9月5日柳下・前原両県議は、所沢市内の介護施設で職員のみなさんと懇談しました。
同施設は、デイサービスと小規模多機能、居宅介護支援事業所、包括支援センターなどを備えていますが、それぞれの施設の、介護士・管理栄養士・ケアマネージャー・作業療法士・理学療法士の20人余りと懇談しました。
前原・柳下両県議は、自身の家族の介護について触れながら、「介護は職員の処遇がカギです。今日はなまの声を聞かせてください。埼玉県に届けます」と語りました。
経営の厳しさー介護報酬を引き上げてほしい
中澤博子理事長は「制度が始まってから、3年ごとの介護報酬の見直しの度に、報酬が下がり制度が悪くなります」と介護制度の中での経営の厳しさを訴えました。
障害者施設から転職した職員は「知的障害の障害者の場合、体は元気なので出席率も高く、介護も精神的に楽です。高齢者の場合、健康問題もありとても気を使う。それなのに、介護報酬は低い。」
また「定員より多くなると減算と言って、報酬が減らされます。いつでも営業をしていないと赤字になりますが、定員より多くなっても赤字になります。努力が反映されないのが介護保険制度です」と語る職員もいました。
事務を担当している職員は「昨年度介護報酬が引き下げられ、加算をとればなんとかやっていけるものの、膨大な事務が発生しています。意地悪をしているんじゃないかと思うほど、書類作成が難しい」と憤ります。
利用料が2割になったら・・・
昨年度から、年収280万円を超える方の利用料負担が、1割から2割に引き上げられました。厚労省は、原則すべての方の負担を2割に引き上げる方向です。
ワーカー職員からは「年金生活の夫婦で、夫さんの施設利用料が10万円から2倍の20万円にひきあがり、夫さんの年金額いっぱいになってしまいました。夫人の年金額が少ないためとても困窮されてしまいました」
またケアマネ職員は「要介護3ぐらいで、在宅介護する場合、月に2泊3日のショートステイ2回、週4回のデイサービスぐらいが普通ですが、2割負担になると6,7万円ぐらい利用料がかかる。これは結構キツイと思います。」と心配されていました。
作業療法士さんは「負担が重くなると、真っ先に削られるのがリハビリ。リハビリを続ければ機能を回復できるのにくやしいです」と。
利用料を原則2割へ引き上げるのはとんでもない!というのが、みなさんのご意見でした。
介護職員がいきいきと働くために
理事長は「本当に介護職員がこない。介護は本当にやりがいのある仕事なのに、悪いイメージばかりが広がっています。時給を1000円ぐらい上げたいとは思いますが、人件費比率を抑えないと経営が成り立ちません。」
ケアワーカーの職員は「パートさんが募集しても来てくれません。ラーメン屋さんより安い時給なので・・・」
別のワーカーさんは「派遣労働者として特養で働いていたことがあります。そこは常勤は1人だけで4社から派遣労働者が来ていました。賃金もそれぞれ違っていて、人間関係が複雑でした」
ケアマネ職員は「近頃、特養のメリットが薄れている気がします。一定収入のある人の利用料も2倍に跳ね上がり、負担できない人も出てきています。介護技術が蓄積されているというのがメリットだったのですが、退職者が多く、派遣労働で穴埋めでは技術も信用できません。特養をおすすめできない場合が増えています」
2025年問題(高齢者の人口が最高数になるとみられている)は、以前からわかっていたことと、話す職員にみな、うなづいていました。