10月1日に金子まさえ県議が行った本会議一般質問と答弁の全文です。
(これは、党県議団が作成したものです。)
1 4期目を迎えた知事の政治姿勢を問う
安全保障法制廃止の1点で、県民の幅広い共同を
【金子県議】
4期目を迎えた知事に改めてその政治姿勢を問いたいと思います。
安倍政権は、憲法違反が明白となり、立法の根拠も崩れ去った安全保障法制=戦争立法を、なりふり構わず強行しました。私は、この憲政史上最悪の暴挙に対して断固として抗議するものです。
何よりも戦争法は日本国憲法に真っ向からそむく違憲立法です。戦争法に盛り込まれた「戦闘地域」での兵站、戦乱が続く地域での治安維持活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権行使など、どれもが憲法9条を蹂躙して、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものになっています。だからこそ、圧倒的多数の憲法学者はいうまでもなく、元内閣法制局長官や、最高裁元判事もが、違憲であると断じたのです。
世論調査をはじめ戦争立法に対する民意も明白です。国民の8割が国会審議は尽くされていないと答えています。国会周辺には、連日数万人の国民が集まり、全国津々浦々に廃案を求める声が広がりました。これらを一顧だにしない安倍自公政権には一片の道理もありません。わが党は、戦争法廃止、立憲主義を取り戻すというこの1点で一致するすべての政党・団体個人が共同して「安保法制=戦争法廃止の国民連合政府」の樹立を呼びかけております。知事は選挙戦の中でのマスコミアンケートに対して、戦争法案について「反対」と回答しておられるのは歓迎するものです。この点で党派を超えて力をあわせましょう。
さて知事は同安保法制は違憲だと考えますか、合憲だと考えますか?反対と答えた理由をご説明ください。
【知事】
金子まさえ議員の御質問に順次お答えを致します。
まず、「4期目を迎えた知事の政治姿勢を問う」についてのお尋ねのうち、「安全保障法制廃止の1点で、県民の幅広い共同を」についてでございます。
安全保障法制は違憲か、合憲かについての御質問ですが、私も憲法の専門家ではございませんし、ましてや最高裁判所でもございません。県民を代表する埼玉県知事という立場で、安全保障関連法の合憲性、あるいは違憲性に関する個人的見解を申し上げることは差し控えるべきだと考えます。
次に、安全保障法制の整備に対する賛否を問う大手全国紙のアンケートに対し「反対」と答えた理由についてでございます。
集団的自衛権の行使を認めるべきであるという立場に立つのであれば、私は正々堂々と憲法改正という形で国民に問うことが望ましい、このように考えております。
また、アンケートの回答当時、その当時のことですが、どの世論調査を見ても国民の理解が十分に得られているとは言い難い状況でございました。
そこで、このアンケートの選択肢が「賛成」と「反対」の単純な二者択一だったこともあり、その状況下の中で「反対」とお答えしたものでございます。単純な反対ではございません。もし括弧があればいろいろ書いたつもりでございます。よろしく御理解ください。
国の安全保障政策には、そもそも国民の理解と政府に対する信頼が不可欠であります。また、同盟国との信頼関係も大事であります。
このため、安全保障政策については、与野党の多くが一致し、議論を収れんさせることが私は大事だと思っております。また、多くの国民の支持が得られることがより望ましいとは考えております。その中で、今回の決着がついた訳でございますので、政府には、国民の理解が得られる丁寧な説明をお願いしたいと考えております。
【金子県議】
続いて、「消費税の10%への増税について」です。昨年4月の8%への増税によって引き起こされた景気悪化は、未だ県民生活に深刻な影響を残したままです。今年3月の全国商工団体連合会の調査によれば小規模事業者の54%が前年比で売り上げが減ったと答えております。知事は選挙期間中に消費税の増税に対して「経済活性化策の遂行を伴わない増税ありきの増税には反対」と答えておられます。仮に、2017年の段階で、実質賃金の悪化や経済指標の悪化が続いた場合、国に対して増税に反対の声を上げる意志はありますか、ご答弁を求めます。
【知事】
次に、「消費税10%増税について」でございます。
平成26年度末に、平成29年4月に消費税率を10%に引き上げることが国会で決定されました。直近の9月24日には安倍総理は「世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡す。消費税を10%に引き上げることができる経済状況を作っていく。」と明言されました。総理が言われるように、消費税率の引上げは税と社会保障の一体改革の中で行われるべきだと思っております。
消費税率を引き上げるのであれば、誰もが安心して暮らせるような、医療、福祉、年金などの社会保障制度にしなければなりません。
しかし、現実には、まだ課題が残っているように思います。
例えば、国民年金の平成26年度の全国の現年度分納付率は 63.1%にとどまっております。また、全体の年金制度改革も含めて、まだ信頼のあるものとはなっていないように私には思えます。
また、国民健康保険制度の広域化に当たり、将来の負担増に伴う財源的な問題は解決されているわけではありません。
介護保険制度においても、制度の充実のための財源について、不明確なままでございます。こういった点をクリアにすることが、消費税率引上げの大前提ではないかと私は思います。
その上で、消費税率の引上げに当たっては景気を冷え込ませないようにすることが重要だと思います。国には、まさに税と社会保障の一体改革、このことを肝に銘じて、改革を進めていただきたいと考えております。
【金子県議】
次に医療問題についてです。知事は就任あいさつの中で、後期高齢者がピークを迎える2025年問題への対策を課題に掲げております。地域包括ケアシステムなどがその例として挙げられておりますが、医師不足解消についてはなんらの言及もありませんでした。埼玉県は2025年に医師が不足するとして、県立大学への医学部設置にむけて、順天堂大学病院のさいたま市美園への誘致を実現したと認識しております。医学部設置を国に認めさせることは困難だと知事は言われますが、宮城県に続き、千葉県でも特区での医学部新設が認められるとの報道がありました。あきらめずに、国に対して医学部設置を認めさせていただきたい。知事の県立大学への医学部設置の決意を改めてお聞かせいただきたい。
また、現在順天堂大学病院からは越谷市立病院はじめ各地の地域医療機関へ医師を派遣していただいております。順天堂病院の美園での開設は地域医療への貢献が目的のひとつであり、これらの地域医療機関から医師引き上げが行われることはないと考えますが、確認のため、知事の答弁を求めます。
【知事】
次に、「医師不足解消対策について」のお尋ねのうち、県立大学への医学部設置の決意についてでございます。
本県は全国一のスピードで高齢化が進展することで、今後の医療ニーズは急増いたしますので、医師の確保は大きな問題であります。医学部の新設は長期的な視点で見れば医師確保の有効な手段であります。
文部科学省や厚生労働省に対しては、医師数が著しく少ない地域について医学部新設の対策を講じるよう関東地方知事会議などを通じ、要望を続けております。
私自身もこの4月にも、三県知事会議を構成する泉田新潟県知事と大澤群馬県知事ともども国に要望したところです。
また昨年の8月には当時の田村憲久厚生労働大臣とお会いし、医学部設置も含め様々な意見交換をさせていただきました。今後も引き続きあらゆる機会を捉えて国に働きを掛けてまいります。
次に、順天堂病院の浦和美園での開設に際して地域医療機関から医師引き上げが行われることがないかについてでございます。
今年1月に大学附属病院を対象に整備計画を公募いたしました。
公募に際しましては、県内の医師確保が困難な地域への医師派遣に積極的に協力することを条件とし、順天堂大学からも積極的に協力する旨のお話をいただいております。順天堂大学は全国に6つの附属病院を有し、総病床数が3,000床を超え、常勤医師数も約1,000人を誇っており、自前で医師の供給をコントロールできるものだと思います。
今後、県内の医療機関に不安を生じさせないよう、順天堂大学としっかり協議させていただきます。
2 県民の安心安全のために、災害対策の強化を
(1)豪雨災害による被災者支援と災害対策の強化について
【金子県議】
続いて、「豪雨災害による被災者支援と災害対策の強化について」です。
台風18号に伴う記録的豪雨によって、茨城、栃木、宮城3県では深刻な被害が発生、茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊しました。本県でも県東部を中心に床上・床下浸水被害が2745棟にのぼり、私の地元越谷市では県内最多の241棟が床上浸水しました。
まず初めに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げるものです。
私は11日、越谷市船渡、弥栄町、大杉地域をはじめ現地調査に入りました。被災した住民の皆さんは、「道路に水があふれ避難所にたどり着けなかった」「防災無線が聞こえなかった」と語り、建設業の社長は「トラック3台、フォークリフト2台が水没して使い物にならなくなった」「もう少し早く情報があれば対策をとったのに」と訴えられました。
弥栄小学校の校長先生から、「10日は休校し、予定していた修学旅行も中止した。腰から胸までつかるほどの浸水で校庭が海のようだった」と聞き、あっという間に増水したことを知りました。大杉地域では田んぼがまるまる水につかり、稲への影響が心配されています。
本県としても、豪雨による被災者への支援、復旧・再建に万全を尽くすと同時に、被災の全容を把握し今後の災害対策に生かすよう求め、以下、質問いたします。
今回、災害情報の伝達が問題となりました。常総市でも避難指示が遅れ、多くの住民が逃げ遅れた地域、「大丈夫」と判断して避難しなかった住民がいた、防災無線が聞こえなかったなど深刻です。メール、SNS、戸別訪問などあらゆる方法で、災害情報が迅速に住民に届く仕組みづくりが必要と考えますが、情報伝達について、本県として今回の豪雨災害からどう教訓をひきだすのか、危機管理防災部長よりお答え下さい。
【危機管理防災部長】
御質問2「県民の安心安全のために、災害対策の強化を」について、お答えを申し上げます。
まず、(1)「豪雨災害による被災者支援と災害対策の強化について」でございます。
防災情報は住民に早く正確に伝えることが求められます。
そのためには二重・三重に備えをすることが有効です。
従来から行われている伝達手段には、防災行政無線、広報車や消防団による広報、ホームページへの掲載、自主防災組織や近隣住民による直接的な声掛けなどがあります。
最近では、議員も御紹介されておりましたが、緊急速報メール、ツイッター等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)なども利用されています。
速報性や効率性を考慮すると、ケーブルテレビを含むテレビ放送、コミュニティFMを含むラジオ放送なども有効です。
例えば、テレビ埼玉では県内の28市町村と契約し、災害時には避難情報などの防災情報をデータ放送によりリアルタイムで発信しています。
県では「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成例」を策定し、市町村に防災情報の多様な伝達手段をお知らせするとともに、住民の皆さんへの伝達内容や手段を盛り込んだ基準づくりを働き掛けてまいりました。
県といたしましては、今後も自らホームページなどで情報発信することはもとより、市町村が防災情報を住民に早く確実に伝えることができますよう支援し、県民の安心安全の確保に努めてまいります。
【金子県議】
次に、本県に関わる河川堤防等の強化整備について伺います。今回、鬼怒川の堤防が決壊したことが致命的でした。改めて治水の基本は河川堤防の強化、河床河道の整備にあることが明確となりました。今後、利根川や荒川、中川はじめ県内河川流域での記録的豪雨も否定できず、カスリーン台風による甚大な被災を忘れてはなりません。 利根川はじめ堤防等の強化整備は急がれるところです。
ところで、治水が目的の一つとされる八ッ場ダム建設が進められていますが、これまでも繰り返しわが党は主張してきましたが、治水対策を促進するのであれば、ダム建設でなくその膨大な事業予算を河川堤防等の強化整備に振り向けることこそ必要と改めて指摘するものです。そこで県土整備部長に伺います。
1つは、本県における国管理河川での堤防等強化整備の進捗状況はどうか、整備促進へ県として国にどう働きかけているのか。
2つ目に、県管理河川における堤防、調節池や、排水機場などについて、総点検を行うと同時に必要な対策を講じること。
3つ目に、今回の豪雨で新方川においては春日部市で川から水があふれたことが確認され、越谷市では住民から土手からの水のしみ出しがあったとの情報が寄せられましたが、調節池や河道改修もあわせ、ただちに対策を講じていただきたい。
以上、3点お答え下さい。
【県土整備部長】
御質問2「県民の安心安全のために、災害対策の強化を」の(1)「豪雨災害による被災者支援と災害対策の強化について」お答えを申し上げます。
先日の関東・東北豪雨では鬼怒川の上流にある4つのダムで合計約1億立方メートルの洪水を貯め込みました。
一般にダムによる洪水調節は、ダムの下流すべての区間で効果が表れることから、被害を大きく軽減させるものです。
今回この4つのダムがなければ、常総市で溢れた水量は、ほぼ2倍の約6,200万立方メートルと試算され、被害がさらに拡大したと推定されます。
また、八ッ場ダムについては、その他の治水対策に比べコスト及び実現性などの点で最も優位であると報告が出されております。この整備は必要不可欠であると考えております。
御質問の「国管理の河川の堤防等強化整備の進捗状況について」でございますが、利根川・江戸川首都圏氾濫区域堤防強化対策として、平成26年度は加須市大越地区の250メートルなどが完成しております。
これからも引き続き、利根川、江戸川の堤防強化対策を重点的に進めていくと聞いております。
また、国への働きかけについてでございますが、堤防強化対策など国の治水事業の推進を、毎年、国土交通省に対し働きかけてを行っております。
次に、県管理河川の総点検と必要な対策についてでございます。
堤防につきましては、日常の河川巡視や年1回の定期点検、大雨や地震の後の緊急点検などを実施しております。
今回の関東・東北豪雨の後にも、亀裂や陥没などの有無について直ちに点検を行いました。
また、排水機場などの河川施設については、梅雨入り前や台風の接近にあわせて点検を実施しております。
点検結果を踏まえ、異常があった場合には速やかに対応するとともに、現在の河川施設の治水機能を保持するため、適切な維持管理を行ってまいります。
次に、新方川における治水対策についてでございます。
まず、新方川の漏水については、住民からの情報が寄せられた後、直ちに職員が出動し現地調査を行いました。
その際、漏水やその痕跡については確認できませんでした。
漏水等の周辺住民からの情報提供にもとづく初期対応は非常に重要ですので、引き続き水防団とも協力し堤防の安全確保を図ってまいります。
また、新方川の整備についてですが、これまでに延長10.9キロメートルのうち下流から8キロメートルまで、大吉調節池を含め河川の整備が完了しております。
現在、河川の拡幅に伴う東武鉄道の橋りょう架換えを実施しており、今後も上流の未改修区間について河川整備を進めてまいります。
【金子再質問】
答弁では漏水は確認できなかったということだが、どの時点で堤防点検等の調査をしたのか伺う。
【県土整備部長】
御質問の中で、新方川の漏水のお話がございましたが、確かにそのお話を伺っております。
その日時を正確に申し上げますと、豪雨が起こったのが9月10日の夜半から11日にかけてということでございましたが、実際にその情報を事務所が入手したのは、9月15日、事務所に住民の方がおいでいただき、そこの部分に水が噴き出したというようなお話を頂きました。
それで早速その一時間後に現場に到着をして、その箇所で漏水があったかどうかの確認を現地の事務所が行っております。
その時には、御答弁申し上げましたように漏水やその痕跡については確認ができておりません。
実際この今回の豪雨につきましては、特に東部地域では内水と申しまして住宅地の水位がかなり高く上がったものですから、それが全部引くまでは河川の状況についても把握できない状況でございました。
そこで県土整備事務所等は、9月11日、水が引き始めた段階から翌12日、これは土曜日でございますが12日、13日にかけて、それぞれの堤防を一斉に実際に職員が歩いて点検をしております。
お話がありましたように、今回の雨は、越谷では観測史上最大というようなものでございますので、われわれが河川整備で想定をしている雨量をはるかに超えております。住民の皆様方の御心配も当然というふうに考えております。
今回、事務所に来ていただき、ここから水が噴いたんだというお話をいただいた箇所については、危険地点と認識をいたしまして、今後、このような大雨の情報が入り次第、そこは注意して見ていきたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、堤防は非常に重要な施設でございますので、県土整備部では常に職員が現場に赴いて点検をするという体制を今後もとっていきたいというふうに思っております。
【金子県議】
続いて、農作物被害について伺います。今回の水害では、加須、久喜、白岡市でソバが約27ヘクタール、県東部地域を中心に約4000ヘクタールの稲が浸水したとのことです。県内のある農家の話では、品質検査の結果、浸水後に刈り取ったコシヒカリの買い取り額が1万円から9300円に引き下げられたそうです。被災した農家からは稲の品質低下による減収がつよく懸念されています。県は、平年より30%以上の収量減が見込まれる場合に当たらないため、被害面積や被害額を市町村に報告を求めていないのは問題です。浸水被害をうけた全農家から農作物の被害額を調査するなど被害の実態を把握し、被災農家への支援をただちに行っていただきたい。農林部長よりお答えください。
【農林部長】
御質問2「県民の安心安全のために、災害対策の強化を」の(1)「豪雨災害による被災者支援と災害対策の強化について」のうち農作物被害について、お答え申し上げます。
まず、農作物被害の実態把握ですが、県では市町村や農協と連携し調査を行い、9月11日正午現在で、水稲では約4千ヘクタール、ソバでは約27ヘクタールの浸水を確認いたしました。
台風通過後は順調にほ場から水が引いたことから、収量への影響は少なく、埼玉県農業災害対策特別措置条例に基づく平年の収量に比べて30%以上収量が減ったとの被害報告は市町村からございませんでした。
浸水後に収穫した水稲の品質低下は、7月8月の高温や8月中旬以降の日照不足、さらには降雨による刈り遅れなど様々な要因が影響していると考えられます。
このため、今回の台風18号だけが原因で品質低下したとは言えず、その被害額の算出は困難でございます。
次に、農家への支援策でございますが、県では台風18号通過の前後に、水稲の品質確保のため、速やかな排水や倒れた稲は別に収穫するなどの技術指導を行いました。
また、台風18号の影響にかかわらず稲穂から芽が出てしまったことなどにより収量が減った場合は農業共済制度の対象となります。
ソバ農家に対しては、国の経営所得安定対策交付金が確実に受けられるよう、浸水状況の写真や作業日誌などを準備するよう周知しております。
引き続き、技術指導に努めるとともに、農家経営の安定が図られるよう、日本政策金融公庫のセーフティネット資金など様々な制度を活用し、支援を行ってまいります。
2 県民の安心安全のために、災害対策の強化を
(2)「原子力災害に備えた茨城県広域避難計画」への対応について
【金子県議】
続いて「『原子力災害に備えた茨城県広域避難計画』への対応について」です。
茨城県東海第二原発は、2018年には法定の運転期間40年となりますが、その期間を延長してまで運転させようと、日本原子力発電は国の原子力規制委員会へ再稼働申請を行いました。東海原発は、本県より最短で90キロメートルに位置します。
こうした中で茨城県は本年3月、「原子力災害に備えた茨城県広域避難計画」を作成しました。計画では原発30キロ圏96万人の住民のうち44万人を茨城県内、残る52万人を隣接する埼玉、群馬、栃木、福島、千葉5県に避難させるとしています。 埼玉県にも多数の避難者受入れとなることから、本県への説明会がこの夏2回開催されました。
最初に、この広域避難計画に関わって、国及び茨城県からどのような要請・協議があったのか、危機管理防災部長、お答え下さい。
本県は福島第一原発事故から避難を余儀なくされた1600人を超える双葉町民を受け入れた経験を持っています。原発事故による避難は長期化することは必至です。従って、避難者の受入れにあたっては適切な居住環境、医療や学校等、マンパワーの提供、生業や雇用の確保・支援等、様々必要となります。避難者の受入れは人道上からも当然ですが、現実に本県として多数の長期避難者の受入れははたして可能なのか、疑問です。本県として今後どう対応するつもりなのか、危機管理防災部長よりお答え下さい。
党県議団はこの8月末、福島市から飯館村、南相馬市、双葉町、富岡町、いわき市等、原発被災地の現状を視察しました。そこでは、避難生活の長期化が家族や住民を分断し、道路を隔てて補償金の有るなしで地域が分断されるなど、深刻な実態がありました。
福島第一原発から50キロ圏内にある飯館村が今なお帰還困難地域等に指定されている現状に照らせば、避難区域が30キロ圏内ですむという見通し自体が甘いと感じます。また96万人もの人々の避難、その内、52万人を隣接5県へ避難させることは、不可能ではないでしょうか。私は、真に住民の生命・安全を考えるなら、本県のとるべき態度は、東海第二原発は再稼働させるべきでない、この立場に立って国及び茨城県へ対応すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
【知事】
次に、「県民の安心安全のために、災害対策の強化を」のお尋ねのうち、「『原子力災害に備えた茨城県広域避難計画』への対応について」でございます。
茨城県東海村にある東海第二原子力発電所は、現在、原子力規制委員会において安全性について審査が行われております。
あわせて、茨城県が設置した「茨城県原子力安全対策委員会」においても、安全性や防災対策などに関して検討が行われていると聞いております。
茨城県が重い課題に取り組んでいる時に、隣接県の知事が軽々にものを言うわけにはなかなかいかないものだと思います。
私は原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会が新基準への適合性をしっかり審査することが必要であると思います。
その上で、国が地元住民や自治体に十分に説明し理解と支持を得て、再稼働させるか否かについて国の責任で判断すべきかと考えます。
【危機管理防災部長】
次に「(2)原子力災害に備えた茨城県広域避難計画への対応について」お答えを申し上げます。
始めに、国及び茨城県からどのような要請・協議があったのかについてでございます。
国及び茨城県から、原子力災害対策特別措置法に基づき茨城県内の市町村が原子力災害に備えた広域避難計画を策定するに当たり、本県に対し、避難者の受入れについて協議したいとの要請が来ております。
具体的には、国及び茨城県が行う広域避難計画等の説明会の開催や受入可能数調査の実施等について協力要請されております。
次に、本県として今後どう対応するつもりなのかについてでございます。
原子力災害では、住民を放射線の影響から防護することが第一です。そのためには、避難が極めて重要となります。
東日本大震災において、市町村や都道府県の区域を越えて、大規模な住民避難がなされたことを踏まえ、災害対策基本法が改正され、都道府県の県域を越えた広域一時滞在の規定が盛り込まれたところでございます。
これは、発災後、被災県から避難者受入れの協議を受けた場合は、受入県と受入市町村との受入住民数の協議等の手続を経て、市町村は、正当な理由がない限り避難者を受け入れなければならないという規定です。
今後、県といたしましては、茨城県の広域避難計画に関し、説明会に際していただいた県内市町村からの質問に丁寧にお答えし、受入可能数調査等を実施してまいります。
さらに、市町村の不安や負担を軽減するため、例えば、県備蓄物資の提供等の支援策を検討した上で、法の趣旨を踏まえ、県内市町村の御理解をいただいて、助け合いの精神をもって、茨城県に協力したいと考えております。
3 どの子にもゆきとどいた教育を実現するために
(1)教員の長時間勤務の改善を
【金子県議】
続いて「どの子にもゆきとどいた教育を実現するために」についてです。
すべての子どもたちが学ぶ喜びを実感する学校づくりは、県民全体の願いです。しかし埼玉県の教育は残念ながら深刻な状況に置かれていると指摘せざるをえません。
まず、「教員の長時間勤務の改善を」についてです。
朝4時半に起き、授業準備後、7時に出勤し、夜21時に帰宅、帰宅後も、教材研究・準備があり就寝は23時半。これは、新聞報道で、明らかになった教師の実例です。ある県内自治体のアンケートによると、教員の中で20時に退勤できるという人は29%、21時に退勤は14%と4分の1の方が常時遅くまで学校に残り仕事をしているのです。現場の教員からは「じっくり子どもと向き合いたいのに事務量が多すぎる」「事務職員や支援員を増やし担任の仕事の軽減をはかってほしい」との声が寄せられています。先生たちが切実に願っているのは、子どもたち一人一人に真剣に向き合える時間なのです。
少人数学級の実施、クラス担任の加配など必要なことは言うまでもありませんが、まずはその長時間勤務の実態を県教委が把握すべきです。そのためにも学校職場にタイムカードを早急に導入すべきです。以上2点、教育長の答弁を求めます。
(2)臨時的任用教員をなくし、正規採用を増やせ
次に「臨時的任用教員をなくし、正規採用を増やせ」についてです。
埼玉県の公立学校には、勤務の内容や時間が同じですが、1年未満の期限付き任用である定数内臨時的任用教員が、4500人以上働いています。定数内臨任の教員数に占める割合は、小中学校で10%以上、特別支援学校は20%近く、学校によっては教員の3割が臨任という実態です。担任を持つなど正規職と同じ仕事をしているにも関わらず、臨任の方は1年単位で赴任校がくるくる変わります。「信頼していた先生がたった1年でいなくなってしまった」など、1年未満の任用期間では、安定した教育は不可能です。
党県議団は、このような臨任制度は原則としてなくすべきであり、まして、定数の1割2割が臨任という状況は許されないと、再三にわたり見直しを求めてまいりました。しかし県教委は、「4月の学級編制でクラスの数が変動するので、多数の臨任が生まれるのは仕方がない。」と抜本的な見直しを拒否してきました。
しかし、隣の東京都では定数内はすべて正規任用ときいています。
東京都では、国のほうから2月ごろに定数を配られるので、学級数は3月ごろ確定し、学級数に見合った正規職員の配置は当たり前として、臨任教員比率は1~2%におさえています。東京都にできて埼玉県にできないのはなぜか。定数内臨時的任用教員は、例外的な制度として早急になくし、正規採用枠を拡大すべきと考えますが、この2点について教育長の見解を求めます。
また、臨任の方は、毎年、「来年は雇用を打ち切られるのではないか」と不安の中で働いております。来年度に向け、長期の臨任教員の場合、その経験を正当に評価し、優先的に翌年度も雇用の継続を図る、翌年も同一校での雇用を可能とするなど、その処遇改善のための措置を講ずるべきです。教育長の見解をお尋ねします。
(3)児童・生徒、保護者、教員の願いである少人数学級の拡充を
「児童・生徒、保護者、教員の願いである少人数学級の拡充を」についてです。
不登校児童生徒は、小中学校合計で減少したとはいえ、いぜん県内5000人を超えており、特に小学生の不登校児童数は2年連続増加しております。党議員団として不登校の親の会のみなさんのお話を聞く機会がありました。不登校の子どもたちは、安易に学校に行かなくなるのではありません。「学校に行かなくてはいけない、でも行くことができない」そういう葛藤の中で、壁に自分の頭を打ちつけ自傷行為に走る子、「ベランダから飛び降りれば学校を休むことができる」と飛び降りてしまう子、いつでもリストカットできるようにカッターナイフを多数集める子など、多くが異常な精神状態にまで追いつめられるのです。夏休み明けの9月1日に自殺者が増えるという内閣府の統計ですが、本県も決して例外ではありません。
こうした子どもの苦しみに心を寄せる学校にしていかなければなりません。一人一人に目が届くようにするためには、なにより少人数学級が有効です。6月定例会に請願も提出されているように、これは子ども、保護者、教職員共通の願いです。
埼玉県は国の加配制度などを利用して、小学校1,2年生を35人学級に、中学校1年生を38人学級としております。しかし、なお国に対して教職員定数の増員及び配置基準の見直しを要望しております。
今年2月の衆議院予算委員会で安倍首相も小学校3年生以上の35人学級の実現に向けて「鋭意努力をしていきたい」と答弁し、衆参文部科学委員会では少人数学級推進を求める決議を全会一致で可決しております。国にこういう機運が芽生えているときこそ、地方から少人数学級の推進の声を上げていく時ではないでしょうか。知事は選挙中も不登校児童・生徒の減少の実績を強調されていましたが、抜本的にその対策をすすめるためにも、国に対して強力に少人数学級推進を求めていただきたい。知事の答弁を求めます。
また、国がその決断を下せない現段階では、県独自に1歩でも2歩でも少人数学級を進めていただきたいのですが、教育長の答弁をもとめます。
(4)県南部に障害児学校を建設し、マンモス校を解消せよ
続いて「県南部に障害児学校を建設し、マンモス校を解消せよ。」についてです。
私は、草加かがやき、越谷西、越谷の各特別支援学校を訪問させていただきました。草加かがやきは、知的障害児の学校で小学部・中学部・高等部があり開校3年目になります。1年目は児童生徒数217人でスタートしましたが、現在は343人となり県内で1番のマンモス校となってしまいました。特別教室を転用し、教室をパーテーションなどで仕切って2学級が使用しており、隣の音が、授業に影響することもあるそうです。
越谷特支は238人が学ぶ、こちらも肢体不自由児のマンモス校です。一見広い廊下に見えますが、教室が足りないため廊下に教材などを置かざるをえない状態でした。
埼玉県教委は、2007年度から6年間に高等部単独校2校、高校内分校3校、東西南北に各1校の特別支援学校を建設しましたが、児童生徒の増加に追い付いていないのが実情です。100人から150人を想定して建設された特別支援学校に、200人以上在籍する学校が14校あり、そのうち3校は300人を超え、昨年度の不足教室数は202となっています。うち川口特支が19教室不足、春日部16、草加かがやき15、越谷5です。県南部では、これからも児童・生徒数は増加すると県教委も認めておられます。ところが「草加かがやき」までは、「教室不足対策事業」として計画的に建設を進めてきましたが、来年度開校予定の「入間わかくさ」以降の計画はありません。
わが党は、これも再三繰り返し、川口市、草加市、越谷市など県南部に知的障害児と肢体不自由児の学校の建設を求めてまいりました。今回こそ明確に「建設する」と答えていただきたい。また、児童生徒の増加を見通した、新たな建設計画を早急に立てるべきです。
また、越谷特別支援学校は13台もの通学バスを運行していますが、バスの運行時間が最長1時間半と異常です。1時間半のバス通学は大人でも耐え難いものであり、早急に短縮すべきです。教育長3点について答弁を求めます。
【教育長】
御質問3「どの子にもゆきとどいた教育を実現するために」の(1)「教員の長時間勤務の改善を」についてお答えを申し上げます。
まず、「長時間勤務の実態を県教委は把握すべき」についてでございます。
学校職員の勤務時間管理は、労働安全衛生の観点からも適切に行う必要があり、校長の重要な責務であると認識しております。
県立学校につきましては、教育局職員が学校を訪問した際に、教員の勤務実態について校長からヒアリングを行い、把握に努めております。
また、市町村立小・中学校につきましては、服務監督権者が市町村教育委員会でございますので、勤務実態の把握について、引き続き働きかけてまいります。
次に、「タイムカードを導入すべき」についてでございます。
タイムカードにつきましては、勤務実態を把握する方法の1つであると考えます。
この他にも、教員が出勤や退勤する時刻を、一覧表やパソコンに記録することにより確認する方法などもございます。
県といたしましては、費用対効果も踏まえ、今後とも研究してまいります。
次に、(2)「臨時的任用教員をなくし、正規採用を増やせ」でございます。
まず、「他の都道府県にできて埼玉県にできないのはなぜか。」についてでございます。
東京都は、地方交付税によらない財政運営を行っており、一定数の臨時的任用教員がいる東京都以外の道府県とは、実情が異なっております。
次に、「定数内臨時的任用教員を早急になくし、正規採用枠を拡大すべき」についてでございます。
県では、ここ数年、多くの教員を新規に採用し、定数内の臨時的任用教員を減らすように努めてまいりました。その結果、臨時的任用教員の比率は減少傾向にあります。
次に、「臨任教員の経験を正当に評価し、優先的に雇用の継続を図る等の、処遇改善の措置を講ずるべき」についてでございます。
臨時的任用職員の任期については、地方公務員法において、最長1年以内と規定されており、その任用については、法令上の制約がございます。
県といたしましては、現在、学校の状況や要望などを踏まえ、対応をしているところでございます。
次に、(3)「児童・生徒、保護者、教員の願いである少人数学級の拡充を」についてでございます。
学級は、学習集団であると同時に社会性を育むための生活集団としての機能を持っていることから、適正な学級の人数に関しては、様々な意見がございます。
したがって、市町村教育委員会や学校がその実情に応じて、最も効果的な方法を弾力的に選択することができるよう、教員定数を確保していくことが重要であると考えております。
現在の厳しい財政状況では、国による安定的な財源措置が不可欠でありますので、引き続き国に対して、教員定数全体の増員を要望してまいります。
次に、(4)「県南部に障害児学校を建設し、マンモス校を解消せよ」でございます。
まず、「県南部に知的障害児と肢体不自由児の学校建設を進めるべき」についてでございます。
議員お話しの県南部への対策につきましては、今後の児童生徒数の推移や障害種別の学校状況も踏まえ、総合的な観点から、具体的な対応方法も含め、しっかりと検討してまいります。
次に、「児童生徒の増加を見通した新たな建設計画を早急に立てるべき」についてでございます。
県では、今後の児童生徒の増加への対応について、新たな学校の整備だけでなく、小中学校の特別支援学級の設置促進など、多様な学びの場を整備することが重要だと考えております。
そのため、児童生徒数の推移や保護者のニーズ、地域バランスなどのほか、市町村との役割分担も踏まえた対策について検討を進めてまいります。
次に、「スクールバスの通学時間を早急に短縮すべき」についてでございます。
スクールバスについては、毎年度、児童生徒数の推移や一人一人の障害の状況を考慮し、運行便数やルートの見直しを行うなど、児童生徒の通学負担の軽減に努めております。
今後も引き続き、保護者の要望にしっかり耳を傾け、児童生徒の障害の状況を踏まえて、スクールバスの運行改善に取り組んでまいります。
【金子再質問】
特別支援学校の増設について、現状に合った、いわゆるマンモス校を解消するという方向で具体的に計画していただきたい。
越谷特別支援学校は肢体不自由児の学校だが、7市1町がエリアで、バス通学に1時間半かかる。川口・鳩ヶ谷方面から100人くらい越谷の学校へ通っている。
それらを踏まえ、早急に改善策、増設計画を具体的に立てるべきと考えるが、再度答弁をお願いしたい。
【教育長】
都市部を中心とする県南部地域における対策の必要性につきましては、十分に認識しております。
学校の設置に当たっては、児童生徒数の推移や地域バランスなど多岐にわたる項目を慎重に検討する必要がありますが、できるだけ早期の対応を行っていきたいので、御理解いただきたい。
【知事】
最後に、「どの子にもゆきとどいた教育を実現するために」のお尋ねのうち、「児童・生徒、保護者、教員の願いである少人数学級の拡充を」についてでございます。
議員お話しの不登校問題については、就任以来、真正面から取り組んでまいりました。具体的には、市町村別の不登校出現率を明らかにし、市町村と連携しながら、改善に努めてまいりました。その結果、中学生の不登校出現率は平成18年には全国ワースト8位でありましたが、直近の平成26年にはベスト7位まで向上をいたしました。国に少人数学級の推進を求めていただきたい、とのお話ですが、肝心の文部科学省は平成28年度の概算要求において財務省に要求をしておりません。
少人数学級には、良いところもあれば課題もあるのではないかと思います。
例えば、少人数であれば、授業で子供の活躍の場が増える。あるいは教師が細やかな指導ができる。こういう利点があると思います。
一方、人数が多い方が子供たちにとって多様な人間関係の中で成長ができる。あるいは多くのチームで切磋琢磨ができるとか、いろいろ利点があるかと思います。
そこで私は、少人数学級という一律の方式の前に、まずは各学校における子供たちの学習や生活の状況に応じて、きめ細かく教員を配置していくことが望ましいと考えております。いわゆる加配でございます。
そこで本県としては、学力向上や生徒指導などの課題に対応できるよう、教員定数全体の増員を国に対して要望してまいります。
4 相談が激増する越谷児童相談所の拡充を
【金子県議】
続いて「相談の激増する越谷児童相談所の拡充を」についてです。
格差と貧困の広がりなどを背景に子育ての困難さが増し、児童相談所の役割は重くなる一方です。県内虐待通告は過去最多の7028件に達しています。先日、お話を伺った地元の越谷児童相談所では、育成相談や虐待などを含む相談の総数はこの16年間で20倍の1188件に達している一方、職員体制は3倍増にとどまっています。とりわけ越谷児童相談所は北は幸手市から南は三郷市の広大な地域を管轄しており、その人口規模は127万人強と県内最高となっています。
児童福祉司など児相職員を抜本的に増やすとともに、春日部支所の創設や草加支所の児童相談所への格上げをし、管轄区域を分割すべき、と考えます。福祉部長の見解を求めます。
また越谷児相には、定員30人の一時保護所があり、25名の子どもたちが入所していました。入所率はつねに8割から9割であり、そのうち、中学生以上が3分の1を占める時もあります。部屋は6人部屋など相部屋が基本です。一時保護という原則ではありますが、平均在所日数は38日間と1か月以上の滞在が常態化しています。
一時保護所には虐待と非行という異なる理由で保護された子どもたちがおり、トラブルが絶えない、人手不足で、管理優先の対応だなどの指摘もあります。心身ともに傷ついた子どもが生活する環境として改善が必要です。
児童養護施設と同様、個室化など環境改善を進めるために越谷の一時保護所を増設すべきです。福祉部長よりお答えください。
【福祉部長】
まず、越谷児童相談所職員の増員についてでございます。
越谷児童相談所の職員につきましては、草加支所を含め、現在68人であり、平成10年度の23人から45人増員しております。
増員の主なものは、虐待対応などを担当する児童福祉司18人、心のケアをする児童心理司4人の他、一時保護を担当する児童指導員、保育士など18人でございます。
今後とも、増加する児童虐待相談に適切に対応できるよう、必要な体制の確保に努めてまいります。
次に、越谷児童相談所春日部支所の創設についてでございます。
越谷児童相談所は、県内最多の管内人口と相談件数を抱えていたことから、平成22年4月に草加支所を設置しました。
その結果、越谷児童相談所本所の現在の管内人口や相談件数は、他の児童相談所と同等の規模となっておりますことから、春日部支所の設置は考えておりません。
次に、草加支所の本所への格上げについてでございます。
現在、草加支所の総務業務や里親支援などの業務は、越谷児童相談所本所が担っており、支所を本所にした場合、これらの業務を担う職員を増員する必要があります。
また、現在の施設はすでに手狭であり、新たな施設の確保などの課題も生じます。
支所を本所にすることにつきましては、このような課題を踏まえ、今後の児童虐待通告の状況などを見ながら検討してまいります。
次に、越谷児童相談所の一時保護所の増設についてでございます。
一時保護所は、虐待を受けている児童などを、一時的に家庭から引き離して緊急に保護する場所であり、長い期間の入所を想定していないことから、個室化していない状況にあります。しかし、近年、中学生以上の高年齢児童や集団になじめない児童など処遇上配慮を要する児童の入所も増えております。このため、現在は、児童の事情を考慮し、3室ある静養室を個室として使用するなど、弾力的に対応しております。
越谷児童相談所の一時保護所の増設につきましては、施設の建設費などの課題もあることから、今後の施設の建替えなどの機会を捉えて検討してまいります。
5 県民の安全な暮らしを支えるために
埼玉県警最悪の不祥事に対して、第3者による検証を
【金子県議】
続いて「県民の安全な暮らしを支えるために」の「埼玉県警最悪の不祥事に対して、第3者による検証を」についてです。
「県警最悪の不祥事」と報道された現職警察官による朝霞男性殺人事件は県民を驚愕させました。その驚きも冷めやらぬ中、熊谷6人殺害事件が発生しました。
朝霞男性殺人事件の容疑者の警察官には、交番を訪れた女性と不適切な関係になったという処分歴がありました。また以前捜査に入った際に知りえた情報を利用し、朝霞市の男性宅に押し入った可能性があるとの報告です。警察官が、業務上の関係や、捜査上知りえた県民のプライバシーを利用したという点が、この事件の「最悪の不祥事」といわれる所以です。
県警はこの点について、全力をあげて事実を解明し、その防止策を明らかにすべきです。
しかし、12日の記者会見で県警監察室は同容疑者の勤務態度について「仕事上問題はなく、職務を執行していた」と発表しました。私生活には問題があったが、勤務態度には問題がなかったという説明でした。しかし私生活の乱れが職務に直結した事件について、このような認識では十分な教訓は導き出せないのではありませんか。県警本部長の見解を求めます。
朝霞事件の発生によって、あの桶川ストーカー事件で失墜した埼玉県警の信頼は、再び地に落ちました。その信頼を回復するためには抜本的な対策を必要とします。私は、内部監察に任せず、外部を含めた第3者による経緯の検証を行い対策を講ずべきと考えます、またその結果を県民に広く公表すべきです。県公安委員長、この2点について見解を求めます。
【警察本部長】
まず、(1)「埼玉県警最悪の不祥事に対して、第3者による検証を」でございます。
県民の安全安心を守るべき警察官が、重大な犯罪を起こしたことは、言語道断であり、警察の信用を著しく失墜させるものであります。
本件については、なお捜査中であり、現時点において、当該職員の私生活上の問題等を十分に把握できていなかったことが、原因の一つであるとみられますが、今後、本件犯行と業務に関して知り得た警察情報との関連性も含め、事案の原因・背景を解明しまして、二度とこのような事案が起こらないよう再発防止策を徹底する所存でございます。
【公安委員会委員長】
この度、本県警察官が重大な犯罪で逮捕されたことは、極めて遺憾であり、公安委員会を代表してお亡くなりになった被害者のご冥福を御祈りいたしますとともに、ご遺族の方々に衷心よりお悔やみを申し上げます。
はじめに、今回の不祥事を受け外部を含めた第三者による検証を行い対策を講ずることについてでありますが、公安委員会では、本件事案の発覚段階において警察本部から即時に報告を受け、被疑者が逮捕された翌日には臨時会議を招集し、警察本部に対して報告を求めるとともに必要な指導を行っております。その後の定例会議におきましても事案の調査及び再発防止対策についての確認や指導を行っているところであります。
現在、警察本部において本件事案の全容解明に向けての捜査及び調査が実施され、併せて再発防止対策について検討がなされているものと承知しており、公安委員会といたしましては、今後とも、県警察に対して適時適切な報告を求め、県民の信頼の回復に向けた組織運営が図られるよう、厳格な管理に努めてまいります。
次に、県民に対する公表についてでありますが、定例会議等における警察本部からの報告等については、引き続き、ホームページにより公表してまいります。
5 県民の安全な暮らしを支えるために
(2) 越谷レイクタウン駅前に交番設置を
【金子県議】
最後に「越谷レイクタウン駅前に交番設置を」についてです。
県民の安全な暮らしを支えるよりどころとなる交番は、地域の治安維持の拠点として重要な役割を果たしています。
レイクタウン駅前交番の設置については、地元越谷市からも再三にわたり要望が出されています。越谷レイクタウン区画整理事業は、2014年11月に完了し、計画人口は22,000人、大型商業施設イオンレイクタウンには年間5000万人が来客しています。犯罪件数も増加傾向となっています。この間、地域の要望にも応えながら、移動交番が土、日、祝日に配置されておりますが、地域住民からは、交番設置が切望されているのです。
すでに、越谷市はレイクタウン駅北口駅前広場に200㎡の交番用地を確保し、市長を先頭に要望してきました。隣接する大相模地区にある交番の耐用年数があること等を理由に開設がためらわれているようですが、大規模商業施設の進出など地域の情勢や犯罪状況などをふまえて早急に交番を設置すべきと考えますが、県警本部長の答弁を求めます。
そもそも、2006年の交番再編統合以来、県警は交番の新設は行わない方針です。どこかの交番を廃止しなければ、新設できないという方針は、大規模商業施設などの進出が著しく、人口増加が続く埼玉県南部にとって、現状に合いません。埼玉県独自の姿勢として、必要な地域には交番を新設するとの方針に転換すべきと考えますが、県警本部長の答弁を求めます。以上です。ありがとうございました。
【警察本部長】
越谷レイクタウン地区につきましては、現在、同地区の開発情勢や地域の要望等を踏まえ、当該地域を管轄する大相模交番に対して、交番勤務員や交番相談員を増員して体制強化を図り、パトロールの強化や事案対応に当たっております。
また、週末や祝祭日の昼間、同駅前に移動交番を開設し、遺失物の届出や困り事相談の受理をしているところであります。
交番設置の基本方針につきましては、警察官数が限られている現状から、地域の犯罪発生状況や交通事故発生件数などの治安情勢、人口、面積、近隣の警察施設の設置状況などに加え、地域住民の意見要望等を総合的に勘案し、効率的かつ効果的に警察活動が行えるようバランス良く行うこととしており、当面は、交番や駐在所の移転・統廃合が伴わない交番の新設は見送ることとしております。
越谷レイクタウン駅前への交番の設置につきましては、交番設置の基本方針を踏まえまして、今後も総合的に検討し、関係機関とも連携して、適切に対応してまいります。