埼玉県議会2月定例会では、2016年度埼玉県議会予算特別委員会が9日から始まりました。9日の企画財政部、10日の県民生活部の質疑を紹介します。
防衛医大がエボラ対策 県に説明なし
企画財政部の基地対策予算に関連し、日本共産党の柳下礼子県議は9日、国が戦争法の具体化で自衛隊基地などを強化しようとしているとして県の姿勢をただしました。
柳下県議は、航空自衛隊入間基地(狭山市、入間市)の留保地への「自衛隊入間病院」設置計画について、戦時には傷病隊員の「後送病院」になると指摘。また、防衛医科大学(所沢市)に新たな感染症対策設備をつくり、エボラ出血熱など危険な感染症に対応する体制を整えようとしている問題を取り上げ、「地元市も説明を受けていない。県として防衛省に説明を求めるべきだ」と求めました。
北島通次企画総務課長は、防衛医大の動きについて、防衛省の新年度予算概要で承知しているだけで説明は受けていないと答弁。
基地情報の積極的な収集、提供を
柳下県議は、アフリカ・南スーダンで感染する可能性がある自衛隊員を受け入れるためとした防衛省の説明を紹介し「自衛隊の海外派兵拡大を念頭に置いた動きと言わざるを得ない。日本を戦争できる国に実質的に変質させていく動きを許すことはできない」と主張。「県として(基地情報を)積極的に収集し、提供すべきだ」と要求しました。
中原健一企画財政部長は「訓練の実施や騒音など県民生活に影響を及ぼすものは事前の情報提供を求めていく」と答えました。
質問議事録(県疑団作成)平成28年2月予算柳下 0309企財
LGBT差別解消 独自パンフ作成を
10日の質疑では、柳下礼子県議が県民生活部の予算に関わり、ゲイやレズビアンなどのLGBT(性的マイノリティー)の差別の解消について質問しました。
柳下県議は、国会のLGBT議連による立法化の動きやLGBTの権利を認めたアメリカ最高裁判決などに触れ、「LGBTへの差別や偏見をなくすことは一人ひとりの性を尊重する社会につながる大事な課題だ。国内外の変化と比べて県の取り組みは大きく遅れている」と指摘。「地元の市は職員のなかにLGBTがいるかも把握していない。市役所でもカミングアウトできる状況にない」など当事者の訴えを紹介し、自治体や企業のトップへの研修の充実とともにLGBTに関する県独自のパンフの作成などを提案しました。
福島勤県民生活部長は「人権パンフの内容を見直すさいに、LGBTの項目を一つ起こす、相談窓口を掲載するなど充実させたい」と答えました。
部長 当事者団体からのヒアリングを表明
さらに、13人に1人がLGBTともいわれるなか、差別やいじめを恐れて当事者は声を上げることができない状況にふれ、「県として当事者の声を聞く考えはあるのか」と質しました。あわせて、LGBT成人式への後援、協力を求めました。
福島部長は「LGBT成人式の団体等を通じて、今後当事者団体の話を直接聞きたい」と答え、成人式の後援申請についても「団体からしっかり話を聞いて、後援できるならしっかりおこないたい」と述べました。
県民生活への質疑議事録(県議団作成)平成28年2月予算柳下 0310県民