議員提出議案教科書採択謝礼問題に関して徹底的な調査・処分、及び制度改善を求める決議に対する反対討論 

6月定例会の閉会日の27日、議員提出議案「教科書採択謝礼問題に関して徹底的な調査・処分、及び制度改善を求める決議」に対する反対討論を前原かづえ県議が行いました。

教科書会社から、現教科書やデジタル教科書などへ教員が意見を述べた際などに、謝礼が支払われていた問題について「教科書採択制度の根本的改善」などを求める決議案が自民党から提出されました。

党県議団は、謝礼をもらった教員と採択された教科書の発行会社に因果関係はないことから教科書採択の改変は必要ないとして、決議案に反対しました。

文科省の通知をみても、教科書会社が教員に意見を求めることに、なんの問題もありません。教科書会社より「自社の教科書を採択してほしい」と要請もなく、教員たちにも「●●社の教科書を採択してほしい」という発言はなく、収賄罪は成立しません。

しかし、採択教科書申請期間中に、謝礼のやりとりを行ったことは、「採択と謝礼に因果関係があるのでは」と県民に誤解を与えてしまいました。重大な問題です。

党県議団は、県教委に対して、教員への適切なルール徹底と、現在すすんでいる教員の処分と、教科書採択の公開を求めました。

 

賛成討論に立った改革の会県議は

「保護者が教員に付け届けをする時代は終わった。県教委は、(再発防止の)ガイドラインを9月定例会までに作るといっているが、信用できない」などと発言しました。

 

 

討論全文は以下の通りです。

 

前原かづえです。日本共産党を代表して「教科書採択謝礼問題に関して徹底的な調査・処分、及び制度改善を求める決議(素案)」に対する反対討論を行います。

本決議案は「教科書採択前に教員が事前に教科書を閲覧し、対価を受け取っていた問題について」「謝礼と採択は因果関係にあり、そのような行為は収賄ではないか」「教員の倫理観の欠如と言わざるをえない」と指摘しております。その結果、現在、県教委の処分案が県議会に提案されておりますが、それに加えて第3者の徹底調査と、謝礼を贈った会社と教員双方への処分、教科書採択の原則公開を義務付ける、採択制度そのものを根本的に改善することなどを求めるものです。

まず、謝礼と採択の因果関係ですが、本決議案は歴史公民教科書の場合22の採択地区が、謝礼を多く配った東京書籍を採択したと指摘しております。しかし、22の採択区の大多数には、東京書籍から謝礼を受け取った教員がおりません。また特別支援学校の多くが東京書籍を採択したとも述べていますが、特別支援学校の教員は謝礼を受け取っておりません。したがって謝礼と採択の因果関係は認めがたいと考えます。

また、このような行為が収賄にあたるのかという点ですが、第1に採択権限は市町村教育委員にあり、教員にはないこと。第2に教科書会社から教科書の採択を依頼された事実がないことこの2点から、違法性は認められません。なお、事実上、教育委員会に採択案を示す採択地区協議会には、謝礼をうけた教員20名が参加しておりますが、誰一人、特定教科書の採択を求める発言はしておりません。

決議案は教科書会社への処分や、採択の原則公開を義務付けるなどを求めておりますが、県教委にはそのような権限はありません。また、述べたように謝礼と採択の因果関係は認められませんので、採択制度の根本的改変は必要ありません。とりわけ科学的根拠もなく謝礼と特定教科書の採択を意図的に結び付ける本決議案記述は認めることができません。以上から本決議案には反対するものです。

今回の事件の教訓はどこあるのでしょうか?文科省はその通知で「教科書発行者が教員の意見を反映することは必要不可欠」だと明記しており、ここには何ら問題はありません。一番重大なのは、教員が検定の期間中に、金品のやりとりを行ったことです。このことによって、教科書の採択結果がゆがめられたとの誤解を、県民に与えたことが重大なのです。しかし多くの教員が検定の期間すら知らない、検定申請中の教科書は非公開であるとの文科省の規則も知らないのが現状です。事件の原因は、教員の無知にあり、県教委の指導の不徹底にあります。したがって、今回の事件について、県教委が行うべきは、営利企業である教科書発行者に対する適切な対応を全教員に徹底することです。現在処分と採択地区協議会の公開などが進んでおりますが、これを指導・推進することを求めます。

教科書は、教員にとって使いやすくなければ意味がありません。今後も教員の生の声が十分に反映されて作成されるべきです。そのための適切なルールの徹底を求めて反対討論を終わります。