9月16日、柳下礼子団長、前原かづえ・守屋裕子・秋山もえ県議は、栃木県高根沢町立「フリースペースひよこの家」を視察しました。
高根沢町議会の澤畑宏之くらしづくり常任委員会委員長と野口昌宏同副委員長はじめ高根沢町教育委員会教育長ほかのみなさんが丁寧に応対してくださいました。ありがとうございます。
ひよこの家は、表面的な学校復帰を目指さないとして平成15年に開級しました。
ひよこの家ができるまで、町のトレーニングセンターの一室にあった適応指導教室には2,3人しか子供が通ってきませんでした。これに対して町は
①子どもたちが悪いのではなく、仕組み自体に問題がある
②学校に行けない子どもたちの権利を守るのは町の義務
③学校復帰という選択肢しかないのはおかしい
と、考えました。そして
「教育機関・行政機関から離れた場所をさがし」ー制服やジャージを見るだけで泣いてしまう子もいた
「地域住民への説明を行う」ーボランティアとともに古民家の改修をした
など取り組まれたそうです。
こうして出来上がったひよこの家の理念は
・表面的な学校復帰を目的としません。
・児童生徒の状態に応じて学習指導も行いますが、学校に代わる学習の場ではありません。
・子どもたちが安心して心を休ませ自分らしい自分を発見し、社会的自立をしていくための居場所
と、なりました。
ひよこの家に通級しているのは、現在町内や近隣の小中学生16名です。
毎年、15人前後の児童生徒が通い、これまで150人ほどの卒業生を出してきたそうです。
ひよこの家では、決まったプログラムはありません。いつ来て、いつ帰るか、どのように過ごすかはスタッフや保護者と相談しながら自分で決めます。おもにトランプやボードゲーム、動画を見たり、自主学習をしたりして過ごしています。体育は、公用車で町の体育館に移動します。
行事やスポーツにも非常に多彩に取り組んでいます。アロマコラージュ・機織り体験・カヌー体験・藍染体験、黒松苗植え、クリスマス会などです。街の施設を借りたり、地域の人やNPOなど多彩な人々の協力をいただいています。町の人たちの温かいまなざしを感じられます。
ひよこの家では、他の小中学校と同じ給食もでます。狭い道路を給食車が走れるようにするために苦労されたそうです。
ひよこの家スタッフは基本的に学校復帰を促すことはありません。
心と体のエネルギーを十分に充電し、本人の自己決定で学校復帰を決めます。安全で、安心な「なにもしなくてよい」という環境の中で、自己肯定感を回復することが学校復帰をうながすのだという考え方です。これまで、25%の児童生徒が、在籍している小中学校に復帰し、高校進学まで学校復帰と考えるとほぼ100%だそうです。
指導スタッフは、常勤の教育相談員3名、スタッフ3名です。学習支援には町の非常勤講師が1名います。町の年間予算は1500万円程度で、全額町費です。町として、大変思い切った予算措置だと一同感動しました。
20年前の適応指導教室の考え方からみるとひよこの家は相当特殊だったと考えられます。
元町長で現在参議院議員である高橋かつのり氏のイニシアティブが大きかったそうです。
高橋かつのり氏のブログには「手間、暇かけて」とかかれています。
立ち止まっている子どもたちのために「手間、暇かけて」町が取り組んでいる姿が感動的でした。