4日、埼玉県議会の日本共産党、民主党・無所属の会、無所属県民会議、無所属改革の会の4会派は共同で記者会見を開き、自民党などが総括質疑の削減など予算特別委員会の審査方法の大幅な見直しを強行したことに抗議声明を発表しました。
知事への質疑を大幅に減らす見直し
強行採決に共、民、県民が退席
見直し案は、8日の議会運営委員会で田村琢実委員長(自民)が「予算議案の審査活性化のため」として提案。知事に直接質疑ができる総括質疑の日程を現行の3日から1日に減らし、各常任委員会で実施していた部局別調査をなくして予算特別委員会に一元化するものです。知事に答弁を求める機会が大幅に後退することは明らかです。
14日の議員運営委員会で各会派が見直し案について初めて議論しましたが、第1回の協議は20分あまり。協議を継続するとした2回目の協議で時間配分などを多少修正した見直し案が提出され、協議がまとまらないまま委員長の職権で採決を強行し、自民党、公明党の賛成で可決しました。共産党、民主党、県民会議は採決に加わらず退席しました。
強行採決は県議会に汚点残す
採決に先立ち、村岡正嗣県議が反対の立場から意見を表明しました。村岡県議は反対理由として①現行と比べ、執行部の最高責任者たる知事の答弁の機会を極端に減らすものであること②現行の常任委員会での部門別調査では所属するすべての議員が所管の予算について質疑意見を述べることができるが、その機会が奪われる。加えて、少数会派への時間制約も問題であること③現在の予算特別委員会が平成16年に設置されたが、以来12年間、議運という公式の場で見直しの発議もなく、いまここで大幅見直しをする必要性も緊急性もないことを指摘。今日の議運で初めて協議がおこなわれ、意見の一致もえられないなか、一会派の代表ではなく議運の代表である委員長が協議もまとまらないままに、可否を多数決で決することは絶対にやってはならず、多数派の強行採決は県議会の汚点となると強調しました。
多数会派の横暴は許されない
記者会見には4会派の代表がそろい、自民党の最大会派による非民主的で強引な議会運営を批判しました。柳下県議団長は、「知事への直接質問できる貴重な場を少なくするもので、まさに改悪。多数派だからといって、自民党が予算特別委員会のあり方そのものを一方的に変えてしまうやり方は多数の横暴であり、独裁ともいうべきもの。極めて異常な議会だ」と述べました。
【自民党・野本県議「見直しを自ら委員長に提案した」】
議運の協議のなかで、自民党の野本陽一県議が、平成16年度に予算特別委員会の設置を提案し、制度設計をしたのが自分であり、審議が一般質問のくりかえしのような同じ内容となっているから、自分が見直すべきだと考えて委員長に提案した旨の発言がありました。
最大会派の自民党、それも一部の人の考えで予算特別委員会という重要な委員会のあり方が、十分な協議もなく、一方的に変更されてしまう。いまの県議会の自民党は、国民の声を無視した戦争法強行成立やTPP大筋合意など横暴な政治を進める安倍自公政権の姿とまったく重なります。