5月19日党県議団は「ZOOMハイブリッド 公営住宅縮小問題学習交流会」をひらき
党市町議員など30人が参加しました。(音声に難があり、ご迷惑をおかけしました)
はじめに、党県議団を代表して、秋山もえ県議が報告
2月定例会予算特別委員会における質問と部長答弁を紹介し
この問題について、学びあい交流すること
また、そのほか県営住宅・市営住宅をめぐる課題を交流したいと呼びかけました。
自民党県議の質問に対し、県都市整備部長は明確に
「県営住宅の戸数については、将来の世帯数がどうなるかということを勘案し、また地域の実状に応じて団地の廃止や集約化による再編をおこないながら、一定数を確保することとしております。需要が低い団地につきましては、これまでの5カ年間で6団地78戸の廃止をするなど見直しをしております。」
「たとえば令和4年度の検討については、840戸を擁する上尾シラコバト団地の建て替えを進めるにあたり、現在の入居状況などを踏まえ、真に必要な戸数へと規模を縮小することについて、来年度検討する予定でございます。」と、県営住宅はもちろん、上尾シラコバト団地の縮小について述べています。
その後、国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事の坂庭国晴さんより
「公営住宅をめぐる最近状況と国の方針、運動をどうすすめるか」という講演をしていただきました。
埼玉の公営住宅率、首都圏最低
坂庭氏は最近の10年間に公営住宅が各地で激減されてきたことを示し、
特に埼玉県が公営住宅率が首都圏の中で一番低いと強調しました。
<配布資料より>
Ⅰ.埼玉県(1都3県)の公営住宅管理戸数と公営住宅率
(表1) 最近10年間の推移と現状(管理戸数の縮小状況) (国交省・公営住宅管理実態調査)
(単位:戸)
2011年度 | 2016年度 | 2020年度A | 最近のピークとの減少戸数 | |
埼玉県 | 43,510戸 | 43,722戸 | 43,430戸 | 44,045-A=▼615戸 |
東京都 | 267,741 | 272,474 | 271,304 | 272,474-A=▼1,170 |
千葉県 | 40,154 | 40,048 | 39,635 | 40,154-A=▼519 |
神奈川県 | 107,764 | 107,777 | 107,691 | 108,011-A=▼320 |
全 国 | 2,173,419 | 2,162,484 | 2,139,723 | 2,173,419-A=▼33,696 |
最近の管理戸数のピークは、埼玉県・2014年度、東京都・2016年度、千葉県・2011年度、
神奈川県・2019年度、全国・2011年度。なお、「公営住宅管理戸数」は空き住戸含む。
国の住生活基本計画(全国計画)は、2011年、2016年、2021年に策定。
埼玉県:①住宅総数・3,384,700戸(B) A÷B=1.28%
②居住住宅数(空家除く)・3,023,300戸(C) A÷C=1.43%
東京都:①7,671,600戸=3.53%、②6,805,500戸=4.00%
千葉県:①3,029,800戸=1.31%、②2,635,200戸=1.50%
神奈川県:①4,503,500戸=2.39%、②4,000,000戸=2.70%
埼玉県の公営住宅率は首都圏(1都3県)の中で一番低く、全国平均を下回る
国の住生活基本法は公営住宅「つくらず、入れず、追い出す」の3悪
国は、坂庭氏らの団体に対し
「住生活基本法では、都道府県が公営住宅の供給目標量を定めることとされており、
その際、本計画別紙5の考え方により、地域の実情を踏まえて、新規の建設も含めた供給の目標量を設定することとしております」との回答をしました。
「本計画別紙5」とは、「公営住宅の供給の目標量の設定の考え方」です。と坂庭氏
その冒頭は「地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」と明記しています。これは重要な記述です。
ところが、計画では 「供給の目標量」を「・・・・既存公営住宅の空家募集の戸数を合計した戸数」としていて、公営住宅(全国)の全供給戸数の9割以上がこの「空家募集の戸数」となっているです。
しかも「割増家賃の徴収や明渡請求など収入超過者・高額所得者対策の実施、世帯人員等に応じた住戸への住み替えの促進、定期借家制度(期限付き入居)の活用等、公営住宅の管理の適正化に配慮の上、設定すること。」ときわめて細かく指示しています。
つまり、公営住宅の空家をつくり出し、増やすため、居住者の追い出しなどを積極的に行えというものです。
坂庭氏は現実の公営住宅は、いわゆる「つくらず、入れず、追い出す」の3悪が進行している状況にあり、抜本的な改革が必要となっていると告発しました。
空き家数と空き家募集数は違う!!!?
坂庭氏は、公営住宅供給目標が、空き家募集数をもとにしており、実際あいている空き家数とは違うと指摘」しました。
県「住生活基本計画」(46P)の「公営住宅の供給戸数の目標量」。「県及び市町村が供給※する公営住宅は、次表に示す戸数を目標量とします。」
前期(5年間) | 全体(10年間) | ※供給:新規、建替えなどの整備に伴う供給(建替えに伴う既入居者向け供給を含む)及び空き家募集をいう。 |
2021~25年度 | 2021~30年度 | |
12,000戸 | 24,000戸 |
公営住宅の供給戸数の算出式
A:空家のうち入居者募集する戸数+B:建替又は全面的改善等の戸数(戻り入居に対応する住戸を含む)+C:新規整備(新規建設、買取り又は借上げ)する戸数。A+B+C=戸数
空家募集戸数=「公営住宅ストック数のうち募集対象戸数」×「年間空家発生率」×「空家発生増加係数」×「計画期間」
「年間空家発生率」=「募集戸数」÷「募集対象ストック数」÷「機関(年)」
埼玉県公営住宅の応募倍率は、全戸平均で3倍です。実際は10倍20倍となっている団地もあります。
その一方で募集しないでストックしている空き家があるとしたら、重大な問題です。
また、空き家が発生していることを理由に、県営住宅を縮小するということがあるなら、さらに重大です。
運動の力で、県営住宅の改善を
坂庭氏は
東京住宅運動連絡会(東京住宅連)の運動を紹介し、運動で公営住宅の建設や、恒常的家賃補助を実現しようと呼びかけました。
東京住宅運動連絡会とは 東京公営住宅協議会、東京(多摩・23区)公団住宅自治会協議会、東京公社住宅自治会協議会、東京借地借家人組合連合会、東京土建一般労働組合、都庁職組住宅支部(事務局)など
空き家をほっておく????
その後、埼玉県生活と健康を守る会の高藤さんより、報告がありました。
◎県との交渉の中で、「今後は都市部の需要のある地域に集約していく」と県は話していた。
◎私たちがつかんでいる事例では、団地の5割程度が空き家になっているところがある。
しかし、募集もしない。
住民退去後、すぐにリフォームしないで、しばらくほっておいている。
中にはハトの巣になっているところもある。
浴槽がない、ガス台がない県営住宅
◎浴室があっても浴槽がない団地がある。入居者が自前で設置しなければならない。
同様に、ガス台がないところもある。
修繕の際に、設置してほしいというと、「なかったものはつけない」
連帯保証人いらなくなったはずなのに
◎民法の改正があって、入居の際に連帯保証人が必要なくなった。
しかし、以前から入居していた人が、連帯保証人が亡くなった場合など
また、別の連帯保証人を求められている。
埼玉県でも家賃補助の拡充を
◎、埼玉県の家賃減免制度が条件が厳しすぎる。として、下記のような例を示しました。
各地の家賃減免制度を当てはめた場合
①母子3人世帯 さいたま市(1級地の1) 所得:1,936,800円
②夫婦子ども世帯 蕨市(1級地の2) 所得:1,636,400円
③高齢夫婦世帯 富士見市(2級地の1) 所得:695,400円
④親子世帯 東松山市(3級地の1) 所得:483,040円
上記例*埼玉県営住宅では、いずれも家賃減免対象となりませんでした。
都営住宅
①非該当
②認定所得月額 41,366円…3割減額
③ 〃 26,283円…4割減額
④ 〃 3,040円…5割減額
神奈川県営住宅
①非該当
②認定収入月額 41,366円…3割減額
③ 〃 26,283円…5割減額
④ 〃 3,040円…6割減額
千葉県営住宅
①認定収入月額 75,566円…2割減額
② 〃 41,366円…4割減額
③ 〃 26,283円…6割減額
④ 〃 3,040円…8割減額
このような報告の後に、各地の報告がありました。
退去時たたみ・ふすまの修繕をもとめられ・・・・
所沢市営住宅 退去の際にたたみ・ふすまを修繕しなければならない。
高齢になり4階から1階へ移る際にも、修繕を求められ15万円も要求された。いっぺんに払えず、分納となった
川越市営住宅 浴槽・給湯器は設置されていない。自分で設置するが、退去の際に処分を求められている。
20年ぐらいこの問題を取り上げてきたが、市が一向に改善しない
埼玉生活と健康を守る会からは
「条令でたたみ・ふすまの退去時修繕は義務付けられている。
借地借家法では『故意でない経年劣化は退去の際に修繕を求められないとなっている。
条令が借地借家法の外にある。ぜひ、議会でも取り上げてほしい」
公営住宅は命綱だ
与野の県営住宅に住む住人からは
「53年前に入居した。公営住宅は命綱だ。ぜひ、公営住宅を増やしてほしい」と発言がありました。