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県政トピックス

柳下議員の予算特別委員会総括質疑(概要)
予算特別委員会で質疑する柳下礼子議員
予算特別委員会で質疑する柳下礼子議員
 日本共産党の柳下礼子県議は6日の埼玉県議会予算特別委員会で総括質疑(20分間)に立ち、県立小児医療センターの移転問題と、狭山茶を守るために茶業研究所の拡充することについて上田清司知事をただしました。

 総括質疑のやりとり(概要)は次の通りです。
(文章は日本共産党埼玉県議団が整理したもので、公式記録ではありません)


現地に残す「機能の一部」は何か

柳下議員 日本共産党の柳下礼子です。きょうは県立小児医療センターを取り上げるということで、患者家族の会の方をはじめ傍聴者の方がおみえになっております。知事はぜひ、この方たちに直接お答えいただくという、そういう形でお気持ちをお話しいただきたいと思います。
 まず最初に、昨年6月に知事が突如、県立小児医療センターと、さいたま赤十字病院を、さいたま新都心8−1A街区に移転し、総合周産期母子医療センターと高度救命救急センターをつくるという計画を発表しました。これは、タワーの誘致に失敗したうえに超高層ビルの建築にも失敗した8−1A街区の活用のために、知事がトップダウンで決定した計画だと伺っています。しかし、東部や中央地域など周辺地域の小児医療体制に空白を生み、現在センターに通院している患者に大きな負担を負わせるとして反対の声が広がっています。4日の、今週の日曜日にはTBSのテレビ放映も行われました。県は土屋小児病院はじめ医療拠点整備を進めておりますが、地域の不安を払拭することはできません。この2月、久喜市をはじめとした東部の13市町でつくる協議会が、センターを現在地に何らかの形で存続しつつ、総合周産期母子医療センター機能を、さいたま新都心に拡充移転していただくことを求めた要望書をまとめていました。こうした反対の声に、知事は今2月定例会冒頭に「現在の小児医療センターについては、患者や家族の皆さま方の不安にこたえるため、その機能の一部を何らかの形で現在地に残す検討もしてまいります」と発言されました。
 そこで伺います。知事が現在地に残すと表明した機能の「一部」とは、具体的にどの部分なのでしょうか。

上田知事 いくつか柳下議員の議論の中で、コメントしたいことがございます。たとえば「東部地区の小児医療の空白」とかいう言葉が出ましたが、ご承知の通り県立4病院は高度な専門病院でありまして、通常の小児科医院とか、そういう話ではございませんので。まさに困難な課題を抱えている小児にかかわる患者さんを対応するというのが小児医療センターでございますので、それがゆえに、これがなくなることがゆえにですね、東部地域なんかの小児医療が空白になるとか弱くなるという課題とはまったく関係がございません。これはまず押さえていただきたいと思います。
 基本的に、私たちはですね、この小児医療センターをより高度な第3次医療機関としての位置づけを、より明確にしようというところからスタートしております。まず第一に、医療機能をもっと整備しなくてはいけない。新たな機能をやっぱり加えていこうと。そして病院施設をやっぱり拡大しなくてはいけない。かなりいろいろな課題をもつ病気の児童が増えてきている。これに対応できるようなもので拡大しなくてはいけない。それから耐震性を確保しなくてはいけない。そして全県的な対応ができるようにしなくてはいけないということで、できるだけ交通の至便地を選んだがいい。こういう4つの課題を設定したうえで考えたものでございます。したがって、新たな医療機能の整備は、さいたま赤十字病院との連携のなかで周産期医療と救急医療機能を強化していくと。病院施設の拡大については狭隘になっている現在の小児医療センターを、病室、手術室などを大幅に拡充すると。そして建築の耐震性については、十分な建物面積を確保したうえで、耐震性のある建物にすると。そして交通至便地の移転は、高度医療をあまねく県民の皆様に受けていただく、供給できるような場所とすると。この4つの課題を同時に確保できるのは、現在地の建て替えや耐震化ではできないということでございます。さらに高度な医療を分散することは困難であるということで、今度の、さいたま新都心に極力集中化すべきだという考え方を持っておりました。
 しかし、私のところにもいろいろなお手紙、メール等を頂きました。そしていろいろな説明会での報告も聞いております。そうした話の中で、最もやはり困難なのは、わざわざ通院するのは困難な人たちが、引っ越しまでして現在の場所に来られたという、こういう事情までを無視するのはいかがかな、と。こんなふうに私は思って、何らかの形で現在の、慢性期の疾患のあるかたがたをカバーする方法として、現在地にその機能を残せることはできないのかということで問題提起をし、今病院局関係者に調査を依頼しているところでございます。
 いずれにしても、基本的な構想そのものは変更できませんが、できるだけですね、患者・家族・障害者の皆様に何らかの形で病院機能の一部を残すようなことが可能なように、できるだけ患者の皆さんたちの気持ちをしっかり受け止められるような方法をですね、考えてもらうように手配をしているところでございます。

あくまでセンターは現在地で建て替えを

柳下議員 次の質問をいたします。
 現在小児医療センターの患者は、ひとりで複数の診療科に定期通院しています。患者家族の会の代表者のお子さんの場合は、現在13診療科にかかっております。今後成長するに従って言語の訓練、食事の訓練、このように診療科は増えていく見通しです。お子さんの健康、発達、成長を保証するためには、一部の機能のみが現在地に残ったとしても、この人は現在のセンターと新都心と、2か所に通わなければなりません。このようなお子さんにとっては、センター存続によってこそ治療や発達の可能性が保障されるのです。私はあくまで県立小児は現在地で建て替えを行うべきと考えております。その一方で、2つ目の総合周産期の母子医療センターを赤十字病院を母体にして県の強力な支援のもとで確立する。こうすればすべての県民が賛成できる案になると思います。センターは現在地に存続すべきと考えますが、先ほど知事もお話ししておりましたけども、再度おうかがいしたいと思います。
 そして、これまで小児医療センターが第3次医療機関でありますけれども、2次の患者も含めて近隣の地域医療に大きく貢献してきたという事実があります。そのことはわかっておりますか。お答えをお願いいたします。

上田知事 後段の部分から申し上げれば、基本的には説得をしながら。まさに1次の方も来ているんですね。極端なことを言えば「下痢しているから診てくれ」というのも来ているんです。でも「そういう病院じゃないんです」ということを言いながら最初の初診だけして、「次からは来ないように」というようなことをやったりしながら、できるだけ3次に特化できるようにしてきたんです。だから「2次もやってきた」というよりも、余儀なくされてきたというのが実情で、もともとそういう機能ではなかったということについてはやっぱりご理解していただかないと。県民のみなさんにもご理解してもらわなくてはいけないと思います。それで土屋病院なんかの強化、あるいは春日部病院なんかで強化、そういう形のなかでより東部地域の中身を強くしていこうという形にしております。
 そこで、現在地に残すべきだという議論でございますが、建て替えの空間、あるいは耐震上の課題、いわゆる地盤の良し悪し等々も含めて課題があることははっきりしておりますので、そこで建て替えを機に引っ越しを考え、その引っ越しをするのであれば一番いい所にということで選んだのが新都心の場所でございますので、現在地に残すという考え方はまったく持っておりません。ただ、慢性期の方に限ってですね、患者の方についての何らかのフォローをすべきだという考え方を持っております。

知事は患者家族の話を直接聞くべきだ 

柳下議員 知事は私の質問にちっとも答えていないのですけれども。私が話した中で、現在13の診療科にかかっている人がいると。2つになれば両方にかかるようになっちゃう、こういうことを申し上げたわけですね。それで、センターに長期に通院している方は、知事もご存じだと思いますけれども、難病の重度の患者さんが多いですね。それで、風邪でもセンターの専門医でなければ診療ができません。だからこそ多くの患者が遠方から引っ越されて来ているんですね。
 センター周辺地域から新都心までに、先ほども質問ありましたけれども、車で40〜50分かかります。そして新都心は県内でも有数の渋滞地域です。実際、患者さんが車で走ってみましたら2時間かかったと聞いております。2時間かかった場合に、はたして患者さんの命は守られるのでしょうか。まして8時30分以前、それから5時以降の通勤時間帯ですね、この時間に。またアリーナで人気歌手のコンサートなどのイベントがあった場合に、どこまで渋滞するか想像がつかないのです。
 私は難病のお子さんを抱えたお母さんとお会いした時に、このお母さんがおっしゃっておりました。この子は熱に弱くて、熱が出るとですね、38度以上になると熱性けいれんを起こすというのです。そして先日は呼吸も止まってしまうような長時間のけいれんを起こしたというのです。「新都心まで運んでいる間に、子どもは死んでしまいます」、このように泣いて訴えていました。患者にとって新都心までの通院は、文字通り命がけなのです。
 患者家族の皆さんは、かけがえのない命の問題が議論されていない、そう訴えておられます。そして今、患者家族会も結成して存続の署名を必死に、重度のお子さんを抱えながら集めているのです。私は知事が、患者家族会の皆さんに直接説明をし、その話を聞くべきだと考えます。いかがですか。

上田知事 こうして、住民の皆さんの代表であります県議会とも議論をさせていただいております。あるいは重要な局面で記者会見などもしております。さまざまなメールや手紙も私は直接読んでおりますし、報告も聞いております。何が何でも直接説明をしろという議論にはならないのかなと思います。どうしてもというお話があれば、それは別に構いませんけれども。司つかさがありますので、その司つかさがきちんと、やっぱりやっていくべきだと思っております。何でも知事だ、と言ったら私は死んでしまいます。

柳下議員 2月11日に患者説明会が開かれました。この中でセンターの中村院長と経営管理課長が説明し、意見を聞きました。昨年、患者会の1万5000筆の署名提出の時には、経営管理者が応対されました。これまで患者の前に知事は一切あらわれていません。そして、患者説明会の場にもですね、「知事が出てくるべきだ」「なぜ知事は説明に来ないのか」という怒りの声も広がりました。今知事が「どうしてもなら構わない」とおっしゃいましたが、実は3月15日に「県立小児医療センターの存続を求める患者家族の会」が、集めた署名を提出するために県庁にやってきます。直接知事にお渡ししたいと望んでおりますけれども、病院局からは知事はお会いできない、責任者である病院事業管理者も会えないと回答がありました。「議会中は」という理由でしたが、知事、議会閉会後でも、どうしてもなら、ということで会っていただけるのでしょうか。これについてお答えください。

上田知事 基本的には、より内容について熟知した者が説明するというのが基本だと思ってきております。私にどういう役割で会っていただきたいのか、という話を聞いた上でそれは判断したいと思います。

生きることをはげますのが政治だ

柳下議員 患者さんの皆さんは、実際重い障害を持ちながら、そのお子さんたちが、そこに引っ越してきているわけですね。それで、実際に小児医療センターが移転してしまったら、この子どもの命が危ない、死ぬかもしれないという思いでいるわけですよ。ですから、その患者の思いを、直接家族の思いを知事に聞いていただきたいということで、署名を直接知事にお渡ししたいと言っているわけなんですね。
 私は、生きることを励ますのが政治だというふうに思うんですね。ずうっと小児医療センターにかかってきて、感染症にも弱い。その小児医療センターが移転してしまうという、その時に真剣になって子どもの命を守ろうとするお母さんたちの話を、保護者の話を直接知事が聞くというのは当たり前だというふうに思うんですね。
 それから先ほどお話ししましたように、自治体の首長さんの方たちも要望しております、「いかないでほしい」ということがね。ですから患者家族の願い、それから自治体の首長さんの願いを踏みにじるセンター移転は撤回すべきだ、ということで一生懸命頑張っているわけですね。ですからこの点について、会っていただきたいというふうに思います。

上田知事 センターの機能の問題だとか、それから患者さんの治療にかかわる技術論であれば病院管理者やそれに準ずる人たちが会うというのが筋だと思っています。柳下議員が言われるように、政治家として励ませということであればお目にかかります。ただ、それは反対の署名を受け取れとか、自治体の長もそれに加わっているとかというのは、そういう議論はちょっと違う話ではないかなというふうに思います。首長さんたちが加わっているという話にはつながらないと思っています。間を取っておられるということはあるかもしれませんが。自治体の長さんたちも、この議論について明確に反対だという話を私は聞いたことがありません。

柳下議員 私も最初に言ったように、もともと新都心への移転というのは、知事がトップダウンで決めてきたことですよね。開発のツケ、穴埋めをね、今かかっている子どもたちの命が犠牲になるような、こんなやり方はないんですよ。私が提案したように、総合周産期医療センター、これは必要です。ですから、これは日赤が頑張って作る、それを県がバックアップしなさいということを言っているわけですね。いつもいつも「民間にできることは民間に」と言いながら、開発のためにそのツケを、子どもたちの命を犠牲にするということは、私は間違っていると思います。撤回すべきだというふうに考えます。


新茶の時期を迎えた今が勝負どころ

柳下議員 次に、狭山茶を守るための茶業研究所の拡充を求めて質問いたします。
 県の農林総合研究センター茶業研究所にゲルマニウム半導体検出器を備えて、放射能に詳しい職員を配置すべきと考えます。厚生労働省の審議会は、食品に含まれる放射性セシウムの、4月から適用になる新たな規制値を検討していますが、狭山茶の放射能の安全基準値が抽出液でキログラムあたり10ベクレル、生茶葉でキログラムあたり500ベクレルになる見通しです。今、狭山茶の産地は知事もご存じのように大変な状況です。50%から60%も売り上げがダウンしたという農家もおります。ぜひこの点で、新茶の時期を迎えて今が勝負どころです。この点についてご答弁をお願いいたします。

上田知事 狭山茶の振興については、すでに本会議などで申し上げておりますが、茶業研究所そのものは研究機関であって検査機関ではないということでございますので。茶業研究所にはシンチレーション検出器を導入して、茶の枝葉に含まれている放射性セシウムの動きや時間による濃度変化などは調査をしております。あくまでこれは、データに基づいて作業者への栽培指導をしっかり行うという意味での、調査を通じて指導を行うという性格のものでございますので、検査は衛生研でやっておりますので、こちらのほうできちんとやっぱりやって。やっぱり調査をするところと検査をするところは分けてですね、しかも検査に関しては民間あるいは国の機関などでですね、より信用のおけるところにですね、逆に第三者に回したほうが狭山茶の信用度は高まると思いますので、そういう分け方についてご理解を賜りたいというふうに思います。

(以上)

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