亡くなった利用者の尊厳もまもる・・・障害者支援施設「大地」を視察

30名の重度障、医療的ケアの必要な障害者の施設

9月21日、城下のり子・伊藤はつみ県議は、見沼福祉会の運営する蓮田太陽の里=障害者支援施設「大地」を視察しました。

「太陽の里」は身体に重度の障害をもつ仲間たち(そう呼んでおられます)にとってもっと専門的な暮らしの場をつくろうと家族と職員、仲間たちが4年間話し合い、2002年10月に開所しました。

30名の重度重複障害を持った仲間、中途障害をもった仲間が暮らしています。

まず、植村勉施設長と、施設内を見学しました。(ご案内ありがとうございました)

 

仕事がほこりにつながっていく

この入所施設では、午前中は「仕事」をします。

機織りの機械や糸がたくさん置いてありました。

手作り石鹸も販売しています。

平均賃金は月1000円。しかし重度障害を持つ人たちの、生きていく誇りにつながっていると感じました。

女性と男性の居室の中央にリビングルームがあります。

ここには冷蔵庫があり、「晩酌」用のお酒やプリンなどスイーツが、個人用のスペースに入っていました。

好きなお酒やスイーツを食べながら、みんなで過ごすさまが目に浮かびます。

個人用の居室も、それぞれの好みのぬいぐるみや小物もあり、個性豊かに暮らしています。

利用者=「仲間」たちの声で、実現したのは

その日の職員の勤務表を大きく張り出すことです。

今日はだれがきて、誰がお休みなのか、知りたいという声から始まったそうです。

職員と利用者が、本当によく話し合っている。というのが、施設の印象です。

医療的ケアの必要な利用者も大勢います。

事務室には一人ひとりの、通院や往診の医療機関やスケジュールが丁寧に書きだしてありました。

 

亡くなった利用者の写真が。亡くなったあとの尊厳をまもる

利用者の声で実現したものが、ここにも。

亡くなった利用者の祭壇です。4、50代で亡くなることの多い障害者。亡くなった一人一人

の写真を貼り出し花などで飾った祭壇がもうけられています。

亡くなった仲間の思い出を身近に置きたいという気持ち。

亡くなった後にも、人権を尊重するという姿勢を学びました。

仲間を大切にする=職員を大切にする

「仲間」=利用者を大切にするために、一番大事なことは職員を大切にすることです。

トイレやお風呂に、さまざまな補助器具が導入されていました。

1時期、多くの職員が腰痛に苦しみ、思い切って導入したそうです。

 

光熱費は400万円上乗せとなったが、補助は40万円だった。

見学後、高橋孝雄理事長、植村勉施設長、新井たかね理事と懇談しました。

利用者を「仲間」と呼び、障害者の人権を尊重し

「重度者を断らない」という方針のもと頑張ってきた見沼福祉会。

しかし、今、非常に苦悩しているとのお話でした

コロナの中で、日割り計算による報酬制度がきつい。「熱があるなら、しばらく休んでね」と言いたいが

利用者が休んでしまうと、報酬がでなくなる。施設によっては、このような中でクラスターが発生してしまった。

物価高もきつい。昨年光熱費は400万円上乗せとなったが、補助は40万円だった。

法人全体で2000万円も引き上げとなった。

「利用者の自己負担ふやそうか・・・」このような話あいをせざるをえない。

経営と利用者の人権、職員の処遇  これらが矛盾してしまっている。

「あと5年もつか・・・」そんな施設もたくさん聞いている。

来年は障害者の報酬改定があるが、

企業による運営施設は人件費比率が35%などというところがある。いろいろやらないところは、儲かる。

報酬改定のための経営実態調査では、やらないところにドンドン合わせられていく。

そのように語りながらも

高橋理事長は「ソーシャルワークは社会をシンポさせる機能」「憲法は不断の努力で、守られている」ときっぱりと語られました。