あなたの願いを県政にとどけます 日本共産党埼玉県議会議員団

県政トピックス

みんなでつくるホンモノの地方自治 第54回自治体学校に参加(1)
全体会パネルディスカッション
全体会パネルディスカッション
 第54回自治体学校in浜松(実行委員会主催)が7月21日(土)〜23日(月)に静岡県浜松市内で開かれました。日本共産党の柳下礼子、村岡正嗣両県議が3日間参加し、地方自治について学んできました。
 今回のテーマは「みんなでつくるホンモノの地方自治」。地域住民の生命と生活を守り、憲法が生きる地方自治を実現するにはどうしたらいいのかを学びあいました。

 1日目の21日は全体会が開かれました。第一部はパネルディスカッション。NPO法人「地域づくり工房」の傘木宏夫代表理事をコーディネーターに、自治体職員など4人がパネリストとして発言しました。

しっかりとした給食で子どもたちを育てたい
 浜松市職員組合学校給食員部会長の宮下早紀子氏は、浜松市の学校給食の現状と、大規模合併が学校給食の現場にどのような困難をもたらしたかについて報告しました。

 現在の浜松市は2005年、12市町村が合併して発足しました(07年に政令指定都市に移行)。合併前の旧市町村では、地域の特色を生かした献立を組んでいました。それが、合併により地域の特色を生かした献立をできなくなったとのことです。

 また、合併後には給食業務の民間委託が進みました。宮下さんは「給食の仕事は1年や2年では一人前になれない、技術を要する仕事。パート職員がなかなか定着せず、コロコロ変わる民間会社では、おいしい給食は作れない」と述べ、野菜に火が十分通っていなかったなど、普通ならありえないような事態が学校給食の現場で発生していると告発しました。

 給食は「食育」の場であり、しっかりとした給食で子どもたちを育てたいとの思いで働いていると語った宮下さんの言葉からは、仕事への誇りを感じました。同時に、合併がこれまでつちかってきた良さを壊してしまったことや、現場の職員減らしによって職場の労働環境が厳しくなっている実態がよく分かりました。


生保バッシングが悲惨な事件増やしかねない
 東京都大田区役所の生活保護面接員の渡辺潤氏は、生活保護について報告しました。

 最近マスコミなどで大きく取り上げられている不正受給の問題について渡辺氏は、2010年度の統計で不正受給の比率は0.38%(約129億円)であり、その多くは年金や稼働収入の申告忘れだと指摘。高校生のアルバイト収入は申告不要だと誤解していた事例など、悪質とは言えない事例も多数含まれていると述べました。

 渡辺氏はまた、生活保護を受けている人は、生活保護基準より収入が少ない貧困者の2割に満たないという現実を紹介。さらに、生活保護の相談に来る人の中には生活保護を受けることをいやがり、他の支援制度を紹介してほしいと望む人が多いことも紹介しました。この間の生活保護バッシングや、バッシングを口実にした生活保護のさらなる引き締めや基準切り下げが進めば、餓死や孤立死、自殺・心中事件が増加しかねないとの懸念を示しました。

 札幌市白石区で40歳代の姉妹が病死・餓死した事件(下記囲み参照)を取り上げた渡辺氏は、「行政の対応によっては住民の生命を奪う砦になってしまうこともあるということを、この事件は教えてくれている」と強調。続けて、この事件を題材にした自作の歌を披露しました。

 事件の問題点を鋭くえぐった歌詞とみごとな歌声に大きな拍手を送りながら、住民の生命と生活を守る地方自治体の役割の重要性を痛感しました。

札幌市白石区の事件  2012年1月に、白石区内のアパートで40歳代の姉妹の遺体が発見された。11年末頃に姉が脳内血腫で病死し、その後知的障害のある妹が凍死したとみられている。
 姉は3回、白石区の福祉事務所に相談に行っていたが、生活保護の申請をさせてもらえなかった。

つけた予算が地域でグルグル回っていくように
 愛知県商工団体連合会の服部守延副会長は、商工業者の立場から発言しました。

 名古屋市の北西にある稲沢市の産業の変遷について語った服部氏は、「働く場所も半分は市外になっている。買物は自動車で市外まで出かける人もいる。大企業は、収益は本社へ、納税は他地域へ出てしまう。外から来ている企業がどんなに売り上げを伸ばしても、地元自治体の収入や雇用確保からすれば、ありがたくない」と、地元商工業者をいかに育てていくかが重要なポイントになると強調。服部氏は、「地産地消」「地産地商」(地域で作ったものを地域で商売する)「地消地産」(地域のニーズに合ったものを地域で生産する)の環境とネットワークを作ることが大切だと述べました。

発言を聞く柳下(左)、村岡(右)両県議
発言を聞く柳下(左)、村岡(右)両県議
 「中小業者がその地域で商売をしていること自体が社会貢献です」という全国商工団体連合会方針の文章を引用した服部氏は、このような決意を持つ業者を支え、振興する自治体と公務労働の役割が問われていると強調しました。

 「自治体がつけた予算が地域でグルグル回っていくような使い方」を求めた服部氏。地域でがんばる中小業者を支える政策の必要性を強く実感しました。

政府の「福島県民放棄宣言」に怒り
 ふくしま復興共同センターの小川英雄事務局次長は、福島の東日本大震災被災地の今について報告しました。

 小川氏は、野田首相の関西電力大飯原子力発電所(福井県)再稼働決定についての発言を引き、「福島復興の責務を放棄する発言。福島県民放棄宣言だ」と厳しく糾弾。

 自治体の震災対応をめぐって小川氏は、「平成の大合併」で合併した自治体で合併の弊害が出ていると指摘するとともに、自治体職員の増員を求める声が広がりつつあると発言。「職員が足りないため、やりたくてもできなかったことが出ているということが、広く認識されていることのあらわれだ」と述べました。

 「福島の現実を実際に見てほしい」と繰り返し訴えた小川氏。福島の実態を知る必要性を強く感じるとともに、脱原発をなんとしても実現させなければならないと思いを新たにしました。


住民参加型の地方自治こそ 総括講演
講演する川瀬教授
講演する川瀬教授
 第2部は、川瀬憲子・静岡大学教授(地方財政)が「『分権改革』と地方財政――住民自治と福祉社会の展望」と題して総括講演しました。

 「分権改革」について川瀬教授は、むしろ「新中央集権」と呼んでもいいものだとの考えを示した上で、この間の市町村合併の問題点を住民不在、合併先にありきで進められてきたことだと指摘。住民参加型の地方自治こそが求められていると強調しました。

 また、静岡市を例に市町村合併が自治体財政にどのような影響を与えたかを具体的に解説。合併時期と「三位一体の改革」が重なったこともあり、急速に巨額の財源不足が発生。これに対応するために人件費の抑制・削減と民間委託の推進、「サービスは低い方に、負担は高い方に」合わせる制度改定などが進んだことを紹介しました。

 川瀬教授は住民投票や市民参画型討議など直接民主主義の考え方を取り入れている外国の事例を紹介し、草の根からの民主主義を大切にする必要性を訴えました。

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