意見書・決議案に対する村岡県議の反対討論(12年9月県議会)
埼玉県議会9月定例会最終日の10月15日、議員提出議案として8本の意見書・決議案が提出され、いずれも可決されました。
提出された意見書・決議
・尖閣諸島への不法上陸等及び中国における反日デモに関する意見書
・竹島における我が国の領有権の確認を求める意見書
・外国人、外国資本及び外国政府による土地取得に関する意見書
・国家機密に関するスパイ防止法の一日も早い制定を求める意見書
・八ッ場ダム本体工事の早期着手を求める意見書
・「脱法ドラッグ」とりわけ「脱法ハーブ」に対する早急な規制強化等を求める意見書
・登記の事務・権限の地方への移譲に反対する意見書
・第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議
日本共産党はこれらのうち5件に対して反対しました。本会議での村岡正嗣県議の反対討論を紹介します。
私は日本共産党県議団を代表して議員提出議案に対する反対討論を行います。
「領土問題は存在せず」の立場改めて領有の正当性を主張すべき
「さらなる法整備」は緊張を激化させかねない――尖閣諸島問題
はじめに議第17号議案「尖閣諸島への不法上陸等および中国における反日デモに関する意見書」についてです。
尖閣諸島問題では先月、我が党は中国大使に面談し、中国政府に対して、日本への批判を暴力で表す行為はいかなる理由であれ許されないこと。中国国民に自制を促し、日本人、日本企業、日本大使館の安全確保のために万全な措置をとること、繰り返される中国の監視船の日本の領海内への進入などは、冷静な外交的解決に逆行するとして、強く自制を求めたところです。同時に、尖閣諸島の日本領有が歴史的にも国際法上も正当であるという我が党の一貫した主張も詳しく説明したところです。
尖閣諸島問題では歴代の日本政府の対応も問題があります。「領土問題は存在しない」と繰り返すだけで、日本政府はこれまで中国政府に対して、尖閣諸島の領有の正当性について理を尽くして主張したことはありません。また、「尖閣諸島は日清戦争の末期に日本が不法に盗み取った」という中国政府の見解にも一度も反論を行っていません。反論を行うと領土問題の存在を認めることになるとして、日本の立場を主張できず、中国側の主張にも反論できないという、自縄自縛に陥ってきたのです。問題の解決に道を開くためには、この立場を改めて、日本の領有の正当性を堂々と主張すること。中国の国民を説得するぐらいのつもりで日本政府が発信する必要があると考えます。
そうした意味において、本案の中で、「冷静かつ平和的な外交交渉での解決」を求めるとした点は、道理にかなったものと考えます。しかし、警備体制・方針を見直し、必要な法整備等を求める、との主張については賛成できません。何故なら、すでに臨時国会において、海上保安法の拡充が与野党全会派の一致で図られているからです。さらなる法整備や厳正な刑事手続きは、両国の緊張をさらに激化させかねないからです。こうした対応は、冷静かつ平和的な外交交渉での解決に、むしろ逆行するものとなることは明らかです。よって、本案には反対です。
外国人などの土地取得規制についての意見書は時期尚早
議第19号議案「外国人、外国資本及び外国政府による土地取得に関する意見書」案ですが、現在、投資家による土地収奪などの問題のあることは私たちも承知しております。ただこの問題では、土地取得規制について様々な見解があり、国会においては各政党内部での議論が始まったばかりです。従って、今これを県議会として採択することは時期尚早であり、賛成できません。
国民の知る権利脅かす危険な法制定の動きを促進することになる
議第20号議案「国家秘密に関するスパイ防止法の一日も早い制定を求める意見書」案ですが、秘密保全のための法制について、検討を行った政府の「有識者会議」の報告書では、秘密保全の対象を軍事分野だけでなく、外交や公共の安全及び秩序の維持といった分野にまで広げ、かつ、重罰主義に立った内容となっています。これは国民の知る権利をも脅かす重大なものであって、本意見書は、この報告に基づく危険な秘密保全法制定の動きを促進することとなることから反対です。
治水上も利水上も八ッ場ダムは不要
水没地の貴重な遺跡保存からも建設再開は撤回すべき
議第21号議案「八ッ場ダム本体工事の早期着手を求める意見書」案ですが、党県議団は、計画の基本高水流量が過大であること、県の実績年間給水量が10年間で4500万立方メートルも減少していることなどから、治水上も利水上も八ッ場ダムは不要と主張してきました。
暫定水利権の不安定さについても、ダムの中止により暫定水利権から安定水利権に移行した事例も示して、政治的に解決すべきと提案しております。また、ダム周辺地域の地盤はきわめて脆弱であること、さらに、ダム水没地域で発見された世界的にも貴重な文化遺跡の保存という点からも、八ッ場ダム建設再開は撤回すべきと考え、本案には反対です。
今はオリンピック招致の時ではない
東日本被災者支援や復興対策、原発事故対策に国あげて取り組む時
議第24号議案「第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議」ですが、我が党はオリンピックの開催そのものに反対するものではありません。しかし、今はその時ではないと考えます。あの国難とも言うべき未曾有の大災害となった東日本大震災では、いまだに約33万人が避難生活を強いられ、被災者は日々の暮らしもままなりません。福島第一原発事故は収束にほど遠く、除染は始まったばかりです。故郷に帰れる見通しも立たず、被災者の苦悩は図り知れません。今、必要なことは、被災者の支援や復興対策、原発事故対策に、国をあげ総力で取り組むことであって、今は、オリンピック招致の時ではないと考えます。よって本案には反対です。
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