4月12日、城下のり子県議と伊藤はつみ県議は所沢市議団とともに、所沢市内にある障害児の通所施設を訪問し、代表の皆越康史朗さんと懇談しました。施設の利用者である医療的ケア児の保護者さんからのご紹介です。
IT事業者がなぜ、障害児施設を??
この施設は、日中一時支援事業と放課後デイサービスを行っている施設ですが、看護師を常駐させて、人工呼吸器など重度の医療的ケア児も受け入れている所沢市内でも貴重な施設です。
もともとIT事業を経営していた皆越さんが医療的ケア児を受け入れる通所施設をつくろうと思ったのは、あるお母さんと子どもたちとの出会いでした。医療的ケアの必要な長女の介護で末の子のサッカー試合に行けなかったおかあさん・・・当時は、看護師配置の必要な医療的ケア児を日中あずかる施設は所沢にはありませんでした。
1年半は赤字・・・・
思い切って放課後デイサービスを始めましたが、1年半は赤字経営だったそうです。保護者たちは、預かってもらえないのがあたりまえでした。なかなか利用者が集まらなかったのです。しかし徐々に利用者が増え、現在は25人定員いっぱい、むしろ断らなければならない事態です。すでにもう一か所増設を模索しているそうです。
ある日、市から「緊急にあずかってほしい児童がいる」と連絡が・・・しかし、その子は日中からの預かりが必要でした。そこで、市からの強い要請もあり、放課後デイサービスだけではなく、日中一時支援事業も併設する決断をしました。
県が補助金削減しようと
ところが、埼玉県はこの日中一時支援併設型の施設の補助を大幅に削減するというのです。
上述のように、人口呼吸器をつけていたり、痰の吸引が必要であったり、経管栄養,胃ろうなど必要な医療的ケア児を預かるためには、看護師を配置しなければなりません。そこで、埼玉県と市が半分ずつ一人の児童に1日(8H)2万円の補助をしていました。県は、これを1920円にしてしまうと皆越さんは訴えました。しかも再来年にはこの補助も廃止するというのです。
「この補助削減が行われると施設経営はなりたちません。狭山市にあった施設が先日廃止となったときいています。飯能の「くみちゃんハウス」も所沢の児童は受け入れていません」と皆越さん。
医療的ケア児の母親のレスパイトのために立ち上げた
医療的ケア児の保護者とくに母親は、出産した医療機関から子どもが退院した瞬間、24時間365日子どもを介護する生活を送ることになります。それは、子どもが特別支援学校に通学するようになっても変わりません。多くが子どもとともに通学し、授業中は学校の中で待機します。
こうした、母親にすべての医療的ケア児の育児が押し付けられる中で、保護者の精神疾患、虐待、ヤングケアラー問題が起きています。
「この施設は、保護者のレスパイト(休息)を目的に立ち上げた、珍しい施設です。」と皆越さんは語ります。
医療的ケア児の欠席加算は2000円
看護師の確保は非常に大変な課題です。こちらでは10人の看護師を確保していますが、みな非常勤です。医療の必要な子どもたちは、病気で欠席することも多いのが特徴です。確保していた看護師が、児童の欠席で必要なくなる場面も。その場合も給与の一部を保障します。しかし、欠席時対応加算給付金は2000円にすぎず、これも施設の経営を圧迫しているのです。
この度、ひなたぼっこハウスを紹介してくれたのは、医療的ケアが必要でありなおかつ自力で歩くことができるお子さんの保護者です。小学校低学年のころは、全く預かってくれる施設がなく、通院すらできず苦しんでいました。この施設によって、本当に救われたのです。
どんなことがあっても、医療的ケア児の預かり施設は守らなければなりません。しっかり県に対応を求めますと約束して帰ってきました。