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県政トピックス

「尖閣」「生活保護」の意見書、中国・山西省への議員派遣に反対 県議会6月定例会最終日
 埼玉県議会6月定例会は7月6日、白岡町の市制施行に伴う関係条例案など14件の知事提出議案と6件の議員提出議案を可決承認して終了しました。

 議員提出議案のうち、可決された意見書は次の5件です。

可決された意見書
・尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書
・ホルムアルデヒドを生成させる物質を規制することを求める意見書
・こころの健康を守り推進する基本法の制定を求める意見書
・警察官の増員を求める意見書
・生活保護制度の抜本的な見直しを求める意見書

 日本共産党県議団は、「尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書案」「生活保護制度の見直しを求める意見書案」と、中国・山西省に県議会議員10名を派遣する「議員派遣について」の3件の議員提出議案に反対しました。
 柳下礼子議員の反対討論を紹介します。



 日本共産党の柳下礼子です。私は日本共産党を代表して議第7号議案、議第11号議案ならびに議第12号議案に対する反対討論を行います。

日本の尖閣諸島領有は明確

 はじめに議第7号議案「尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書案」についてです。尖閣諸島については1895年の日本の領有宣言以来、中国政府から75年間にわたりなんらの異議申し立ても抗議もなく、1950年代に北京市の地図出版社が発行した中国全図では、尖閣諸島は中国領の外に記載されています。このように法的にも実体的にも日本の領有は明確であります。我が党は1972年に見解を公表して以来一貫してこのことを主張してきました。

 しかし、尖閣問題における歴代の自民党政府の対応には、日本の領有の正当性を明確に主張してこなかった弱点があります。

 領土確定の機会であった1978年の日中平和友好条約締結の際に、日本側は日本の領有権を明確に主張せず、1992年に中国が尖閣諸島を自国領と明記した際には、外務省は口頭で抗議しただけで、政府として本腰を入れた政治的外交的対応はありませんでした。

 このように長期にわたって積極的主張を回避してきたことについて、我が党の国会での追及に民主党政府は「大いに反省するところがある」と述べております。

今求められているのは本腰入れた外交努力

 本意見書は「領域警備に関する必要な法整備」等を求めていますが、今求められているのは本腰を入れた外交努力であり、領域警備に関する法整備など行えば、両国関係の緊張を高め、平和的な外交努力の障害となりかねません。

 以上述べた理由から、我が党は本意見書案に反対いたします。

 次に議第11号議案「生活保護制度の抜本的な見直しを求める意見書案」についてです。

 反対理由の第1は本意見書案は受給者に対して「手当より仕事」を基本にして、受給者の自立支援及び就労支援を拡充、強化することとしているからです。

誰もが気軽に相談・申請できる生活保護制度への改善こそ

 1月に札幌市で40歳代の姉と知的障害者の妹が遺体で発見された事件では、病気を理由に姉が3回も申請窓口を訪ねていたにもかかわらず申請に至らなかったこと、保護の要件ではない「懸命なる求職活動」が説明されていたことが明らかになっています。この事件から私たちが学ぶべきことは、生活保護窓口に申請書をおいて、病気や障害に苦しむ人がだれでも気軽に相談し、申請できるよう改善することです。それでなくとも、日本の人口に占める生活保護受給者の割合は1.6%で、ドイツの9.7%イギリスの9.3%の5分の1にも達していないのです。

 意見書は「手当より仕事を基本に」としていますが、生活保護受給者の支援はそのケースに応じて、給付、就労、メンタルケア、県でも行っている学習指導など総合的に行われるべきであって、どれか1つの措置を基本とすべきではありません。

低すぎる生活保護水準も最低賃金も年金も引き上げるべきだ

 第2に意見書は「最低賃金や年金の水準を勘案して生活保護の給付水準の適正化を図る」よう求めているからです。4人家族で20万円程度の給付費そのものが憲法に照らしてあまりに低額であり、生活保護水準も、低すぎる最低賃金や年金も、ともに引き上げるべきだと考えます。

 第3に意見書案は不正受給者の罰則強化を求めていますが、現在でも不正受給に対しては保護費返還が求められます。それ以上に罰金や刑事罰等が必要とは考えられません。

消費税増税撤回、抜本的改革を迫ることこそ急務

 以上反対の理由を述べましたが、生活保護受給者の増大は、雇用破壊による非正規労働者の激増、失業者の増大、社会保障の劣悪さによるものであり、政府の責任が問われなくてはなりません。加えて消費税増税など実施されれば、景気の悪化を招き生活保護受給者がますます増加することは必至です。今政府に対して消費税増税案を撤回し、最低保障年金制度の創設、非正規雇用の規制など抜本的改革をせまることこそが急務だと強く申し上げます。

 最後に議第12号「議員派遣について」です。本議案は本県と中華人民共和国山西省が今年10月に友好提携30周年を迎えることから、県議会議員を同省に派遣するものであります。

 我が党は従来、海外視察の実施は各会派の合意を前提とすることとして、地方議会議員に海外視察は全く必要ないという立場はとって来ませんでした。議会同士の友好や海外の地方自治体の優れた経験を学ぶ機会は否定されるべきではありません。一昨年行われた海外視察に賛成したのもその立場からです。

大震災・原発事故で状況一変 県民の納得を得られない

 しかし、昨年3月11日に東日本大震災と福島第1原発事故が発生し、状況は一変しました。被災や放射能被害により県民全体が深刻な影響を受け、お茶をはじめとした農業者や事業者は危機的状況にあります。双葉町の避難者はじめ被災者は1年半たった現在も窮乏生活を強いられております。県財政逼迫を理由に、福祉や教育における予算の削減や県職員の定数削減・給与削減が続けられております。

 こうしたときに、友好親善を理由に、金額も示さずに10人もの県議会議員を海外に派遣することは、とうてい県民の納得を得られるものではありません。したがって、同議案に反対いたします。

 以上で反対討論を終わります。

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