議員提出議案にやぎした県議が反対討論
10月14日の9月定例会最終日、やぎした県議が提案されている意見書・決議案に対して反対討論を行いました。
反対した意見書案は
議第26号議案「地方議会の議決事項に関する見直しを求める意見書」
議第27号議案「『緊急事態基本法』の早期制定を求める意見書」
議第34号議案「八ツ場ダム建設事業の早期完成を求める意見書」
議第35号議案「中国国籍者に対する数次ビザの撤回を求める意見書」です。
以下その全文です。
日本共産党の柳下礼子です。
私は党県議団を代表して議員提出議案議第26号議案、議第27号議案、議第34号議案、議第35号議案に対する反対討論を行います。
議第26号議案「地方議会の議決事項に関する見直しを求める意見書」についてです。本意見書は地方自治法を見直し、契約の締結、財産の取得及び処分に関する政令で定める基準を廃止するよう国に対して求めるものです。我が党は、これまで議会の監視機能を高める観点から、土地取得に関しては2万平米以上かつ7千万円以上を議決案件とする現在の政令基準については高すぎるものとして批判して参りました。しかし、だからといって最低限の基準を定めることまで廃止せよという主張には、議会議決権と行政執行権の均衡をはかる観点から賛成できません。ご案内の通り日本国憲法は地方政治に関して首長と議会議員をそれぞれ選挙する二元代表制を定めており、どちらかに極端な権能を与えることはこの制度の趣旨に反するものと考えます。従って議第26号議案には反対します。
つづきまして、議第27号議案「『緊急事態基本法』の早期制定を求める意見書」についてです。同意見書は外部からの武力攻撃や、テロや大規模自然災害への対応を想定した「非常事態条項」が憲法にないなどの理由から「緊急事態基本法」の早期制定を求めるものですが、党県議団は次の理由から反対するものです。
そもそも自然災害やテロ対策には災害基本法や12ものテロ関連条約やテロ関連法が定められており、現行法の枠組みで対応可能であり、不十分な点は現行法の改正を求めるべきであります。
武力攻撃という事態について、我が党は国民保護法制の議論をはじめとして繰り返し国会の場において質してきましたが、政府の答えは一貫して「他国による直接的武力攻撃は想定していない」との答弁でした。それにもかかわらずこのような事態を想定し、土地収用など国民の権利制限を伴う有事法制を制定しようとする政府の狙いは、アメリカの引き起こす戦争への協力に、国民を動員する点にあると我が党は指摘してまいりました。従ってこのような危険な狙いにつながる、緊急事態法の制定には反対です。
次に、議第34号議案「八ツ場ダム建設事業の早期完成を求める意見書」は、八ツ場ダムが治水・利水の両面から最も有利であるとの国の検証結果を理由に、八ツ場ダムを基本計画通り平成27年度までに完成させることを国に求めています。しかし、この検証を実施したのは、八ツ場ダム建設を推進してきた国土交通省です。それゆえに、検証結果はダム推進という結論先にありきのものになっています。
利水の面で見ると、平成21年度の埼玉県内の実績年間給水量は約8億6000万立方メートルで、10年前と比べて約4500万立方メートル減少しています。1日最大給水量、1日平均給水量もほぼ横ばいで推移しています。関係6都県いずれも傾向は同じです。にもかかわらず、6都県の水需要予測は実態とは逆に需要の増加、それも過大な増加を見込んでいるため、八ツ場ダムのような大規模水源開発をしなければまかなえないことになっています。水需要予測に検証のメスを入れれば、大規模水源開発は不要になるはずであり、八ツ場ダム建設の必要もなくなります。
治水の面では、上流域の保水能力を、森林がほとんど伐採されていた状態で土壌の保水能力が小さかった終戦直後のカスリン台風当時と同じ程度だという前提で計算しているため、利根川の流量が過大に見積もられているという問題点が指摘されています。
以上のように、国による検証は問題だらけであり、八ツ場ダムの必要性が確認されたとはとうてい言えません。しっかりと科学的に検証すれば、八ツ場ダムは必要ないものだということは明白であり、八ツ場ダムを基本計画通りに完成させるよう国に求める議第34号議案には反対いたします。
つづきまして議第35号議案「中国国籍者に対する数次ビザの撤回を求める意見書」についてです。ご案内のとおりいわゆる先進7か国はじめ韓国・シンガポールなど友好国はすでにビザなしで日本に入国が可能ですが、数次ビザはそれに次ぐ措置として 多くのアジア諸国に発行されております。問題の中国国籍者に対する数次ビザは、観光振興策の一環として沖縄県知事の強い要望により実現したものです。「歴史的水準の円高は、地域の製造業・観光業に大きな打撃を与えて」いるという認識から、本県議会にも提案されている「円高・デフレを克服する経済対策を求める意見書(案)」の要望項目の3に「外国人観光客が減少している観光業への支援策を実施すること」とあげられております。数次ビザはまさにこの趣旨から発行開始されたものであり、党県議団は撤回の必要はないものと考えます。よって、議第35号議案に反対します。
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