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県政トピックス

生活保護行政の充実のためにー埼玉県立大学長友教授を訪問
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生活保護受給者へのバッシング、生活保護の給付抑制が広く問題になっています。
柳下礼子県議と村岡正嗣県議は、8月28日 埼玉県立大学で、社会福祉の研究に、担い手育成に全力をあげている長友祐三教授を訪問し、生活保護制度について意見交換しました。

長友教授の研究室には、学生たちとの写真がたくさん飾ってあります。
卒業生たちは埼玉県、東京都などの福祉専門家として活躍しています。

以下は、懇談の要点です(敬称略させていただきます)

バッシングは財源抑制の道具
村岡県議 「生活保護受給者へのバッシングについてどのように考えるか」
長友教授「生活保護バッシングは、社会保障改革の給付削減と一体に広がっていて、
財源抑制の宣伝用具と使われていることが問題。
もともと、論理性より『親を扶養すべき』という感情的、情緒的に訴えているにすぎない。
扶養の考え方には「心情的扶養」と「財政的扶養」があり、分けて考えるべきだ。
財政的には、すでに25条(生存権規定)によって国が責任を持つものと定められている。

バッシングによって、生活保護受給者が恐怖や不安を覚えている。
小中学校に通う子どもはいじめに遭うケースもでている。
保護を受けるべき人が受けられない状況が生まれている。」

餓死・孤立死なぜあのような事件がおこるのか
村「札幌市の白石区などで、姉妹が餓死した事件、なぜ、あのような事件が起こるのか」

長「是非、日本テレビの特集を見てほしい。この中で担当課長が語っている。
『姉が3回申請に来て、生活の窮状はわかったが、申請意志を示さなかったので申請を受けなかった、福祉の押し売りはできない』

生活保護業務をポジティブに進めていく職員の意欲には、社会の価値観のあり様が
深く係わってくる。
財政的に生活保護は3/4を国が負担しており、財源節約が現場で迫られているという
話しはあまり聞いていない。
それよりも、福祉事務所は行政組織であり、生活保護も組織によって運営されている。管理職がどのような姿勢を持っているかで、全体の姿勢が変わってくる。」

福祉事務所は福祉専門職を
村「生活保護制度の充実の上で必要なことは」
長「近頃の生保窓口は、弁護士の同行や裁判などが行われているためか、従来の水際作戦のようなことはだいぶ少なくなってきた。
今、福祉事務所に大切なことは、職員の専門性を担保していくことだと考える。
法律では福祉事務所の職員は専門職(社会福祉主事)でなくてはならないとされている。資格とともに一定の経験が必要。しかし、福祉専門職としての採用ではなく、一般行政職として採用され、3、4年で異動してしまう。
職場から福祉のベテランがいなくなっている。新規採用者や福祉業務の経験のない人が、いきなり100世帯以上の担当を任される。これでは、現場に福祉の理念は醸成されない。

福祉事務所の生活保護の業務は、10年ぐらいいて初めて全体が把握できるほど複雑多岐にわたっている。これを3日程度の研修で任される。昔は多少余裕があって、新人にはケースを少なく割り当てていたが、それも今はない。」

村「川口でも福祉事務所は本当に遅くまで明かりがついている。職員の中でも『あそこはたいへん』という部署に。」
長「福祉事務所は、昭和には人気部署。今は児童相談所と生活保護関連がもっとも不人気職場。」これでは質の高い福祉の実践は無理。

生活保護業務は、人を支援する仕事、監視ではない
柳下県議「先日、定年退職した市の部長と会った。『生活保護のバッシングにはいらいらしている。ケースワーカーという仕事に対する侮辱だ』と言っていた。ケースワーカーは、ケースバイケースの人間を相手にする仕事。専門性が求められる。
長「特に最近の生活保護業務は人を支援するという福祉の実践ではなく、不正受給防止のための監視、監督の業務が中心になってきている。福祉事務所のケースワーカーの業務は、人の自立を支援することであり、不正受給のための取り締まりが中心ではない。
利用者との信頼関係をもっとも大切にすべき福祉の仕事とは何かを改めて問い直すことが必要。
警察官を福祉事務所に配置する動きがある。暴力団への対応が理由とされているが、暴力的な人物が来たら通報すれば、警察はすぐ来てくれる。常註は必要ない。
人と人との信頼関係を福祉では重視する。最近、性善説を前提とする福祉を否定する傾向がある。人を見たら疑えというような・・・人間を信頼できない社会になってはならい。」

懇談が弾み、このほかにも生活保護世帯への学習援助や、就労支援の問題など意見交換しました。

憲法25条、公的責任、そして人間に対する信頼、このような言葉が繰り返し語られる「さわやかな懇談」(村岡)となりました。
ありがとうございました。



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