子どもの貧困と向き合う!地域の助け合い・ココロンくらぶ(子ども食堂)

2013年6月に「子どもの貧困対策法」が制定されて以降、「子どもの貧困」に関する話題は増えたように感じます。「日本の子どもの約6人に1人が貧困」等といった言葉は、テレビや新聞でも頻繁に取り上げられています。
こういった話を聞くと「日本に貧困の子供なんているの?」と思われるかもしれません。貧困というイメージが、途上国でお腹が空いて苦しんでいる子やストリートチルドレンなどの子どもにを想像させるのだと思いますが、貧困という言葉の定義を知るとイメージが大きく変わるかもしれません。

二つの貧困の定義
貧困には二つの定義があります。
「絶対的貧困」
生命を維持するための最低限度の衣食住が足りていない状況。上記で紹介した皆さんがイメージされるかもしれない途上国の子どもたちに当たります。

「相対的貧困」
絶対的貧困に対して必要最低限の衣食住は足りているものの、地域や社会において「普通」とされる生活を送れない状況を言います。「貧困」の基準が生きている時代、地域、国などによって変化することが一番の特徴です。

日本での貧困は「相対的貧困」に当たります。
日本では、相対的貧困率が年々上昇し、1991年度の子どもの貧困率が13.5%だったのに対して2012年度では16.3%に上がっています。両親が共働きで年収が250万円未満の家庭が全体の16.3%いる、という結果になります。

おーいココロン食堂の集合写真
厚生労働省 平成25年 国民生活基礎調査の概況 -貧困率の年次推移

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf
病気や怪我、介護などの様々な理由で貧困に陥ることはあるでしょう。しかし、そのしわ寄せが子どもにきてはいけません。
お~いココロンくらぶとは

親の忙しさから一人で食事をする子どもを救済するべく「孤食を無くそう」というテーマを掲げ大井共同診療所が「お~いココロンくらぶ」の活動を続けています。

「孤食をなくし子供だけでも集まれるみんなの場所」として大井共同診療所が2016年4月よりはじめた取り組みです。毎月一度開催され現在までに9回を数えました。

お母さんが遅くまで仕事に出かけ、夕食を一人で食べる子どもたちを集めて、地域の大人たちと一緒に夕食を食べよう、という企画です。子どもたちは一人できても、友達ときても、遊んでも、宿題をしても大丈夫。もちろん子どもだけでなく、子育て中のママさんや一人暮らしの高齢の方、引越しをしてきたばかりで地域に知り合いがいらっしゃらない方なども参加できます。
大人も子どもも一人で食べるよりみんなでわいわいおしゃべりをしながら食べた方が楽しいはず。
予約なしでの飛び込み参加も歓迎してくれます。

「ココロンくらぶ」に参加した感想

2016年9月20日第六回開催の「おーいココロン食堂」参加させて頂きました。

子供の貧困率グラフ

台風接近の雨の中、小学生二人が来てまず宿題から、そしてボランティアの方が腕によりをかけた肉じゃがなど、美味しい料理に箸をのばしていました。事務長さんの説明では、兎に角、楽しく居心地の良い場所を心がけているとのこと。
参加されたお母さんによると、「雨なので行くのやめようかと思ったのですが、子どもから行 きたいからって誘われたんです」と笑顔で話していました。

食材はカンパ、調理は近所の高齢者、孫の喜ぶ顔を見るようで皆さん大張りきり、生き生きしています。
貧困の連鎖におかれる親とこどもたち。
地域での助け合いや深い関係性が根づいていた、一昔前のコミュニティーを思い起こしました。
かつての地域社会が持っていた協同性、包容力など、その回復のトリガーになれる可能性を感じました。

ごちそうさまでした。