雇用確保策や教育行政めぐり質疑 県議会「5か年計画特別委」3日目
埼玉県議会「5か年計画特別委員会」は17日、新「5か年計画」案のうち産業労働部、企業局、教育局の関連部分について審査しました。
介護人材確保には職員の処遇改善が必要
「計画」では介護人材の確保対策として、職業訓練による資格を持つ介護人材の育成を掲げています。村岡県議は、有資格者を増やしても介護職場に職員が定着しなければ意味がないと指摘し、職員の処遇改善が必要だと強調しました。
担当の産業人材育成課は、最近の介護職場の職員離職率は18%程度だと説明。定着対策が必要だと述べたものの、具体的な離職防止策については福祉部門に聞いてほしいと答えました。
関連して自民党議員が、離職率の高さの背景には賃金の低さがあるのではないかと質問したところ、県側は低賃金も理由の一つにあると認めました。
全国4番目に多い臨時的任用教職員
村岡県議は、教育に関する「計画」の内容が産業人材の育成といったものばかりになっていると批判し、教育基本法に定められている「人格の完成」こそ第一に掲げるべきだと主張しました。
教員の確保をめぐり、村岡県議は非正規の臨時的任用教職員(臨任)の埼玉県における実態をただしました。小中学校人事課は、教員のうち正規雇用教職員の占める割合は約88%で、臨任の比率が全国都道府県の中で4番目に高いと説明。少しでも臨任の比率を下げるべく検討を進めると答えました。
また、特に臨任の比率が高いとされている特別支援学校の実態についても質問。担当の県立学校人事課は、臨任の比率が3割を超える学校が2校あることを明らかにしたうえで、特別支援学校の教員を確保するために教員採用試験で特別選考を実施していると説明しました。
村岡県議はまた、質の高い学校教育をめざす取り組みの中に少人数学級が含まれていないことを疑問視。県内市町村の中には、独自に県の少人数学級(小学1・2年生、中学1年生)よりも対象学年を広げているところがあると述べ、県教育局の見解をただしました。小中学校人事課は、「(特定教科のみ少人数に分けて授業する)少人数指導のほうが良いという声も、現場から多数上がっている」と述べました。
普通の学校ならあり得ない事態 特別支援学校の教室不足解消を
特別支援学校では、多くの学校で設立時より児童生徒数が大幅に増え、教室不足が深刻化しています。村岡県議は「5か年計画」でどのように教室不足を解消していくのか、県の方針をただしました。
特別支援教育課は、蓮田特別支援学校への肢体部門の増設と草加市内に新設する知的部門の新校により、20教室以上足りないという深刻な学校はなくなると述べ、これ以上は各校の工夫で対応すると答えました。
村岡議員は、2校の新増設だけでは教室不足は完全に解消されないと指摘し、今後5年間の教室不足解消の計画を重ねて問いただしました。特別支援教育課は「各校の教室不足をゼロにするまで新校をつくるのではなく、今ある施設内でいかに吸収できるかの工夫で乗り切れる」と繰り返しました。
村岡議員は「一般の小中学校ならあり得ない事態。教室不足解消へ努力してほしい」と強く求めました。
村岡県議はこのほか水道施設の耐震化、「ウーマノミクス」、若年者の就業支援、「心の育成」の問題などを取り上げました。
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