2023年10月10日
日本共産党埼玉県委員会 委員長 荻原初男
日本共産党埼玉県議会議員団 団長 城下のり子
本日、埼玉県議会自由民主党田村琢実団長は、「埼玉県虐待禁止条例改正案」取り下げを発表しました。「私の言葉足らずにより県民はもとより全国的に不安と心配の声が広がった」ことがその理由です。
「下級生のみでの登下校の禁止」「下級生のみで公園で遊ぶ」「住宅に9歳以下のこどもを残し外出(すぐに駆け付けられない状況では)」すべて禁止。同条例案は、児童の養護者の事情いっさいを考慮することなく、児童の放置を禁止し、養護者たちに過度な精神的・肉体的・経済的負担を強いる異常なものでした。
同条例案の本会議、福祉保健医療委員会での審議の中で、その内容が明らかになればなるほど、県内はもとより全国へ反対の声が広がっていきました。「これではほとんどの保護者が虐待者になってしまう」「もう埼玉県から引っ越します」「次の子どもを産むのはやめます」などの声が党県議団にも多数寄せられ、SNSでは「#虐待禁止条例」がトレンドとなり、さいたま市PTA協議会は反対の意見書を提出しました。取り下げは、こうした児童の養護者をはじめ県民・国民の運動の巨大な成果です。
本条例案は、9月28日に議会運営委員会への提出により、各会派に説明が始まるまで、一切その詳細は公表されていませんでした。その後10月4日に提出、6日に委員会採決と、県民的議論、会派間の審議期間はわずか1週間にすぎず、あまりに拙速でした。党県議団は、参考人招致や公聴会の提案も行いましたが、受け入れられませんでした。自民党議員団には今回の教訓として、条例提案の際に広く県民の声に耳を傾け、他会派間で十分議論を尽くせるよう、今後は議会として双方向の政策立案プロジェクトチームを作るなどの取り組みを求めます。
放置による悲しい死亡事故は一刻も早く根絶しなければなりません。しかし、それは養護者を「放置禁止」で縛ることでは解決しません。国と自治体と地域社会が児童養護者を全力で支援し、温かく地域ネットワークで包み込んでこそ虐待は解消へ向かいます。必要なのは、保育所・学童クラブ・障害児預かり施設の整備やベビーシッター・ファミリーサポート、訪問看護の充実、深夜まで父親が帰宅できない現状を変えるための長時間労働の規制、男女共の育休制度の抜本的拡充など多種多様な子育て支援制度や労働規制強化などです。日本共産党埼玉県委員会と党県議団は、この立場でこれからも全力で虐待根絶に向け頑張る決意です。