私学補助、入札、生活保護、地域デイケアなどただす 県議会決算特別委員会
埼玉県議会決算特別委員会は10月26日、2011年度県決算のうち総務部と福祉部の関係事項を審査しました。
私立幼稚園の父母負担軽減策の増額を
総務部関係で日本共産党の村岡正嗣委員は、私立幼稚園の父母負担軽減補助や入札制度について取り上げました。
私立幼稚園の父母負担軽減補助のうち、全員を対象に年額4000円を補助していた「一般補助」は2011年度に廃止されました。10年度には予算約5億1500万円、対象者約11万人だったものが、11年度には家計急変世帯への補助のみで予算額約1億2500万円、対象者757人になりました。
村岡委員は、このような大規模な縮減は深刻な問題だと述べ、市町村から制度変更への意見は来ていないのかただしました。県側は、一般補助をなくす代わりに家計急変世帯への補助額を増やしたり、幼稚園施設の耐震改修補助制度を新設したりしていると弁明し、市町村からは特段の意見は寄せられていないと答えました。
村岡委員は改善・検討事項として私立幼稚園保護者に対する負担軽減のための補助単価の増額を求めるとともに、私立高校に対する運営費補助の引き上げを検討するよう求めました。
下請け業者が正直に申告しても不利益こうむらない仕組み作りを
入札制度では、最低制限価格について取り上げました。県側は、落札価格が県の設定する予定価格の70%を下回った公共工事には品質の低下が多く見られると説明し、その理由として品質管理のための費用が出せなくなるためだとの見方を示しました。
村岡委員は「建設業界は重層構造で下請けの立場は弱く、末端の下請けとなればものも言えない。適正な入札・契約にはこうした現場の実態を反映させることが肝要だ。そのためには、下請け業者が実態を正直に申告しても不利益をこうむらない仕組み作りが必要であり、そのための検討をおこなう」ことを改善・検討事項として県に求めました。
教育の質高める上で支援員研修も必要 生活保護受給世帯の学習支援
福祉部関係で村岡委員は、生活保護受給世帯の中学生に対して学習支援をする「教育支援員事業」と、心身障害者地域デイケア施設などについて取り上げました。
教育支援員事業には、生活保護世帯の中学生約2300人のうち537人が学習教室に参加しました。県側は、中学3年生は約800人中305人が学習教室に参加し、うち296人が高校に進学。高校進学率は中学生全体の平均とほぼ同じ97%だったと説明しました。
支援員には、県立大学はじめ大学生のボランティアが多数参加しています。村岡委員は「今後さらに支援員を増やしていくことが大事。教育の質を高める上で、支援員としての研修も必要だ」と指摘し、事業の課題と今後の拡充について質問しました。
県側は、特別養護老人ホームにおかれた会場に通うのに1時間以上かかり、夜遅くの帰宅に問題のある生徒がいたと述べ、2012年度には会場数を増やして全員が1時間以内で通えるようにしたと説明。また、指導する学生ボランティアについては単位認定したり単位認定を検討したりしている大学があること、今後は質の向上のための方策を検討していくことを明らかにしました。
心身障害者地域デイケア事業の新体系への移行
地域デイケア施設は、障害者自立支援法の施行にともない同法にもとづく施設への移行が進められてきました。村岡委員は、2011年度までに全ての地域デイケア施設の移行を終わらせる計画だったが、実際にはどうなったかをただしました。
県側は、現在県所管は4施設(公立2、民間2)、さいたま市所管は10施設が移行せずに残っていると説明。県所管のうち公立2施設は現在移行に向けて準備しているが、民間の2施設は利用者数や法人格取得の問題から移行が進んでいないと答えました。
保育所耐震化推進と介護施設職員の処遇改善を求める
村岡委員は福祉部関係の改善・検討事項として保育所耐震化のいっそうの推進と、介護施設職員の処遇の実行ある改善をはかることを求めました。
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