2019年台風19号による越辺川の氾濫は坂戸市周辺に甚大な被害をもたらしました。
その被災地でもある、坂戸市の原農場を視察しました。
国土交通省は、越辺川の氾濫対策として遊水池建設を計画しています。
原農場の田圃38ヘクタールがこの遊水池計画内に含まれています。
原農場は米麦100ヘクタールを作付けし、小麦「ハナマンテン」県産ブランド米「彩のきずな」麦茶用大麦「すずかぜ」を生産しています。
案内役の埼玉県農民連の松本慎一さんは、「埼玉県有数のコメ生産者」「カブトエビを使った有機農法は1朝1夕でできるものではない」
「私は加須でコメを作っているが、原さんのコメのおいしさには頭が下がる」と絶賛します。
この原農場の田圃のほとんどが、遊水池内にありますが、90年に3,4回あるかないかの豪雨の際に使われるだけなので、国の補償は最初の1回きり。
土砂で田圃が埋まっても、その際には何の補償も支援もありません。これでは、「農業を続けていけない」と原伸一社長は訴えます。
コメを乾燥させる大規模な機械。騒音がひどいので住宅地にはつくれず田圃の真ん中にうつしました。
ここも遊水池予定地内です。
1回に5トンもの鶏糞などをまけるトラックもあります。
これらが水につかることになれば、損害は計り知れません。
原社長は埼玉県の農業経営改善計画認定者です。
川越市、坂戸市、川島町に大規模な農業計画を展開し、自治体から集中的に支援を受けます。
「もう耕せないという農家から、土地を預かって耕している。
大変な仕事だが、みなさんに感謝されると、それがうれしい」と原社長は語ります。
地域の維持管理を一手に引き受けている存在といっても過言ではありません。
農民連は、原農場のごく近隣に代替となりうる土地があると対案を提案しています。
原社長も「遊水池を作ることに反対ではないが、別の案をもってほしい」と
近く、近隣のみなさんと「田圃を守る会(仮称)」を立ち上げる考えです。