8月4日、党埼玉県委員会対策本部と党県議団は、県庁知事室において大野元裕知事に表記の申し入れを行いました。伊藤岳参議院議員が同席しました。
はじめに、伊藤参議院議員が「志位和夫党幹部会委員長の新型コロナ対策に関する緊急申し入れ」を知事に説明し、続いて秋山もえ・村岡まさつぐ県議が表記の申し入れ文について説明をしました。
これに答えて知事は、
・全国3番目のPCR検査数で陽性率が低い。しかしこれだけでは足りない。さらなるPCR検査拡大が必要だとして、先週の知事会見でのPCR拡大方針を詳細に解説。
・特に、集団感染の恐れを認めた際「学校はフロア全体」「保育所は全体」の検査を行うと具体的に説明を受けた。
・今後、施設感染を防ぐために、積極的に学校医・産業医が抗体採取を担っていく方向とのこと
・医療施設の整備について、600床の確保は「書面上で完了している」とのこと。次のステップ1000床目指して取り組んでいる。
・知事としては、一定数のホテルは確保できたが、これから先の確保が難しいと考えている。(ホテルの絶対数が、千葉や神奈川の3分の1しかないので)
と、述べていました。
以下申し入れ全文
埼玉県知事 大野元裕 様
2020年8月4日
日本共産党埼玉県委員会新型コロナ対策本部長 荻原初男
日本共産党埼玉県議会議員団 団長 柳下礼子
新型コロナウイルス感染拡大を食い止めるためにPCR検査の抜本的拡大を
新型コロナウイルス感染症対策のため、昼夜を分かたず奮闘されておられる埼玉県職員の皆さんに心から敬意を表します。
県の総力を挙げた努力の一方で、コロナ感染の拡大は、極めて憂慮すべき段階となっています。県内の陽性者は7月末には連日50人を超え、入院中患者はすでに254人(7月30日)で病床の4割を突破しています。宿泊療養者もすでに100人を超えました。感染がこのまま抑止できなければ、短期間急激な感染拡大が発生し、医療ひっ迫・医療崩壊に至る危険性があります。特に、政府の「Go Toトラベルキャンペーン」の実施はさらに危険性を増大させると危惧するものです。
この状況に際して、知事が7月28日にPCR検査拡大方針を発表したことは高く評価するものです。しかし、今この局面を脱するためには、これまでの規模を大きく踏み越えたPCR検査を実施し、陽性者を隔離保護する取り組みを決断するしかないと考えます。
具体的には、さいたま市内の陽性率が特別に高く、感染震源地が形成されている恐れがきわめて高いと推察します。同地域に対する特別な手立てが必要です。
また、施設の集団感染も急速に広がっており、関係者に極度の不安を与えています。埼玉県内各地の公立・私立の小・中・高等学校で、連日陽性者が発生しています。同じクラス内で陽性患者が判明しても、陽性者が一人ではクラス全体の行政検査は行われません。しかし、教室内ではマスクを外す機会も多く、子ども同士の予想のつかない接触は多数引き起こされます。感染不安から同級生たちは、3万円以上の自費での検査を受けているのが実態です。県は先にのべたようにPCR検査基準を、「濃厚接触者のみ」から「陽性者と有症者」がいる集団に属する方などに拡大をしましたが、一人でも感染者が発生した際には集団内の広範囲にPCR検査を実施すべきです。
クラスター発生は時間との戦いです。白岡市の障害者施設では一人の感染発覚の際、保健所の判断は3日後のPCR検査実施でしたが、施設の強い要請で翌日に検査が実施されました。その際に9名の感染が判明しており、保健所の判断通り3日後の検査であれば、さらに大規模なクラスターとなっていた可能性があります。検査の実施方法や体制を早急に見直す必要があります。
ある高齢者介護施設では、陽性者が判明し、利用者へのPCR検査は決定されましたが、検査の順番決定の際に利用者の健康上のリスクが考慮されず、人工呼吸器装着者が後回しにされるなどの例もありました。保健所は基礎疾患の有無などを確実にチェックすべきです。
PCR検査数の拡大には、抗体採取や検査の体制強化が不可欠です。さいたま市や川口市は、唾液によるPCR検査を導入し、市内の広範な医療機関による検査を始めます。安全性の高い唾液検査を広げるべきです。
このような点から、以下の内容を強く要望するものです。
記
一、エピセンターの存在が危惧されるさいたま市内の感染情報を、詳細に公開するようさいたま市当局に求めるとともに、そこに検査能力を集中的に投入して大規模で網羅的な検査を実施できるよう支援すること。
一、施設感染防止のために、一人でも感染者が出た場合その集団全員のPCR検査を実施すること 陽性者が複数にわたるなどクラスター発生の恐れがある場合は、繰り返しPCR検査を実施すること。
特に、高齢者や障害者などリスクの高い集団の場合、迅速に全員検査実施と結果の連絡、COVMAT投入をすすめること。
一、施設や集団での発熱者等の訴えに対し、PCR検査の実施及び対象者の特定において、保健所は当事者への直接面談を基本として判定すること。その際、基礎疾患の有無など丁寧な調査を行うこと。特に、一義的に調査を担当する感染担当保健師の研修を徹底すること。
一、PCR検査拡大には検体採取の体制強化が不可欠であることから、唾液による採取、保健所管轄域を超えての連携、対象者の分散採取など、あらゆる手立てを講ずること。
一、全県域をフォローする検体採取専門チーム及び検体採取専門車両の整備を早急に検討すること。
一、保健所の保健師を増員するとともに、感染者のデータ入力やデータ分析などの業務を軽減するため、県内の医療系大学の協力を得て学生や教員の支援を受けられるようにすること。
一、地方への感染拡大につながる危険が高い「Go Toトラベルキャンペーン」は直ちに中止し、1.3兆円の予算を医療機関等への支援に回すよう国に申し入れること
以上