2月定例会最終日の3月26日午前、本会議で知事提出議案の採決が行われました。日本共産党の村岡正嗣県議の反対討論(概要)を紹介します。
一般会計予算案
県立小児医療センターは現在地で建て替えを
八ツ場ダム建設は中止を
まず、第1号議案「平成24年度埼玉県一般会計予算」ですが、以下の理由により反対です。
第一に、県立小児医療センター移転に関連する、さいたま新都心土地購入費が計上されていることです。予算特別委員会と常任委員会審議においても明確になったように、中央地区や東部北地区など周辺地域は、周産期医療体制も小児救急医療体制もきわめて脆弱であり、この点での県の責任は重大です。だからこそ蓮田市は、市長自らがセンター機能の存続を要望し、春日部市議会及び杉戸町議会では、センターの存続を求める意見書を、全会一致で可決しているのです。高度医療病院とは言え県立病院は、地域支援の責務をも負っており、移転によって周辺地域の医療体制に空白を生むことは許されません。一部機能の存続が知事より表明されましたが、いくつもの診療科を掛け持ちしている慢性期の患者にとっては、センターの存続なしには生命の保障はないのです。加えて、商業地域である新都心は、患者の療育環境として極めて不適です。
開発計画の失敗が続く8−1A街区の穴埋めのために、患者や周辺の子どもたちが犠牲にされることは絶対にあってはならず、新都心は赤十字病院を母体として、県の支援により周産期総合母子医療センターを確立し、県立小児医療センターは現在地に存続することを改めて主張するものです。
第二に、知事部局や教育委員会事務局の職員定数を総計で87人削減していること、第三に、職員給与の削減が行われているからです。
第四に、八ッ場ダム建設予算が計上されていることです。建設再開の根拠となった国の検証は、科学的議論に耐えるものではなく、検証そのものが、推進機関である国交省の内輪の検証であることはすでに明らかです。学者有識者137名の参加する「ダム検証のあり方を問う科学者の会」が指摘した、多くの学術的な疑義や問題点について、国交省は未だ回答できずにおります。八ツ場ダム建設事業はただちに中止し、住民に対してダムによらない生活再建を一刻も早く実施することこそ、これまで住民を翻弄してきた国と関係都県の責任です。
以上を主な理由として第1号議案に反対します。
次に、第15号議案「埼玉県病院事業会計予算」は、小児医療センター移転の予算と、職員給与削減があることから、第17号議案「埼玉県水道用水供給事業会計予算」では、職員給与削減と八ッ場ダム予算により、第14号議案「公営競技事業特別会計予算」、第16号議案「工業用水会計予算」、第18号議案「地域整備事業会計予算」、及び、第19号議案「流域下水道事業会計予算」については、職員給与削減があることから反対するものです。
職員定数削減
県民サービス低下につながる
職員の疲弊と職員構成にゆがみもたらす定数削減は中止を
続いて、第21号議案「埼玉県職員定数の一部を削減する条例」と、第39号議案「埼玉県教育委員会の事務局職員の定数条例の一部を改正する条例」は、一括して討論を行います。
これらは知事部局と教育委員会の事務局職員を総計で87名削減するというものです。
知事部局の削減によって、現在東部・北部・川越の地域振興センターに置かれている交通事故相談業務の本庁への集約が行われますが、県民サービスの低下につながるものです。
また、平成15年から10年間で、知事部局の職員は1615人削減され、新卒採用の抑制によって、現在の30代以下の職員数は全体の3割にも達しません。職員の疲弊と職員構成に歪みをもたらす定数削減は、もう中止すべきです。教育委員会事務局は、高校統廃合を進めてきた課の廃止による削減であり、それ自体は賛成ですが、昨年度教育局は61名もの職員削減を行っており、廃止した課の人員は他の多忙な部局に振り分けるべきと考えます。
以上により定数削減に反対いたします。
職員給与引き下げ
1万6000人に計17億円の削減
民間給与や地域経済に深刻な影響およぼす
次に、第23号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」と、第40号議案「学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」も一括して討論いたします。
両議案は、県職員と教職員給与について、部局長級以下課所長級職員までの管理職手当を削減すると同時に、平成18年度に実施した給与構造見直しにおける給料切り替えに伴う給与月額削減への経過措置を、段階的に廃止するものであり、影響を受ける職員は、知事部局から教員・警察官に至るまで1万6千人に及び、総額で約17億円もの給与削減となります。このような大幅削減は、民間給与や地域経済に深刻な影響を及ぼすことから、また、東日本大震災によって公務労働者の役割が見直される中、震災以来の1年間、激増した業務に限られた人員体制ながら、全力で対応してこられた職員に対して、定数削減や給与削減は行うべきではありません。
第24号議案「知事等の期末手当の特例に関する条例の一部を改正する条例」は、行政委員会の委員及び監査委員の報酬額を1割削減するものですが、県職員給与削減同様、民間給与へ悪影響となり、行うべきではありません。
続いて第26号議案「埼玉県税条例の一部を改正する条例案」は、地方税法の改正に伴い個人県民税の均等割の税率を1000円から1500円へと引き上げるものです。単身者の場合で、年間所得100万円を超えた全ての納税者一律に引き上げとなる庶民増税には反対です。
続く第49号議案「県営土地改良事業に要する経費の関係市町の負担額について」、第50号議案「農道整備事業等に要する経費の関係市町の負担額について」、第51号議案「急傾斜地崩壊対策事業に要する経費の関係市町の負担額について」の3議案は、県の実施する土木事業の経費の一部を地元市町に負担させるものですが、あくまで県の責任で実施すべきです。
第59号議案「平成23年度埼玉県一般会計補正予算」は農業大学校の移転予定地でのオオタカの営巣確認による工期の延長ですが、鶴ヶ島市の同大学校は交通至便の地にあり、埼玉農業の発展のためには現在地での発展拡充こそ必要です。工期延長を機会として移転計画を見直すべきです。
第71号議案「平成23年度埼玉県水道用水供給事業会計補正予算」の継続費には、「八ツ場ダム建設工事費の補正が計上されており反対です。
新「5か年計画」案と修正案
大震災の教訓に学び、安心・安全・福祉のまちづくりへの決意示し具体化を
最後に、第137号議案「埼玉県5か年計画の策定について」修正案と原案は一括して討論いたします。
修正案は、小中学校各学年における全県一斉学力テストの実施を加えていますが、競争の激化と格差を広げ、むしろ子どもたちの成長・発達をはばむことから賛成できません。
次に原案についてです。本計画は、3・11の大震災からちょうど1年という時期に策定されることからも、大震災の教訓に深く学び、安心・安全、福祉の町づくりへの強い決意を示すと同時に、その具体化を全分野に貫くべきです。加えて、本県における放射能汚染の被害に鑑みれば、再生可能エネルギーの活用にとどまらず、今こそ原発ゼロの方向性を示すべきであり、これらにおいて原案は極めて不十分であると考えます。
また、さいたま新都心への県立小児医療センター移転計画と、八ツ場ダム建設推進は、すでに申し述べた理由の通り、保育所待機児童及び特別養護老人ホーム待機者については、待機者解消が目標とされていない点、震災に強いまちづくりにおいては、液状化対策に触れられていない点は問題と考えます。さらに、消防の広域化の推進が掲げられていますが、消防力の不十分さは広域化で解消するのではなく、消防力の充実に市町村への援助を強めることこそが県の役割と考えます。
以上の理由により、第137号議案に反対いたします。
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