高い専門性をもって熱心に取り組み先生たちを支えるためにも教員増を

埼玉県は特別支援学校の児童生徒の増加傾向が続いています。教職員の方から「実態を見てほしい」「過密解消のためにさらに取り組んでほしい」などの声が届いています。

こうした声を受け、秋山もえ県議は6月6日、上尾特別支援学校を訪れました。

上尾特別支援学校の校長先生、教頭先生そして、上尾南分校の教頭先生がお話をしてくださいました。

 

【学校過密化の状況】
上尾特別支援学校で言えば、教室不足から1つの教室をパーテーションで区切って2つのクラスで使うということはありません。

ただ、今年度、家庭科室の3分の1を仕切って新たに1教室を作ったそうです。やがてはもとに戻していきたいとのことでした。現状家庭科室が狭くて困るということはないとのことでした。その他の音楽室や窯業室、図書室、パソコン室などの特別教室はきちんとありました。

他の学校ですと、児童生徒の増加に学校給食の調理室のキャパが追いつかず、担任をもっていない先生の給食は出ないという学校もありましたが、上尾特別支援学校ではそのようなこともありませんでした。

校長先生は「上尾南高校内に分校ができ、特別支援学級からの生徒さんがその分校に行くことができるようになり、高等部の過密が解消され、その空いた高等部の教室を小中学部で使用することができます。また先日上尾南高校で体育祭が行われ、分校の生徒も他の生徒と一緒にはじめての体育祭を経験しました。障害のある人と、ない人がともに生きる社会をつくるためにはこうした関わりは重要です。来年3校、再来年さらに3校の分校が開校しますが、生徒さんの選択肢も増えるし、特別支援学校の過密解消にもつながっていますので、重要だと思います」とのことでした。また「ぜひ分校のPRを」とも仰っていました。

 

【児童生徒を見ていて感じること】
校長先生は「保護者の中には就学前から自閉症であれば自閉症の専門家の方のアドバイスを受けている方もいらっしゃいます。そのためなのか、入学してきても落ち着いている児童が多いなと感じています。それは学校評議員会で就学前の障害のある児童を受け入れている施設の方が仰っていました」と話されていました。

 

【特別支援学校の使命】
「生活上の困難や学習上の困難を軽減するために、適切な指導と必要な支援を行うことが大事です。障害の特性を把握して、その子に応じた環境を設定した上で、学習に取り組み、できたわかったを積み重ねていくことで自己肯定感が高まっていく。それが特別支援学校の使命だと思っています。そのために先生たちの専門性が非常に大事。校内研修も積み重ねています」とのことでした。

例えば知的障害と診断されていても子どもたちひとり一人特性も違えば苦手なことも違う。その子にあったやり方で接していくことが必要で、校長先生が仰るように先生たちの専門性、経験がすごく大事だと感じました。

上尾特別支援学校では1割ちょっとでしたが、埼玉県は非常に不安定な働き方の臨時的任用教員が増えています。

専門性を積み重ねていく上では、正規教員の割合を増やしていくことが必要だと感じました。

 

【先生方は情熱をもって取り組んでいます】
校長先生は「先生方は非常に熱心に情熱をもってみなさん取り組んでいます」と力説されており、小学部1年生の授業を一瞬見させていただきました。

教室と覗くと子どもたちと先生がなぜか窓辺に集合していました。何をしているのかと思っていると先生がパソコンを使って雨音を流し、子どもたちとベランダに出て、ベットのようなものに上向きに寝転がらせていました。もちろん上には透明シートで覆いがあって、ぬれずに落ちてくる雨水を観察できるようになっています。

先生は「梅雨ならではの楽しさを味わってほしいので」と話されていました。

日々の中で雨が鬱陶しい、梅雨はいやだなと感じることの方が圧倒的ですが、こうして季節の移ろいを目で見て、音で聞いて、肌で感じ、自然への興味を広げていけたらいいなと感じました。

 

県内には先生の働き方が大変で、病気になってしまう先生がいらっしゃる学校もあると聞いています。高い専門性をもって熱心に取り組んでいる先生たちを支えるためにも教育にお金をもっとかけ、先生を増やしていくことが必要です。