転居希望に柔軟な対応を さらなる期間延長を国などに働きかけて
民間賃貸住宅借り上げ制度めぐり申し入れ
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南沢都市整備部長(左)に申し入れ書を手渡す柳下(中央)、村岡(右)両県議=県庁内 |
東日本大震災による避難者を対象に、県が民間住宅を借り上げて仮設住宅として提供する「民間賃貸住宅借り上げ制度」をめぐり、日本共産党埼玉県議団は6月11日、県あてに転居希望者への柔軟な対応や、制度適用期間のさらなる延長を国などに働きかけることなどを申し入れました。
よりよい制度にしていくために
村岡正嗣県議は「民間賃貸住宅借り上げ制度は利用者、貸し主、県のいずれにとってもはじめてのこと。よりよい制度にしていくことが必要です」と申し入れの趣旨を説明しました。
応対した埼玉県の南沢郁一郎・都市整備部長は、民間賃貸住宅借り上げ制度は被災3県からの要請を受けて実施しているものだとしたうえで、申し入れの趣旨を被災3県に伝えると述べました。
県「実情ふまえ対応」
村岡議員は「転居希望はありうること。被災県の前に埼玉県の対応が重要であり、柔軟な対応が必要です」と重ねて要請。
柳下礼子議員は「住まいの確保は生きる上の重要な権利。ここが安定してこそ、他のこともすべて回っていくものです」と指摘しました。
南沢部長は「実情をふまえて対応していく」と答えました。
以下、申し入れ書(全文)です。
2012年6月11日
埼玉県知事 上田 清司 様
日本共産党埼玉県議会議員団
団長 柳下 礼子
東日本大震災被災者に対する民間賃貸住宅借り上げ制度に関する申し入れ
昨年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故により福島、宮城、岩手各県から埼玉県内に避難している被災者のうち、応急仮設住宅としての民間賃貸住宅借り上げ制度の利用者は、今年6月7日現在2607人(971戸)にのぼります。これは、同時点の埼玉県と県内市町村の提供する「一時避難場所」での受け入れ総数4495人の58%を占めています。
現在の民間賃貸住宅借り上げ制度は、被災した地元に戻る場合等の例外を除いて転居を認めておらず、転居すればその後の家賃等はすべて自己負担となります。県の担当窓口には、転居に関する相談が十数件あったと聞いておりますし、党県議団にも転居に関する相談が寄せられています。利用者の多くは、立地や居住環境等を十分検討する時間的・精神的余裕もないまま入居先を決定しています。入居後に耐震性能や居住環境の問題、勤務先の都合等により転居を希望したり、短期間の賃貸を想定していた貸し主から退去を求められたりすることは当然あり得ます。県には、利用者の要望と貸し主の意見を取り入れた柔軟な対応が求められています。
また、避難生活が長期化すると予測されており、避難者に対する長期的な支援のしくみづくりが国等に求められています。国および被災3県は、本制度を1年延長する方針を示していますが、さらなる延長が必要です。
被災者にとって、住まいの確保は生活再建の基本条件です。本県としても、利用者の多い民間賃貸住宅借り上げ制度のさらなる改善をはかり、被災者支援をすすめるよう強く求め、以下の点について申し入れます。
記
一、民間賃貸住宅借り上げ制度利用者が転居を希望する場合、利用者の要望と貸し主の意見をよく聞いたうえで、制度の継続利用について柔軟に対応すること。国および被災3県に対し、転居後も制度の継続利用を認めるよう強く働きかけるとともに、必要な制度改正を求めること。
一、制度対象住宅の家賃限度額の設定、入居初期費用の負担、契約更新手続きと費用負担、居住環境整備について、地域等の実情に応じた十分な対応ができるよう、国および被災3県に求めること。
一、民間賃貸住宅借り上げ制度のさらなる期間延長を、国および被災3県に申し入れること。利用者および貸し主に対しては、引き続き制度に関する情報の周知徹底をはかること。
以上
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