは基地の全面返還です。引き続き、基地を返還し県民のために有効活用できるよう強く要望していただきたい。知事の答弁を求めます。
 最後に、消費税増税問題についてです。
 消費税増税法案が国民世論の反対を無視して、民主、自民、公明三党の賛成で成立しました。地域を歩くと、一体政府は何を考えているんだとの声がたくさん寄せられます。お年寄りからは、「年金だけで暮らしはぎりぎり。増税されたら、もう暮らせません」、飲食店の方は、「増税分の値上げはできない。これまでは何とか身銭で払ってきたが、もう廃業ですよ」、製造業の社長さんは、「電気料金の値上げだけでも大打撃なのに、消費税一〇パーセントなんてとんでもない」と怒っています。命を預かる医療機関でも、消費税増税は深刻です。現在も医療機関は、医薬品や設備などの仕入れ時に支払った消費税を控除対象にできず、全て医療機関の負担になっています。日本医師会は、この問題を放置したまま消費税を増税すれば、医療崩壊を加速しかねないと主張しています。そこで、伺います。
 第一に、消費税増税の県民の暮らしへの影響の把握についてです。消費税は、低所得者ほど負担の重い逆進性が強い税制ですが、県としても、消費税増税の県民生活への影響を調査すべきだと考えます。
 第二に、地域経済への影響も調査し、実態を把握していただきたい。その際、職員が直接現場に出向いて、事業所に直接ヒアリングすること。
 以上二点について、総務部長並びに産業労働部長よりお答えください。
 国民の中に、反対世論が急速に広がっています。私は、暮らしも経済も破壊する消費税増税は撤回すべきと考えます。我が党は、消費税増税に頼らなくても、社会保障の充実は可能だとする提言を公表しております。知事は、開会日の提案説明において、自ら海外に出向いての県内企業の海外進出支援を強調されましたが、消費税増税に不安を高める県内中小企業のことは触れませんでした。是非、県政のトップとして消費税増税は実施しないよう国に強く働き掛けていただきたい。知事の答弁を求めます。
 以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)

○小島信昭議長 六十二番 柳下礼子議員の質問に対する答弁を求めます。
       〔上田清司知事登壇〕

◎上田清司知事 柳下礼子議員の御質問に順次お答えを申し上げます。
 まず、地域医療の崩壊を防ぐためにのお尋ねのうち、医師確保対策に本腰を入れよについてでございます。
 人口十万人当たりの医師数は、人口の多い県ではどうしても低くなる傾向がございます。本県の医師の総数は一万二百五十九人で、全国八位であります。特に、医師数は平成十二年から十年間で二千百十八人増加し、この間の増加数は全国六位、増加率では全国三位となっています。しかし、小児科、産科、救急などの特定の診療科において医師の確保が困難な状況になっておることは事実であります。このことが大変喫緊の課題であるという認識を持っております。
 次に、医学部の新設の要望についてでございます。
 国の今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会では、医学部新設の議論をしていますが、賛成、反対の両者の溝が埋まっておりません。また、平野文部科学大臣は、当面の医師不足の解消には、既存医学部の入学定員の拡大で対応すると明言しており、これまでの国の方針に変化がありません。
 しかし、現在、埼玉県では医学部設置の可能性を含めた調査検討を行っております。今年度は、医療、介護ニーズの将来推計、医療提供体制の課題分析、十年、二十年後の医師の需給シミュレーションを行うとともに、医学部設置における費用や人材確保の課題を整理することとしております。引き続き多角的な調査検討を進めてまいります。
 次に、患者の立場に立ち、県立小児医療センターの移転計画撤回をについてのうち、全ての機能の存続についてでございます。
 高度専門医療の実現のために、小児救急センターの全ての機能はさいたま新都心に移転します。しかし、患者さん御家族への説明会や知事への手紙などで、通院が極めて困難になるなどの事例があることも伺っております。こうした患者さんへの対応のため、調査と検討を指示したところです。現在、小児医療センターで患者さん御家族へのアンケート調査や、それを踏まえた医療スタッフによるヒアリング調査を実施しております。調査の結果を踏まえて、現在地に必要とされる機能について検討していきたいと考えております。
 次に、利根、東部、県央地域にもNICUは不可欠ではないかについてでございます。
 NICUの設置については、国の周産期医療体制整備指針において、出生一万人当たり二十五床から三十床整備することとされています。本県の出生数は年間六万件であることから、平成二十七年度末までに全県でNICUを百五十床まで増床する計画を立てております。NICUは、複数の医療圏からの患者の受入れを含めて広域的に整備をしております。このため、昨年十月から搬送調整を行うコーディネーターを配置し、県内のハイリスク妊産婦や新生児を周産期母子医療センターへ迅速に搬送する仕組みを立ち上げたところでございます。今後、新都心医療拠点において小児医療センターとさいたま赤十字病院が連携し、新たに総合周産期母子医療センターの機能を持つことになるわけであります。これにより医療機能の更なる充実強化が図られ、よりリスクの高い母体や新生児の受入れが可能になるものだと考えております。
 次に、立体駐車場の危険性をどう認識しているかについてでございます。
 駐車場については、安全に利用できるよう、機械式駐車場を三百台程度設置する計画でございます。機械式駐車場は大規模な医療機関でも採用例があり、過去に問題が発生したという例は聞いておりません。さらに、誘導員を置き安全性に万全を期してまいりたいと思っております。
 次に、移転計画の撤回とさいたま赤十字病院を中心とした総合周産期母子医療センターの建設についてでございます。
 県立小児医療センターは、先天性疾患やリスクの高い新生児、小児がんや難病などの小児重症患者に対して、他の医療機関では対応できない高度専門医療を提供する医療機関であります。特定のエリアをカバーするのではなく、県内全域を対象に三次医療を提供する医療機関でございます。このため、全県からアクセスに優れたさいたま新都心に移転するものでございます。御理解を賜りたいと思います。
 さいたま新都心における医療拠点整備は、小児医療センターとさいたま赤十字病院の今ある医療資源を有効に活用することで、最大限の効果を発揮できるものでございます。そのため、県立小児医療センターのさいたま新都心への移転計画を撤回する考えはございません。
 さいたま赤十字病院を中心にした総合周産期母子医療センターを整備する御提案でございますが、運営主体である日赤本社がどう考えるかの問題でございますので、議会での御質問がこのような形であったこと、お伝えをしたいと思います。
 次に、障害者の願いに応え、障害者総合支援法の撤回と入所施設の整備をのお尋ねでございます。
 県は、障害者自立支援法には数々の問題がございましたので、そうした問題を是正するように、御承知のように国にしばしば提案、要望をしてまいりました。今回の障害者総合支援法では、こうした声を受け、難病患者の方にも新たに障害福祉サービスの対象にするなど、一部評価できるような内容もございます。
 ただし、障害のある方々が参画した障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が昨年八月にまとめた骨格提言六十項目のうち、三項目しか反映されておりません。県議会でも昨年十二月議会において、法律の早期制定に当たり、骨格提言を最大限尊重し反映させることを要望する意見書が決議されました。今回の障害者総合支援法は、必ずしも満足のいくものではございません。法律では、三年後までに制度の見直しを行うことになっております。そのときには、障害のある方々の声を十分踏まえた改正が行われるよう、しっかり現状を踏まえて国に対して要望をしていきたい、このように考えております。
 次に、木造仮設住宅はじめ県産材への支援強化をのお尋ねのうち、災害時における木造仮設住宅への木材供給の確保についてでございます。
 災害時の仮設住宅を木造とすることは、有効な対策だと考えております。その地域の木材や工務店が利用され、地域の雇用が創出されるからであります。本県においても、応急仮設木造住宅の建設に関する協定を住宅関係二団体と締結したところでございます。この協定を機能させるためには、災害時における木材の供給確保が重要になります。このため、製材所等の木材ストック情報をどうすれば共有できるのか、関係団体との調整を進めているところでございます。
 次に、木造仮設住宅の展示についてでございます。
 飯能市が開発した木造仮設住宅については、県内で実施している九都県市合同防災訓練において展示をいただき、県民にPRを行ってきました。この木造仮設住宅は、これまでの無機質な仮設住宅よりも価格が安く、住み心地が良いのが特色で、大変、私自身も優れたものだと感じております。また、移動運搬ができますので、今後も防災訓練においてPRに努めるとともに、まずは県主催のイベントなどにおいて展示することを研究させていただきます。
 次に、本庁舎等木質化の推進についてでございます。
 本庁舎内については、建築基準法の規定により、ホールや通路等の避難経路となる場所では燃えにくくした木材を使用しなければならないことになっております。まずは、多くの県民が訪れる県民案内室や知事室などの室内において木質化を図り、PRに努めているところです。本年四月にオープンしたコバトンカフェのウッドデッキやみどりの広場の丸太ベンチも、県産木材にこだわって設置いたしました。平成二十七年に開校予定の農業大学校も、ふんだんに県産木材を使用する設計をして工事を発注しております。これまでも県民の目に触れる施設には積極的に県産木材の利用を図っており、今後もどこかでPRすることが適当なことについては関係課で検討させていただきます。
 次に、原子力発電からの撤退と、自然エネルギーの普及をのお尋ねのうち、原発からの徹底を閣議決定しなかった政府の姿勢についてでございます。
 柳下議員は、世論に従わない政府の今回の対応を問題とされています。私も、政府の対応は極めておかしい、珍しく一致しております。ただしそれは、世論や各方面の意見に流されて、責任のある結論を出していない、この点についての私は反対であります。ほとんどの国民は、原子炉の構造、原子力発電の技術や管理運営、リスクの測定方法などについて知らないと思います。国家の将来を大きく左右するエネルギー政策については、日本を代表する専門家百人、あるいは世界の百人を集めて議論して、一定の結論を出していただいて、その上で政府が決定していく。そのプロセスを国民に情報公開して意見を反映していくべきだと私は考えます。この議論は一からしっかりやり直し、責任ある結論を出すべきだと思います。
 次に、自然エネルギー推進計画を県の主要政策として位置付け直すことについてでございます。
 私は、再生可能エネルギーの活用は大変重要な課題であると受け止め、とりわけ住宅用太陽光発電には力を入れてまいりました。計画としての位置付けは、県政運営の最も基本となる総合計画である5か年計画において、十二の戦略のうちの一つ、新エネルギー埼玉モデルの構築を掲げているところでございます。
 次に、全庁横断的な体制をつくることについてでございます。
 既に私の下、再生可能エネルギーの普及拡大を全部局が一丸となって全力で取り組んでおります。お話しのドイツは、脱宣言をしながら、原発十七基中九基を稼働させるなど、現実的な対応をしている国だということについても御理解をいただきたいと思います。
 次に、発送電分離などの国への要望についてでございます。
 私は、原則、発電は自由としたいと思います。場合によっては、大前研一先生などが提案されているように、カタール国が自国のガスを使って日本国内で発電事業を行い、安い電気を提供することも可能にするなどのアイデアも生かされてもいかがかなというふうに思っております。ただし、不安定な再生可能エネルギーの調整や広域的な電力融通を可能にするために、日本全国を一本化した送電網を確保する必要があると思います。昨年の六月には、九都県市首脳会議で発送電分離について国に要望したところでございます。国の専門委員会が本年七月に示した電力システム改革の基本方針では、発送電の分離を掲げ、年内にも制度設計を行うとのことでございます。私は、この方針は基本的には妥当なものではないかと思っております。今後の進捗状況を注視し、必要があれば国に対して意見を申し述べていきたいと思います。
 次に、国の存亡に関わる環太平洋経済連携協定(TPP)参加に反対せよのお尋ねでございます。
 まず、国民の食の安全が脅かされている現実をどのように考えるかについてでございます。
 海外からの要求によって、国民の食の安全が脅かされるようなことがあってはならないと思います。現在、輸入食品を含め国内で流通する食品については、国の第三者機関である食品安全委員会が科学的根拠に基づく安全に係る評価を行い、厳格な安全基準が設定されております。基準を変更する場合においても、この委員会において改めて安全性の評価をしっかり行うルールが確立されています。こうした仕組みにより、我が国の食の安全は確保されておるものと考えます。したがって、TPP問題によって食の安全が脅かされることになるとは考えておりません。
 次に、日本医師会の指摘をどのように受け止めるかについてでございます。
 社団法人日本医師会は、混合診療の全面解禁や株式会社の病院経営への参入などを通じて公的医療保険が揺るがされることを懸念するとの見解を表明しております。国民誰もが必要な医療を受けられることを可能にした国民皆保険は、日本が作り上げた諸々の制度の中で、最も世界に誇るべき制度だと私は思っております。私は、命を守る医療の受けられる範囲が所得によって制限されることは決してあってはならないと考えます。公的医療保険が揺るがされることがあってはならないという点で、日本医師会の指摘に私は同感、同意しております。私は、基本的には、日本は自由貿易が必要と考えておりますが、TPP交渉を進めるに当たって、優れた日本の医療制度の根幹については一切譲る必要はない、このように思います。
 次に、全ての品目が関税ゼロであることが確認されたとのお話しですが、実際は全ての品目を交渉のテーブルに乗せるということだと政府は説明している、このように私は政府の説明を理解しております。いずれにしても交渉のプロセスの中で決まっていくものであり、交渉次第だと考えております。
 次に、TPP交渉の内容が四年間非公開であることが問題であるという御指摘です。一般に、外交交渉において、交渉相手国が非公開として提供する文書については、相手国の意向を尊重するのが当然であります。現在は協議中であり、協議で得られた情報で出せる情報はきちんと出すなど、適切な情報提供と説明に努めてほしいと思っております。
 次に、TPPへの参加の考え方についてであります。
 我が国の産業の空洞化を防ぎ、経済競争力を保ちながら雇用の維持拡大を図っていくためには、TPPへの参加は避けて通れないのではないか、このように考えております。ただし、TPPへの参加の是非については、個々の国内産業の競争力をどう評価し、参加による影響をどう想定するかなど、メリットとデメリットを多面的に検討する必要があります。通商関係においては、常にメリットを最大化し、デメリットを極小化することが交渉の本質だと思います。
 県経済へのメリットとしては、TPPへの参加により、輸送用機械など輸出関連業種を中心に本県産業の活性化につながるものと期待しています。一方、農業の分野では、米、麦、畜産など米国や豪州と生産コストの差が大きく、高い関税が設けられている品目については厳しい事態が想定されています。したがいまして、国においては、こうしたメリットとデメリット双方を踏まえて、守るべきものと競争すべきものをしっかり議論し、方向性を決めていくべきだと思います。諸外国も、守るものと競争するものを分けて考えておりますので、日本もしっかり堂々と守るものと競争するものを分けるべきだと思っております。
 次に、米軍・自衛隊基地被害から住民を守るために、正確な情報を早くつかみ、県民への公開をのお尋ねでございます。
 我が国は、一九四五年の敗戦、そして連合国の占領によって主権を失いましたが、一九五二年に独立を回復し、新生日本となりました。日米同盟の重要性は当然のことでありますが、さりとて必要以上に米国の基地が存在する必要はないものだと思っております。英霊に対しても申し訳ないと思っております。今後とも米国と粘り強い交渉を行い、最小限度の基地を置く一方、そして最終的には日本独自の防衛政策を確立し、その上で日米同盟をしっかり維持するような形を考えていけばいいのかな、このように思っております。
 米軍所沢通信基地の全面返還については、埼玉県基地対策協議会の要望活動などを通じて、これまでも粘り強く国に働き掛けてまいりました。その長い活動の積み重ねの結果、本年二月の日米合同委員会で東西連絡道路用地の返還合意に至っております。引き続き通信基地の全面返還が進むよう、所沢市とともに基地対策協議会の要望活動などを通じて、国に強く要望をしてまいります。
 最後に、県民の暮らし、地域経済を守るために消費税増税撤回をのお尋ねでございます。
 我が国の税収は、法人税がピーク時で十九兆円ありましたが、現在八兆円に落ちています。所得税は二十六兆円ありましたが、十三兆円になっています。そもそも収入そのものが減っております。国税庁が押さえている平均給与四百十二万円の方は、税負担で三十万円、社会保険料で三十万円、合わせて六十万円の負担であります。ただし、この四百十二万円は平均給与であります。一番多い層は三百万円から四百万円の層であります。したがいまして、この三十万円の所得税、そして三十万円の社会保険料よりも少ない負担の状態になっております。
 一方、私たちの生活の中には、公費によって賄われているサービスがたくさんあります。例えば子供を幼稚園、保育園に一人出せば五十七万円かかります。小学生は七十六万円かかります。中学生は九十一万円かかります。高校生は九十七万円かかります。国立の大学生は百八十万円かかります。公費でそういう形で負担しています。高齢者に目を向ければ、基礎年金も七十八万円の年額の半分の三十九万円は税金です。六十五歳以上の方に医療費で十九兆八千億円、年金で四十五兆二千億円、その他介護などの費用を合わせると、全体で七十四兆円余りが支出されています。これを六十五歳以上の人口で割りますと、一人当たり年間約二百四十八万円になります。
 どだい国の財政において、収入と支出が全く合わない関係になっています。明らかに大赤字です。道路や港湾など、長い年月で償還する建設国債ならいざ知らず、単なる赤字を赤字国債で穴埋めして公費を垂れ流している状態であります。したがって、政治家が勇気を持ってこうした事態をしっかり国民に伝えて、早く税制を改正し、バランスのとれた収支関係を樹立すべきでありましたが、全てこれまで先送りをされてきました。
 したがって、今回、評判が悪くとも、民主、自民、公明の三党が合意して、あえて消費税増税法案を成立させました。私は、一定の評価をしております。もとより、国民に対しても党内に対しても説明不足、そして説明下手、そういう課題は山ほどあります。国民に十分説明をしてこなかった、このような課題があることもよく分かります。
 しかし、税金は取るな、福祉は充実しろ、道路は造れ、防災は万全にしろ。一体、誰が責任持つんですか。そういう意味で、私は、こうした意味での増税法案に撤回という形にはとても思えません。一定の負担を何らかの形で国民がしていく。それは薄く広く、そして本当に大変な人たちには何らかの形で、社会政策でカバーをする、こういう仕組みが必要だというふうに考えますので、御理解のほどをお願いいたします。
       〔奥野立保健医療部長登壇〕

◎奥野立保健医療部長 御質問一、地域医療の崩壊を防ぐためにの(一)医師確保対策に本腰を入れよについてお答えを申し上げます。
 まず、新生児担当医師の確保に西埼玉中央病院とともに努力してほしいでございます。
 現在、西埼玉中央病院では、首都圏の大学病院へ医師派遣を依頼するなど、担当医の確保に向けて懸命の努力をしております。県としても、病院を統括する国立病院機構の本部に対し後任の医師確保を強く要請し、対応策を協議しております。また、病院が医師派遣を依頼する際には同行して、県内の周産期医療の状況を説明するなど積極的に協力してまいります。県立小児医療センターからの医師派遣につきましては、現在、同センターからさいたま赤十字病院へ新生児科医を既に派遣していることもあり、西埼玉中央病院に医師を派遣することは困難な状況にございます。
 次に、寄附講座も積極的に活用すべきでございます。
 深谷赤十字病院や国立病院機構埼玉病院の例を見ても、寄附講座は有効な手立ての一つであり、大学医局等への医師派遣の要請に際しては、その活用を積極的に働き掛けてまいります。
 次に、医師派遣や若手医師のキャリア形成を支援する新たな組織の早急な創設でございます。
 現在、県医師会と共同で、熟練した指導医の派遣、若手医師のキャリア形成支援などの機能を担う総合的な医局機構の創設を進めております。来年度の組織設置を目指し、先月、県内の病院を対象に医局機構の説明会を開催したところです。今後、病院側のニーズや指導医の確保策などについて調査を実施してまいります。
 次に、複数の病院での研修医の受入れでございます。
 臨床研修制度の中には、複数の病院がグループを組み研修を行う仕組みがあり、本県でも普及をしております。二十四年度は、この仕組みに基づいて三十五の基幹病院と七十六の協力病院が研修を行っており、この中には中小病院も含まれております。県では、県内の臨床研修病院が参加する会議を開催し、優れたプログラムの紹介を行うなどして、この仕組みの普及に努めてまいります。
 次に、県外医学生奨学金の返還免除に関する勤務地域の緩和でございます。
 今年度から開始した埼玉県医師育成奨学金については、一般の診療科では、秩父地域など医師確保が困難な地域において勤務をすることを条件としております。しかし、医師不足が指摘される産科、小児科、救命救急センターに勤務する場合には、地域要件を課しておりません。地域要件の見直しにつきましては、この事業が始まったばかりですので、今後の応募者の状況や卒業後の勤務状況、県内各地域における医師の必要性などを踏まえて検討してまいります。今後とも様々な取組を通じて、医師の確保に努めてまいります。
       〔名和肇病院事業管理者登壇〕

◎名和肇病院事業管理者 御質問一、地域医療の崩壊を防ぐためにの(二)患者の立場に立ち、県立小児医療センターの移転計画撤回をについてお答えを申し上げます。
 まず、患者、職員ら関係者の声に真摯に耳を傾けるべきではないかについてでございます。
 これまで患者御家族、障害者団体などの方々から説明会を通じ御意見をいただいております。引き続き、様々な機会を捉えて御意見を十分にお聞きし、基本設計を進めてまいります。一方、今回の移転については、各部門の職員が参加した新病院整備委員会やワーキンググループでの検討を踏まえて進めております。
 次に、早急に患者と同行調査をすべきではないかについてでございます。
 現在、自動車での通院について、小児医療センターの近隣からさいたま新都心まで実際に走行し、道路状況などの調査を行っております。また、新都心への通院は、個々の患者により困難の度合いなどが異なりますので、今後も医療スタッフを通じ、患者さんごとに丁寧に状況を把握し、どのような対応が必要なのか検討してまいります。
       〔荒井幸弘福祉部長登壇〕

◎荒井幸弘福祉部長 御質問二、障害者の願いに応え、障害者総合支援法の撤回と入所施設の整備をのうち、入所施設の整備をについてお答えを申し上げます。
 県では、障害のある方が地域で安心して暮らせることが第一と考えております。そのため、グループホーム、ケアホームなどの住まいの場や日中活動の場の整備に努めてまいりました。その一方、地域で暮らすことが困難な強度行動障害や重度障害の方には入所施設が必要であると考えており、そのための整備も進めてまいりました。
 新たな入所施設の整備には多額の費用がかかりますことから、国庫補助制度の活用が必要不可欠でございます。このため、新たな入所施設の整備は原則行わないという国の方針はございますが、県では、必要な入所施設の整備を認めていただくよう、様々な機会を捉えて強く国に要望してまいりました。要望に当たりましては、担当職員が何度も国に足を運び、直接本県の実情を説明し、新たな入所施設の必要性を訴えてまいりました。その結果、平成二十二年度、二十三年度の二年間では、身体障害者や重症心身障害児の入所施設の整備を国に認めていただいたところでございます。今後とも必要な入所施設の整備につきましては、しっかりと国に要望してまいります。
       〔高山次郎農林部長登壇〕

◎高山次郎農林部長 御質問三、木造仮設住宅はじめ県産材への支援強化をのうち、民間住宅への補助についてお答えを申し上げます。
 直接助成の方法もあるかと思いますが、県産木材の利用促進が健全な森づくりにつながることを多くの県民に理解していただくことが重要です。このため県では、県民の方を対象に開催されている伐採現場や製材工場を巡るバスツアーを支援してまいりました。県産木材住宅を対象として金利を優遇する民間金融機関の住宅ローン制度もPRしております。国では、地域材を活用した木造住宅を建築する場合にポイントを与えて、地域の農産物や木製品などと交換できる制度を検討していると聞いております。県といたしましては、これまでの取組に加えて、新たな国の制度も視野に入れながら、民間住宅への県産木材利用拡大に努めてまいります。
       〔畠山真一環境部長登壇〕

◎畠山真一環境部長 御質問四、原子力発電からの撤退と、自然エネルギーの普及をについてお答えを申し上げます。
 まず、県民や団体に研究施設などを提供することについてでございます。
 環境分野の研究機関としては環境科学国際センターがございます。このセンターを一般の県民や団体に提供することは、本来果たすべき専門的な研究への影響が大きく、困難であると考えます。一方で、センターではNPOなどとも共同研究を行っております。県有施設における県民や団体に対する支援につきましては、こうした共同研究の枠組みの中で検討してまいります。
 次に、市民共同発電の拡大についてですが、本県では、市民が資金を出し合って保育園などへ太陽光発電設備を設置する市民共同太陽光発電事業が行われています。しかし、太陽光以外の市民共同発電については、県としてその機運があるということを承知いたしておりません。本県には、一定の風力や河川の落差が乏しく、太陽光以外の再生可能エネルギーの発電が難しいためと思われます。市民が小口で資金を出し合い、共同発電を行うという枠組みは貴重なものでございますので、その拡大につきましては、具体的な御提案、御相談があれば検討してまいります。
 次に、頭金ゼロ円融資制度の拡充と市民ファンド創設支援についてでございます。
 頭金ゼロ円融資制度は、あくまでも金融機関の制度であり、金融機関の立場からすれば、発電収入で返済できることが前提になります。金融機関の御判断ではありますが、採算性が厳しい太陽光発電以外への拡大は困難ではないかと思われます。
 市民ファンドにつきましては、固定価格買取制度の導入に伴い、県内にも検討を始めた市民団体がございますので、こうした団体の声も聞きながら、どのような支援が有効か研究してまいります。
       〔前島富雄教育長登壇〕

◎前島富雄教育長 御質問五、県立浦和・久喜図書館の廃止計画についてお答えを申し上げます。
 現在の県立図書館は、市町村において図書館の整備が余り進んでいない時期に開館したことから、当時は、専門的な資料の提供から一般的な図書の貸出しまで幅広いニーズに対応する図書館として運営しておりました。現在では、市町村立図書館は県内で百六十七館が設置され、浦和図書館開館時の十一倍、久喜図書館開館時の三倍の図書館数となっております。日常的な読書のためのサービスなどは、県内各地域で提供されております。
 こうした中、県と市町村との役割分担も踏まえ、県立図書館には専門的資料の収集、提供などをより充実していくことが必要と考えております。現在の県立図書館は、施設の収容能力の関係から、資料を分野別に三館で分担しているため、分野をまたいだ調査研究などには一館では応じられないなど、ワンストップサービスが課題となっておりました。
 そこで、全ての図書、資料を一館に集約し、専門性を高めた新たな県立図書館を整備する検討を行ってきたところでございます。また、専門的な図書館としての機能を生かし、新しい図書館に、ビジネスなどの分野で県民や企業の抱える課題を解決し、イノベーションを支援する役割を担わせる検討をしているところでございます。現在の三つの図書館につきましては老朽化が進んでおり、耐震性能が十分でないことから、新しい県立図書館の整備方針を早急に検討する必要があります。今後、県議会や地元の御意見をお聞きしながら検討を進めてまいります。
       〔下仲宏卓企画財政部長登壇〕

◎下仲宏卓企画財政部長 御質問七、米軍・自衛隊基地被害から住民を守るために、正確な情報を早くつかみ、県民への公開をについてお答えを申し上げます。
 まず、自衛隊入間基地に係る防衛省への申入れについてです。
 県と地元市町で組織する埼玉県基地対策協議会として、本年八月一日に防衛省に対して関係自治体への基地関連情報の事前提供や飛行訓練の制限などについて要望したところです。
 次に、C2輸送機の入間基地への配備についてでございますが、配備計画の有無について防衛省に確認しましたが、今のところ入間基地に配備する具体的な計画はないとの回答がありました。
 続いて、オスプレイの情報収集と横田基地への配備計画への対応についてです。オスプレイについて、引き続き情報収集に努めてまいります。横田基地への配備計画は現時点ではありませんので、今後の状況を注視してまいります。
 最後に、横田基地における低空飛行訓練についてです。米軍機の本県上空での飛行訓練については、大規模なものに限り防衛省から情報提供があります。しかし、関東平野空中衝突防止会議については、防衛省も具体的な内容について情報を持っていないとのことであり、県も把握しておりません。引き続き基地対策協議会として、外務省や防衛省に対し飛行訓練についての情報の提供を求めるとともに、低空飛行しないよう要望してまいります。
       〔倉上伸夫総務部長登壇〕

◎倉上伸夫総務部長 御質問八、県民の暮らし、地域経済を守るために消費税増税撤回をについてお答えを申し上げます。
 消費税の増税は、国民生活に直接的な影響を及ぼすものであります。このため、今回の消費税法の改正においては、低所得者に配慮する観点から、給付付き税額控除や軽減税率などの導入について検討することとされています。これらの措置は、税の負担の公平や国民の暮らしへの影響を十分踏まえて検討すべきものです。消費税の増税は全国一律に実施されるものですので、国民生活への影響の調査や分析については、国において十分行うべきものと考えます。県といたしましても、消費税の増税が県民生活に与える影響について、その把握に努めてまいります。
       〔松岡進産業労働部長登壇〕

◎松岡進産業労働部長 御質問八、県民の暮らし、地域経済を守るために消費税増税撤回をについてお答えを申し上げます。
 本年七月に民間の調査会社が県内企業を対象に実施した調査では、消費税率の引上げが実施された場合、六六・九パーセントの企業が業績への悪影響を懸念しているとしております。また、八五・四パーセントの企業が「税率引上げ後、国内消費は縮小する」と回答しております。県では、県内中小企業を対象に四半期ごとに経営動向調査を行っています。この調査は、郵送によるアンケート調査のほか、職員が企業を訪問し、経営状況について生の声を聞くヒアリングも併せて実施しています。消費税率引上げの地域経済に与える影響につきましても、この経営動向調査の中で把握してまいります。
       〔六十二番 柳下礼子議員登壇〕

◆六十二番(柳下礼子議員) 再質問の一点目は、小児医療センターの問題についてお尋ねしたいと思います。
 管理者にお聞きします。管理者は、要望があったと思うんですね、患者家族の方から。先ほどの答弁の中では、いろんな人がいるから、その人、人に調査して、患者ごとに丁寧に対応していきたいというお答えなんですけれども、私、質問の中で病院事業管理者に対してですね、実際に、たんの吸引だとか新都心まで行ってきた。だけど、実際には自分の子供の命に関わるから、一緒に車に乗って、その調査をしてほしいという具体的な要望があったわけですよ。それに対して一緒にできるのかできないのか、お答え願いたいというふうに思います。
 それから、知事に質問ですけれども、移転計画を撤回してほしいと私が言っているのは、この間もシンポジウムをやりまして、たくさんの人たちが集まってきて、本当に自らのお子さんを抱えてですね、たくさんの方たちが集まって、自分は元気が出たという方もいらっしゃいました。それはあの場所が、新都心のあの場所が病院にふさわしくないという、こういうことを言っているわけですね。現在あるところで、なぜあっちのほうに移転して高層で、先ほど高層の中では駐車場の問題も質問しましたけれども、ほかにもあると言っていますけどね、でも埼玉県の場合には、現在のところの駐車場に病院を建てて、そして駐車場も平面でとって子供に一番いいんじゃないかという、こういうのが出ているわけですよ。
 だから、知事がトップダウンで、思いつきで、あそこにタワーを誘致する、だけどタワーが失敗した。今度は三菱地所が来る、これも失敗した。だから今度は病院だと。これが全く理解できないということなんですよ。そのことについて、どう理解しているのかということについてお尋ねしたいと思います。
 それから、もし赤十字病院が総合周産期についてやるというなら、応援すればいいんですよ、県が。何も一緒に新都心に行くことはないと思います。これについてどう考えるのかということですね。
 県産木材については、いろいろと御答弁の中で努力するということなので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、TPPの問題なんですけれども、交渉次第であるということを先ほど知事は言いましたけれども、本当に甘いと思います。食料の危機が叫ばれている中で、もうTPPがね、交渉に参加したら、先ほど私、質問しましたけれども、公開もしないで、関税全てね、これについて例外は認めないと、こういう方向なわけですから、私は……
       〔何事か言う人あり〕

◆六十二番(柳下礼子議員) いや、これは国政の問題ですけど、余りにも答弁がひどいので、そこは認識をきちっと持つ必要があるということを言っておきたいと思います。
 それから最後に、消費税の問題ですけれども、部長の答弁もありましたが、今必要なことは、国民の皆さんの懐を豊かにする、経済の六割を占める、懐を豊かにして老後も心配ないと、社会保障を充実させることなんですよ。それを消費税の増税ね、税金は取るな、福祉は充実しろ、福祉を充実するというのは国の責任もそうだし……

○小島信昭議長 再質問は簡潔に願います。

◆六十二番(柳下礼子議員) 地方自治体の使命なんですよ、知事の責任なんですよ。それを要求する、福祉を充実させてくれと要求すること自体が、消費税は引き上げないでくれということ自体が問題があるみたいな言い方は、撤回してください。
 以上です。
       〔上田清司知事登壇〕

◎上田清司知事 柳下議員の再質問にお答えいたします。
 小児医療センターについては、御質問の内容と全く同じでしたので、再答弁の必要はないと思います。答えたとおりであります。
 TPP問題についても、私は詳しい説明をしたつもりで、それ以上答える内容がございません。
 消費税について、懐を豊かにする、これが前提であることは全く同意見です。それ以外では異なっておりますので、御理解賜りたいと思います。
       〔名和肇病院事業管理者登壇〕

◎名和肇病院事業管理者 柳下礼子議員の再質問にお答えいたします。
 患者さんの状況というのは医師が一番よく分かっているわけで、特に主治医は全部把握しているはずでございます。ただ今、アンケート調査をしまして、本当に来られないかどうかという方も、もう抽出されております。この方々については個別にまたお話をして、患者さんの命に関わるようなところへ来いというようなことは絶対ありませんので、それだけは断言しておきます。
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