3月13日、柳下礼子団長は談話「2月定例会を振り返って」を発表しました。
一、本定例会には、1兆8289億9千8百万円の平成27年度一般会計予算案をはじめとした19本の当初予算案や、国の地方創世や緊急経済対策などを元にした平成26年度補正予算案、また教育委員会改悪法に基づく条例案など知事提出議案76件が審議され、76本が可決・同意された(一本は修正の上可決)うち党県議団は17件に反対をした。
自民党が当初予算を修正
一、本定例会では最大会派である自民党と上田知事が対立する場面が見られた。各常任委員会、予算特別委員会の場で、いくつかの予算案に対して自民党県議があいついで質疑を行ない,問題点を指摘した。予算特別委員会の最終日には、利根川堤防に築くメガソーラー予算を一般会計の環境部から除き予備費に回す修正案と、付帯決議が自民党より提出された。
しかし、修正はこの部分のみに留まり、修正部分をのぞく一般会計予算をはじめとしたその他の知事提出議案は、社民・共産をのぞくオール与党で可決された。(修正案は自民党の賛成で可決)
党県議団は修正に対し「治水対策の基本は堤防の強化です。国土交通省を説得してまでの構造物の設置は論外です。事業予定地は、県内でも脆弱と言われ強化事業が行なわれている河川堤防です。このような場所に総事業規模約13億円もの費用を投入してメガソーラーを設置する事業は認められません。加えて、地元に対する説明も行なっていないことは重大です。」(村岡県議討論)としつつ、この修正を行なっても一般会計予算案には賛成できないとして、修正案に反対した。
大規模開発と企業誘致の予算
一、当初予算案には、障害者の保護者たちの切実な願いであり、県議団も一般質問で強く求めてきた在宅超重症心身障害児の家族に対するレスパイトケア事業費が前年の20倍に広がるなど大きな前進も見られた。しかし①乳幼児医療費や重度心身症障害者医療費助成制度などの改悪を継続したこと②八ッ場ダムに続き霞ヶ浦導水事業、思川開発事業など大規模公共事業の継続再開③イオン系企業のみの利益に寄与し、埼玉県農業に打撃を与えかねないスマートアグリ推進事業④県立小児医療センター建設促進であることなどの理由から一般会計予算案などには反対した。また、地域整備事業会計には地元経済への悪影響が懸念される県北・秩父地域振興施設整備事業により反対した。
一予算特別委員会に自民党より提出された付帯決議は、スマートアグリ推進事業や県北・秩父地域振興施設の整備事業などに配慮や注意を求めるものである。中には幼稚園保護者への父母負担軽減金(一般)が4年前に廃止されたことをうけて、園舎などの耐震化が一段落したら父母負担を軽減するための対策を充実させるという、定例会に提出された新日本婦人の会の請願に配慮した文言もある。が、党県議団は、予算案への賛成を前提とした付帯決議であることから反対した。
一、「平成26年度埼玉県一般会計補正予算」は国の地方創生関連法と緊急経済対策予算に基づくものであり。個々の内容には賛成できるものもあるが、安倍内閣のいう地方創生は、人口減少への危機感をあおり、公共サービスを整理、統廃合し、民間投資の活用をすすめ、農地転用など規制緩和を促進し、社会保障分野では地域医療機関の再編縮小を進めるとして、国の地方創生と経済対策には賛成できないとした。
教育委員会制度改悪条例等には反対
一、いわゆる「教育委員会制度改悪法」の施行に伴い整備される3本の条例は、教育政策の大本となる大綱の決定権を首長に与え、教育委員長を廃止し、教育長の任命権も首長に与え、教育委員会と教育長との関係を逆転させ、教育委員会を首長任命の教育長の支配下におくものであり、許されない。教育は、教員と子どもとの人間的なふれあいを通じて行なわれるもので、そのためには教員の自由や自主性が欠かせない。だからこそ、憲法は政治権力による教育内容への介入・支配は厳しく戒められている。したがって、教育行政の自主性を損ない、現場を萎縮させる本条例案に反対した。
昨年の大雪被害農家への再建支援要求
一、予算特別委員会では村岡正嗣県議が委員として参加し、県民の切実な願いをとりあげ質疑を行なった。昨年2月の大雪による農業被害について、被害の大きかった深谷市でのハウス再建完了率が46%程度であること、農家には1円も補助金が届いていないことを取り上げ、知事は3月中に深谷市に44億、全県で109億円を支払い、個々の農家には今年7月に支払いを完了すると答弁した。
また、障害者団体の強い願いである入所系施設に関連して、県営住宅内への障害者グループホームのモデル事例づくりを求めた村岡県議に対して「難しいことではない」「可能性をしっかり検討する」と答弁した。
請願への各党派の態度
一、本定例会には県民より、いくつかの請願が提出され「幼稚園保護者への父母負担軽減金(一般)の復活を求める請願書」は委員会で継続とされた。共産・社民は直ちに実施をもとめ委員会の態度に反対をした。「子ども医療費助成を18歳までに引き上げを求める請願」は共産・社民以外の全ての会派によって不採択、「認可保育所を増やし希望する子どもの全てが入所できることを求める請願」「原発に関する埼玉県民投票を求める請願」「消費税の10%への増税の中止を求める意見書の提出について」「集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し安保法制の立法作業を中止するよう国に求める意見書を採択」するよう求めた請願は、共産・社民・民主以外によって不採択とされた。
「不祥事の再発防止対策を求める決議」が自民党・民主・刷新によって提出された。党県議団は閉会間近に決議案を提案するという議会運営のルールを無視したやり方を批判した。(公明・共産の反対のみで可決)
以上