家族農業への支援を―小鹿野お茶農家とこんにゃく加工場視察

4月17日城下のり子県議、伊藤はつみ県議は小鹿野町のお茶農家とこんにゃくを生産している工場の社長からお話を聞きました。

【家族農業が一番経営的に安定する―家族農業への支援拡充を】

「3月に夏日がある年は5月に霜が降りるときがある。霜が降りると茶葉が変色してしまい、売り物にならなくなる。狭山の方では霜対策として扇風機を設置している農家を見かけるが、1機30万円。この広さだと15機くらいは必要で、とても手が出ない。電気代もかかる。

またウクライナ戦争の影響で肥料が値上がりしている。価格上昇を抑えるために、配合成分を落として販売していて、これまで使っていた肥料は販売が中止されてしまった。価格が同じようなものをしょうがなく使っているが必要な配合になっていない。

小規模農家に公的支援が少ない。農林水産省は規模を拡大しろというし、規模を拡大しようとすれば、機械を買わないといけなくて借金が増える。経営はきつくなる。家族農業が一番経営的に安定する。またここは中山間地であり、大規模化と言っても無理がある」と話していました。

大規模農家を支援していくことは必要ですが、それだけでは日本の農業は守れません。農家への所得補償、価格補償が必要ですが、県は適正な価格での取引が重要として、価格への転嫁への理解を進めるとしており、それでは農家は守れません。

「安心安全な食糧を日本の大地から」また、輸入に頼っていては世界的な人口増、地球温暖化などによる世界的な食糧危機に対応できないことを考えれば、日本の自給率の向上は絶対に不可欠です。

 

【畑の肥やしは人間の足跡】

県の農業政策の問題点として、農業林業技術職員を減らしてきた問題についても話が及びました。

農家の方は「茶業研究所の職員はかつて30人くらいいた。現在は18名になってしまった。前知事時代に職員を減らしてきたし、一時期は茶業研究所という名前から『茶業』を取ってしまった。本当に農業に冷たい県政だった。茶業研究所は3カ所しかない。埼玉、静岡、福岡の3カ所。この茶業研究所から月に1回先生が状況を見に来てくれる。本当に励まされる。『畑の肥やしは人間の足跡』という。それはどれだけ畑に足を運んだかが重要だということ。だからこそ、農家を回って相談にのれる職員体制が必要」と話されていました。

 

【こんにゃく芋は収穫までに3年―それまで収入は得られない】

続いて訪れたのはこんにゃく芋からこんにゃくを生産している工場です。

秩父地域はかつて群馬について全国2位のこんにゃく芋生産地でした。しかし廃業する農家が多く、現在は13軒ほどになってしまい、ほとんど生産者がいない状態。また新しく始めようにも収穫できるのに3年かかり、3年間こんにゃく芋での収入はないことから、支援がない限りは始められないとのことでした。

「こんにゃく芋は低温に弱く、腐りやすいため、収穫から植付けまでの保管が難しい作物です。冬の間は貯蔵庫に暖房を入れて保管します。燃料代も高騰しており、ばかになりません。県に望むことは貯蔵庫への補助です」と話されていました。