マイナンバーカードの保険証利用が可能になりました。政府はマイナンバーカードのさらなる普及を図るため、マイナンバーカードを読み込んで健康保険の資格を確認する機器設置を4月まで完了することを医療機関は義務付けされました。医療機関から「機器導入は困難。義務とするなら廃業しかない」との声や「導入したがエラーが多い」などの声があがっています。
11月8日、村岡正嗣県議は埼玉県保険医協会の山崎利彦理事長の診療所を訪れ、マイナンバーカードの健康保険証利用と義務化についてお話を伺いました。
暗証番号3回打ち込み失敗するとマイナンバーカードの取り直し
山崎先生は「友だちの歯科医院に歯の治療に行った時、カードリーダーがあったので、エラーの状況など聞いてみました。月に数件だからほとんどエラーはないとのことだったけど、『1人どうしても顔認証がエラーになってしまう患者さんがいた。しょうがないので、暗証番号を打ち込んでもうらうことにしたのだが、暗証番号を忘れてしまったようで、1回やってエラー、2回やってエラーで、もう1回打ち込もうとするので、止めて結局、保険証を出してもらった』という話をしてました。マイナンバーカードの保険証利用には当然本人確認が必要です。顔を読み取ることで本人確認を行うのですが、顔を読み取れないとき、本人が設定した暗証番号を打ち込んでもらって本人確認を行うのです。暗証番号を3回間違えると安全のためにロックされるようになっています。そうなったら、もう一度役所に行ってマイナンバーカードの暗証番号の登録を再びおこなわなければいけなくなります。どれだけの人が自分の暗証番号をきちんと覚えているのか疑問です」と話しておられました。
オンラインでの資格確認はエラーもかなりある
山崎先生のところはマイナンバーカードの読み取り機器はありませんが、オンラインでの資格確認は行っています。オンラインでの資格確認はかなりエラーがあるというのです。
例えば“さいとう”という苗字をとっても「斉藤」「斎藤」「齊藤」「齋藤」・・・とたくさんあり、エラーになることがあります。住所も番地が半角なのか全角なのかでエラーが出ます。読み仮名も小書き文字(小さい「や」「ゆ」「よ」)に対応していないので、エラーが出ます。出たエラーについて結局は医療機関が1つ1つを確認して修正を打ち込んでいくのです。大体3割くらいにエラーが出ます。さらに厄介なのは、保険者なのに該当者なしと資格を確認できないことがあるというのです。
山崎先生は「厚労省は『マイナンバーを使えば医療機関も患者さんも便利になりますよ』と言いますが、余計な手間が増えると感じています」と言います。
地域医療体制が脆弱になるー県としても義務化反対の声を
最後に山崎先生は「マイナンバーの保険証利用は国が進めていることで県として何かできるわけではないと思います。しかし機器を設置できない医療機関が廃業することになれば、地域の医療体制が脆弱になってしまいます。すでに『3月末で廃業することを患者さんに伝えている』という医療機関も生まれているのです。医療体制を守るという観点から4月からの義務化に県として反対の声を上げていただきたい」と話されていました。