現地分科会12 「山間地の村おこしにがんばる女性たち」
柳下礼子県議が参加した分科会の表題は上記でしたが、
内容は、林業・村おこし=過疎地の地域産業振興・県産材の活用・地域資源の活用それぞれで深く学べる贅沢な分科会でした。
ご案内は元天竜市議の酒井さん、元静岡県職員の林業技師、穂屋下さん、県職員農林事務所勤務の山本さんの三人
バスの中で天竜市の紹介、主要産業である林業はじめとした農業の課題など深いお話を
聞くことができました。
2005年7月に天竜市を含む12市町村が合併して浜松市が誕生。市の中心部から旧天竜市まで40キロという巨大な自治体が出現しました。
旧天竜市等の中山間地は林業の不振、少子高齢化、人口流失によって厳しい状況に追い込まれています。
見捨てられる過疎地、林業、農業・・・人々は黙っていない
国道の沿線に林立する杉の木。倒木がたくさんみられます。台風に見舞われるたびなぎ倒される杉林。「せめて国道周辺の杉だけでも伐採を要望している」(酒井さん)
元県職員の林業技師の「川を制するには山を制す」という天竜で大切にされてきた言葉が今こそ見直されるべきでしょう。
山間を進むバスの窓から棚田も見えます。
「多くの棚田が後継者不足のために草刈り場になっています」
また、天竜の山間では天竜茶が栽培されています。この天竜茶も昨年の福島第1原発事故で放射能が検出され大打撃を受けました。酒井さん自身がお茶栽培を営んでいます。東電から1次保障金を受け取りましたが、ほんのわずかだったと語ります。
合併により、周辺地域が衰退する中で、旧天竜市の人々は黙っていません。
あふれる自然の宝庫を生かして産業を興し、地域を復活させるために奮闘する試みを目の当たりにする1日となりました
天竜杉と漆喰の館が山に溶け込むー秋野不矩美術館
川を見下ろす里山の上に立つ美術館(写真上)。地元出身の女流画家の美術館ですが建築家の藤森照信氏が自然に溶け込む美術館としてこだわり抜いて建設しました。壁の天竜杉には防腐剤を使わず、朽ちていくさまを楽しむつくりだそうです。
建設事業費11億3千万円 建築物で約3億だったそうです。里山に造成するのがたいへんだったと。
うち起債7億3千万・・・つまり借金です。
が、公共事業を行うならこれだけのこだわりを持つべきでしょう。
開館は平成10年 当時は10万人が訪れたとか。現在年間来館者は4万人。
減ったと言いますが、これだけの建造物は歴史に残るはずです。
高齢化率50%熊(くんま)地区で、青年部が発展???
続いて道の駅「くんま水車の里」を訪れました。
熊と書いて「くんま」と呼ぶこの地域。地元出身の女性たちを中心にNPOを立ち上げ、おいしい手打ちそば、五平餅、体験活動によって観光客を集めています。
その中心が写真の金田三和子さんです。
昭和63年の立ち上げからかかわり、今では道の駅長です。
観光資源だけでなく、高齢者の生き甲斐活動、子どもの体験活動、そして、給食活動など高齢者支援事業など幅広い事業を展開します。担い手は地区の女性たち。
道の駅での収益を、
高齢者や子どものための事業のために使うという、女性ならではの発想です。
くんま地区は現在730人、267戸。高齢化率は47.74%!
過疎化には歯止めがかからないといいます。
「それでも青年部の人員が増えてきているんですよ」
観光客が集まる中で、少しづつ地区に青年が集まってきている。
それにしても、近隣3中学校の廃校
中学生が1時間もかけてスクールバスで通う現状・・・
地区のがんばりを行政は支援してほしい!
天竜杉とペレットボイラーの天竜区役所へ時間に余裕ができたので
旧天竜市役所=天竜区役所庁舎を見学しました。合併後に建て替えられたこの建築物庁舎内に天竜杉がふんだんに仕様され、地元林業のPRと振興に大きく貢献しています。休日のため暗いのが残念です。
県と市に県産材住宅補助が
静岡県と浜松市には、住宅を県産材で建設すると約30万円を上限の助成金が支給されます。県産材50%使用で、事業者はどこでもかまわないといいます。かつては市と県の両方の助成を受けることはできませんでしたが、現在は可能に。大変な人気だとか。木材の使用というのは住宅の中の一部であり、多少割高な県産材を使ってもそれほど全体の費用が上がるわけではありませんというご説明でした。
道の駅「花桃の里」 JRが放棄したトンネルを生かして
民営化前の国鉄が掘って未完成のまま放置された旧佐久間線のトンネルが、この地域には4つもあります。
写真は開通しなかったトンネルを再利用したワイナリーです。全国からワインの保管の委託を受けています。昨年の原発事故以来の節電ムードの中、委託が増えているとか。中は自然に常時15〜17度で湿度も一定に保たれています。
国の農業や林業切り捨て、周辺部を見捨てる合併の押しつけの中で、やはり過疎地の現実は厳しい。
けれど、そこに生きている人たちの地域への愛は巨大です。この人々の情熱が生かされ地域振興に昇華されていくことが、地域再生のカギだ、これこそ地方自治だと深く心におちた分科会でした。
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