県という地方公共団体自身が、気候危機の時代に温暖化ガス削減になにができるのか?
埼玉県は、下水の汚泥を微生物の働きで「消化」させ、バイオガスを発生させることによって、発電を行う
「汚泥消化バイオガス発電」を行っています。
8月3日、埼玉県下水道局の中川水循環センターを、党県議団は党市町村議員のみなさんと視察見学しました。
水はどうやってきれいになるのか?
まず、はじめに、下水処理の基本からご説明いただきました。
本水循環センターは分流式といって、雨天の際の雨水と家庭などからでる汚水を別に処理しています。雨水は河川に放流されます。
汚水は、はじめに最初沈殿池で大きなごみを取り除いたあと、反応タンク内で微生物が汚れを食べて汚泥の塊となり、最終沈殿池でその汚泥の塊を分離し、最終的に塩素消毒して河川に放流します。
最初の沈殿池ー水はこんなに汚いです。
反応タンクの水の様子。
空気をたくさん送り、微生物の働きにより汚れを分解します。
最終沈殿池の水が展示されています。
透き通ってきれいですね。
埼玉県の流域下水道(*)は、47の市町を9施設で引き受けています。
処理量の多さが特徴で、流域下水道では全国1位が荒川水循環センター、2位が新河岸川水循環センター、3位が本日の中川水循環センターです。
(*)複数の自治体の汚水等をまとめて処理する下水道のこと
レクチャーを受けながら、私たちの暮らしの基盤にこのような施設がある、
働いていただいている方々に、一同、心から感謝の気持ちでいっぱいになりました。
さて、バイオガス発電の仕組みに移ります。
従来は、汚泥を単に焼却していたのですが
汚泥を高濃度濃縮するなど最新の技術を使いながら、微生物の働きでバイオガスを発生させ、発電します。
バイオガス発電自体は民間事業者を公募して民設民営で行っています。
汚泥消化施設は102億円ほど(3分の2は国の交付税措置)で導入したとのことですが
その目的は
①地球温暖化対策の推進
②汚泥処理・処分の効率化
③下水道資源(バイオガス)の有効活用
です。
まさにSDGsですね。
消化タンクは、県庁の本庁舎より高いそうです。
上にがんばって上がってみました。
バイオガス発電設備の前で。
思ったより小さかったです。
消化ガス発電量は、計画目標値の145%!!
これだけの成績は、汚泥の質がバイオガス発生に適していたこと、そもそも汚泥の量が多かったことなどによるそうです。
バイオガスの発電事業者への売却により、年間3億円程度の収入となる見通しだそうです。
CO2の削減量は年間1万7千トン。汚泥プロセスだけで1万2千トンになるそうです。
汚泥量は微生物による消化によって、1万トンも削減されているとか。おかげで焼却される汚泥は2千トン程度になっているそうです。
このSDGsのエースは、現在もう1か所古利根川水循環センターに設置の方向で検討中です。
ご対応いただいた今成貞昭下水道事業管理者はじめ、職員のみなさん、
丁寧なご説明、ご案内、本当にありがとうございました。