1月25日、八ツ場ダムを考える1都5県議会議員の会による現地見学会が行われ、梅村さえこ衆議院議員とともに村岡、金子、前原、秋山の各県議、超党派の県議が参加しました。
雪に覆われたダムサイト予定地では、厳しい寒さのなかでも本体工事が進められ、削られた山肌が痛々しい姿をさらしていました。14年7月の見学会の時と比べても、景色が大きく変化していることが分かります。
午前中は、国土交通省の現地事務所の職員がダムサイト工事の現場などを案内し、工事の進捗状況を説明しました。
八ツ場ダムでは本体工事がすすめられていますが、ダムサイト予定地も含め強酸性の熱水によって脆くなった熱水変質帯の地層が広がっているとの専門家の指摘もあり、地滑りの危険性が強く懸念されています。
たとえダムが完成したとしても、大滝ダムのように試験湛水の段階でのさらなる地滑り対策が予想され、大幅な事業費の増加により埼玉県がさらなる負担金を求められる可能性が大きくなっています。
現場では、工期に間に合わせるため工事が急ピッチですすめられ、夜間でも発破作業が行われています。
参加者からは「せめて夜中は作業を止めるべきではないか」との声があがりました。
午後は、八ツ場あしたの会の案内で、旧川原湯温泉街など水没予定地や付け替え道路などを見学しました。
川原畑地区の付け替え国道では、熱水変質帯の影響で法面崩落を防止する鉄の柵が酸化して錆が出ています。また、雪に覆われている道路脇の縁石に地すべり影響と思われる亀裂が入る変形がすでに確認されています。
貯水池周辺の地質も脆く、代替地の安全性への不安がひろがっています。
水没予定地では、すでにほとんどの住民が代替地などに移転し、水没予定地に住む人は4軒となっています。
水没予定地の川原湯地区には、1783年の天明浅間山噴火による泥流が押し寄せ、埋まった地層からは、畑の跡や豪族の館跡など貴重な遺跡が発見されています。
日本のポンペイともいうべきこの遺跡群もいずれダムの底に沈めてしまうとのことです。
その他にも、八ツ場ダムの代替地では、大同特殊鋼の有害な鉄鋼スラグの使用が大きな問題となっています。
この鉄鋼スラグは六価クロムやフッ素などを含み、また膨脹性によって道路の凹凸や建物のゆがみが発生する危険性が指摘されています。環境汚染や構造物の破損など住民の生活を脅かす鉄鋼スラグは撤去させるべきです。