11月22日ゆきとどいた教育の実現をもとめる埼玉県と県教育委員会への要請が行われ、秋山文和県議が同席しました。
はじめに埼玉県高等学校教職員組合の小澤中央執行委員長が「教員不足があり、小学校4年以下で35人学級が実現できる予算が確保されているのに、実際に実施しているのは一部。特別支援学校は児童生徒増に追いついていません。県立高校の1人1台端末の保護者負担の問題もある。私たちはそうした願いを署名にして集めてきました。この署名の想いぜひ積極的受け止めていただいきたい」とあいさつしたました。
前もって提出していた要望について県と県教委から回答があり、参加者が発言しました。
【県と教育委員会からの回答】
総務部学事課
私立学校運営費補助金は少人数学級を促進すると配分が上がるようになっています。インセンティブをつけることでさらなる少人数学級がさらに進むようにしていきます。父母負担軽減補助金については全国4位で、額も引き上げました。年収720万を超えるご家庭には何もありませんが、本県は入学金、施設費については補助することとしております。720万は本県における年収の中央値ですので、多くの家庭にしてできる措置です。学校運営費と父母負担軽減の2つを合わせると全国9位の支援額となります。この2本柱の充実に努めてまいりますが、厳しい財政状況から難しいこともあります。なにとぞご理解をいただいきたい
県立学校部
少人数学級の促進については国が考えること。さらに少人数学級が進むよう国に要望してまいります。
学校給食費にいては学校給食法で食材費は保護者負担とするとされており、無償にすることは適切ではないと考えています。その値段については学校設置者が決めますので、適切な額を設定するよう働きかけてまいります。物価高騰分については地方創生臨時交付金をつかうことにしました。生活困窮者世帯には就学支援金を出して支援しております。就学支援金の増額については国に要望してまいります。
国のGIGAスクール構想から1人1台端末が求められています。端末をどうするかについては国が措置すべきことと考えますので、国に求めてまいります。
特別支援学校は県南部、県東部に児童生徒の増加が続いています。そこで来年度の岩槻はるかぜ特別支援学校の新設、高校内分校の設置など進めています。
【生徒、保護者、教職員からの発言】
私立高校生徒
地元の公立高校に進学しましたが、校則の厳しい学校で、耐えられなくなり、1年生の途中で私立学校に転校しました。母とともに市に母子父子寡婦福祉資金の申請に行きました。市役所の人に「親に感謝だね」と言われました。転校を母は応援してくれましたが、その市役所の人の言葉で母に負担をかけているのだと自責の念にかられました。現在高校3年生になり進学を考えると奨学金を借りる必要があり、返済が不安です。❝私立学校は公立に比べて学費負担が重いのはあたりまえ。それを選んだのだから自己責任❞という考え方があります。私もそう思っていました。しかし学ぶ中でそれはおかしい。お金の心配なく学ぶ権利があると思うようになりました。私立学校にお金の心配なく学べるように私学助成の拡充を。
私立学校にかよう子どもをもつ保護者
うちの子どもが私立学校を選んだのは公立の小学校に通っていたときの状況からでした。中学校から私立に通い始めて教育費の問題が身に迫ってくるようになりました。
うちの子どもは私立学校を選びましたが、多くの家庭は公立学校を選びます。それは行きたい学校が公立学校だったというものではなく、学費のことを考えての選択だと思います。それでいいのかと疑問に思います。どの子もお金の心配なく学びたい行きたい学校を選択できるように教育予算の増額を。
学校事務職員
事務職員をしていると給食費の支払いとかでかなり保護者とやり取りすることがあるのです。生活が苦しい保護者と話をしていて就学支援金のことを知られていないこともあります。誰からの助けも受けられていないというのを感じることもあります。義務教育はこれを無償とするとしながら、教材費や給食費など保護者負担がかなりあります。タブレットは公費で配られましたが、タッチペンやタブレットカバーは保護者負担です。本日5年生6年生が校外学習に出発していきましたが、物価高騰によりバス代が値上げされました。そうした負担の中、1番の保護者負担は給食費です。先ほど回答で材料費は保護者負担と定めていると言っていましたが、様々な市町村で無償化が進んでいます。それは子どもたちの姿を見てその必要性を実感してきたからではないでしょうか。ぜひ県として学校給食費を無料にできるよう市町村を支援していただきたい。
特別支援学校教員
現在の特別支援学校は児童生徒100人から150人を想定して開校してきたと思います。しかし現在児童生徒が200人をこえる学校がいくつもあります。300人を超える学校が8校もあります。150人規模にしようとすると8校を新たに新設しないといけません。しかし県教委は岩槻はるかぜ特支を開校するのみであとは高校内分校です。特別支援学校は2007年から2015年の間に児童生徒の数が高校では1.74倍と増えていますが、小中では1.98倍となっています。高校内分校ではこの問題は解決しません。
知的不自由の特支が特に求められていますが、私が勤める肢体不自由の特支でも児童生徒が増えています。来年度の新小1は22人です。特別教室をさらに教室にしないといけない状況です。県教委は教室不足の対応を現場に任せるきりでなく、特別支援学校の増設を。
秋山県議は「2020年度で本県における教育予算は全国47位で最下位です。教育予算を増やすことが求められています。47624筆の署名は県民の願いです。ぜひ受けとめ前向きに検討いただきたい」とあいさつしました。
最後に埼玉県教職員組合北村中央執行委員長は「先ほど私立学校に通う生徒から『お金の心配なくまなびたい』との訴えがありました。これは私たちの言葉で言えば教育の機会均等実施ということです。憲法は❝義務教育はこれを無償とする❞❝その能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する❞と定めています。教育の機会均等は憲法が要請していることなのです。すべての子どもたちにゆきとどいた教育を。本日はありがとうございました」とあいさつしました。