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県政トピックス

八ツ場ダムはムダなうえに危険 群馬県でシンポジウム
シンポジウムの席上、紹介される参加都県議。マイクは、やぎした県議、その右は村岡県議
シンポジウムの席上、紹介される参加都県議。マイクは、やぎした県議、その右は村岡県議
 八ツ場ダム(群馬県長野原町)建設計画をめぐり、9月23日(金)に群馬県前橋市内でシンポジウム「知っていますか? 八ツ場ダムの真実」が開かれ、日本共産党の、やぎした礼子・村岡まさつぐ両県議が参加しました。
 シンポジウムを主催したのは市民団体「八ツ場あしたの会」、「八ツ場ダムをストップさせる市民連絡会」、やぎした・村岡両県議も参加する「八ツ場ダムを考える1都5県議会議員の会」の3団体です。

各都県の過大な水需要は検証せず 山林の効果見積もり小さすぎ 「検証」作業の問題点
 シンポジウム第1部は、国による検証作業の問題点を明らかにする「八ツ場ダムの検証は茶番劇」でした。
会場いっぱいの参加者が詰めかけたシンポジウム
会場いっぱいの参加者が詰めかけたシンポジウム
 八ツ場ダム問題に取り組んでいる嶋津暉之氏は、首都圏の水需要が1990年代をピークに減少しているのに、各都県の水需要予測はずっと増加する前提になっていることを示し、検証作業では各都県の過大な水需要については検証されていないと指摘。巨大な水需要を前提にすれば八ツ場ダムの代替案を見つけるのはなかなか難しいと述べました。また、検証作業で示された八ツ場ダムの対案は、静岡県の富士川から水を引くなど非現実的なものばかりだったと強調しました。加えて、八ツ場ダムに土砂が堆積する程度について、利根川のほかのダムの実績の半分から3分の1程度しか見積もっておらず、当初計画より速いペースでダムが埋まってしまう可能性を指摘しました。
 拓殖大の関良基・准教授(森林政策学)はダムの治水効果について◇ダムの上流に雨が降らなければ効果がない◇想定を超える雨量になると逆に被害を増やす◇下流に行くほど効果は小さくなる、との限界を指摘。国の検証結果については、森林による吸収効果を専門家の常識よりはるかに少なく見積もっていると述べ、間伐など山林の手入れをすればダムよりも安価に治水対策ができると強調しました。また、安全度の低いまま放置されている堤防が各地に残されており、堤防の強化こそ重要だと述べました。
 最後に嶋津氏が、ダム建設が本格再開された場合の見通しについて発言。本体工事の前提となる関連工事の遅れから完成予定が遅れる可能性が高いこと、ダムの安全対策や移転する住民のための代替地造成に多大なお金がかかっていることから、事業費がさらに膨れ上がると見込まれると強調しました。

地盤がもろい予定地 代替地に問題あり 地質の問題を明らかに
 シンポジウム第2部は、ダム予定地や住民の移転先の危険性を明らかにする「八ツ場ダム予定地は地すべりのデパート」でした。
シンポジウムで示されたスライドから(会場で撮影)
シンポジウムで示されたスライドから(会場で撮影)
 元東京都土木技術研究所主任研究員の中山俊雄氏(応用地質)は、火山活動の影響で予定地の地盤にはもろさがあると指摘。また、埼玉の滝沢ダムや奈良の大滝ダムでは、ダム完成後に水をためたら大規模な地すべりが発生し、安全対策に多大なお金がかかったうえに完成予定が大幅に遅れたりいまだに使えないままだったりしていると述べ、八ツ場ダムでも同じことが起こりかねないと強調しました。
 地球環境科学研究所代表の中川鮮氏(砂防工学)は、山を大きく切り取ったり30メートルも盛り土をして造成された代替地について、耐震性や地下水を無視した強度計算などの問題点を指摘。また、全体的に人の手が入った平野部の造成地と違い、代替地は周辺が自然のままの山であることが危険性を増していると述べました。加えて、完成後の八ツ場ダムは水位が大幅に上下するため、このことが地すべりを誘発する可能性が高いと強調しました。

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