埼玉県の上空は誰のもの?羽田増便によって増える危険な市街地上空飛行  予算特別委員会

2018年度の県予算を審査する埼玉県議会予算特別委員会が開かれ、日本共産党からは村岡まさつぐ県議と前原かづえ県議が質問を行いました。

 

県民を危険にさらす市街地上空飛行

3月5日、企画財政部の審査において村岡県議が羽田空港の機能強化による増便問題について質問しました。

国は外国人観光客の誘致を拡大し、2020年の東京五輪で増大する航空需要をまかなうために羽田空港での国際線を増便するとしています。その為、羽田空港上空が超過密で現在の飛行ルートでの増便は困難なことから、埼玉県及び都心上空の低空飛行を解禁して発着回数を増やす計画です。

村岡県議は戦後、埼玉県内で起こった自衛隊機と米軍機の26件の重大墜落事故一覧を示しながら、「航空機がそもそも市街地上空を飛行すること自体が住民にとっては危険。羽田増便によってその危険性がさらに増大するとの認識はあるのか」「地方空港への分散などを含め必要な可能性をすべて検証すべきと国に求めるべき」と県に見解を求めました。

県は国に対し安全対策の実施を求めていくと述べるにとどまりました。

 

民間飛行ルート歪ませる横田空域の存在

羽田空港上空が過密のため、飛行ルートを市街地上空に設定せざるを得ない大きな要因は、羽田空港の すぐ西に広がる米軍の管制下にある通称「横田空域」の存在です。日本の上空であるにもかかわらず日本の航空機は自由に飛べず、羽田空港でも余計な迂回を強いられるなど、費用や時間の面でも大きな負担を強いられています。

村岡県議は民間航空会社でつくる定期航空協会の「横田空域の返還により、効率的な飛行経路の柔軟な設定が可能となる」という提言を引用しながら、新ルート問題の根本にこの横田空域があると述べ、「羽田増便による市街地上空での飛行を回避し航空機事故や被害を未然に防ぐために、横田空域の返還を求めるよう、国に強く働きかけるべき」と県に要求。  

県は「国の説明では、羽田空港の発着回数は横田空域によって制約を受けているわけでは無いが、横田空域の返還は首都圏空港の機能強化につながるため、これまで国に要望してきた。引き続き今後もしていく」と答えました。

 

差し押さえは、最後の手段

総務部・県民生活部審査では、前原県議が県税・市県民税の徴収問題について質問。

県は滞納整理に精通した職員を「徴税マイスター」に選任し、人材育成などに力を入れています。

前原県議は、徴税マイスターの方の「滞納者と向き合い、時には一緒に納付の計画を考える」「感情のこじれを生む差し押さえは、最後の手段」という声を紹介しながら、「まず、手持ちの納税資産を生み出すことを一緒に考えるというマイスターの方針を、徴税に係る職員に徹底すべき」と指摘。

県は「徴税に関しては徹底した財産調査、滞納に至った状況も聞いて対応している」と答えるにとどまりました。

 

自立を応援することこそが収納につながる

前原県議は「差し押さえ件数や収納率で表彰したり、市町村や職員を競わせるべきではない」「自立を応援することこそが収納につながる」「現在2人しかいない徴税マイスターの増員を」と要求しました。

県は「熟達したマイスターの今の数を増やすのは難しい状況だが、若手職員にしっかり技術を伝授できるようにしていきたい」と答えました。

さらに「窓口で申請書を渡さないなど納税緩和措置の周知徹底がなされていない」「財産が無ければ基準に基づいて納税猶予もするべき」として県の姿勢を質しました。

県は「財産が無かったり困窮している方の状況によっては法にのっとって(徴収の)執行停止などの対応を考えていく」と答弁しました。