埼玉県議会6月定例会は7月6日、閉会しました。日本共産党埼玉県議団の柳下礼子 団長が今定例会を振り返り、以下の談話を発表しました。
2018年7月6日
日本共産党埼玉県議会議員団
団長 柳下礼子
6月定例会を振り返って
6月定例会には、埼玉県税条例、旅館業法施行条例改正条例をはじめ8本の知事提出議案が審議、可決・承認・同意されました。党県議団は、知事提出議案に賛成しました。
オスプレイの横田配備撤回を一般質問で求める
6月26日には柳下礼子団長が、本会議一般質問にたち、知事を質しました。欠陥機であり事故率の高いCV22オスプレイは特殊作戦用輸送機であり、飛行情報が事前に提供されないとして、米軍横田基地への配備撤回を求めました。知事は「日本は主権国家として、米国側に様々な点で事前通知の要求を遠慮しているというきらいがあ」ると答弁、事前通知を強く求めていく意向をしめしました。そのほか「東海第2原発の再稼働反対」「ホンダ狭山工場の廃止撤回」「県農業大学校跡地への軍需産業移転は許されない」「障害児の放課後デイサービス報酬改定見直しを」「公立病院の独法化は認められない」「これ以上の県立高校の統廃合は許されない」などのテーマについて質問しました。
原発廃止を求める請願など原発関連請願不採択
7月2日、議会運営委員会は、全ての原子力発電の廃止などを求めた請願など原発関連の3請願を、各会派の討論も認めず不採択と決しました。
昨年12月定例会で、全国でも例のない「原発再稼働を求める意見書」が自民党・県民会議らによって可決され、その後2月定例会には、「国内のすべての原発について再稼働させないことを国に求める請願」など3本の請願が提出され継続審査とされていました。7月3日の議運では委員長による、3請願を採決抜きで不採択とする提案に対して、党県議の秋山委員が、通常通り採択を求める意見を述べようとしたところ、田村琢己委員(自民党)が「手続きの問題だ(内容に入るべきではない)」として制止し、委員長が起立採決を強行しました。賛成は共産のみで不採択と決せられました。
また環境農林委員会に付託された「東海第二原発の運転期間の延長をしないように求める」請願など2本も7月3日に、自民党によって不採択とされました。「埼玉県の再生可能エネルギーの活用を増やすことを求める請願」は全会一致で趣旨採択となりました。
特養整備予算執行停止の解除は当然
「特別養護老人ホーム等整備事業費」について、議会での報告確認がとれるまで予算の執行を停止するとした付帯決議が、2月定例会予算特別委員会で自民党により可決強行されていました。今定例会では、埼玉県地域保健医療計画特別委員会において、県内特養の空床の状況や介護士確保の方策について、執行部より報告を受け、審議が行われたうえで、7月6日の閉会日の本会議で「埼玉県高齢者支援計画(第7期)に対する決議」が可決され(県民以外の賛成多数)執行停止を解除しました。飯能市議会が「特別養護老人ホーム整備事業者募集の早期開始を求める決議」を採択したことをはじめ、県民の運動の成果です。
全国知事会の認識を問う決議強行こそ、議会制民主主義をゆがめる
「旧優生保護法により不妊手術を受けた当事者に対する補償等を求める意見書」(全会一致)「県内全域における乳幼児医療費の窓口無料化を求める決議」(県民会議のみ反対)が採択されました。
党県議団は自民党提出の、「全国知事会の認識を問う決議」と社会資本及び民間建築物の耐震化の促進を求める意見書」(案)に反対し、閉会日に村岡県議が討論しました。
「全国知事会の認識を問う決議」についてですが、これは、知事が多選自粛条例を改廃することなく、知事選に出馬したことを「許されない」として、議会が議決した条例を守らなくてよいなら「議会と議員は不要になる」「つまり議会制民主主義の完全否定につながるものである」とまで批判し、上田知事を全国知事会会長に就任させた全国の知事の認識を問うたものです。全国知事会に対して、自民党会派として意見表明するのは自由です。わが党県議団は、立候補は個人の自由意思であり、選ぶのは有権者の自由意思であると考え、知事の多選自粛条例に反対したことから、同条例の厳守を求める決議には反対しました。県議会で過半数を占めるからと言って、議会の決議として押し通そうとする、それこそ議会制民主主義を歪めるものです。
社会資本及び民間建築物の耐震化の促進を求める意見書について、社会資本の老朽化対策はじめ耐震化の促進は、誰もが願い賛成できる大事なテーマであることは言うまでもありません。しかし、意見書の中に、現在国会で審議中の水道法改定案早期成立を求める項目があり、反対しました。同法案は、地方自治体の水道事業の運営権の民間企業への委託を推進するものです。水道民営化では、国民の生命にかかわる分野で利益が優先され、老朽化などの諸課題の解決に逆行し、人件費削減やサービス後退を招くことは必至です。
特別秘書給与についての監査請求、提出者の姿勢に違和感を覚える
閉会日、本会議の冒頭に「監査請求に関する動議」が自民党より提出されました。(自民党のみ賛成)これは知事の特別秘書への給与について、地方自治法第204条第3項に規定する給与条例主義に抵触する疑いがあるとして、監査を請求するものです。
しかし、特別秘書給与については、「特別職の職員の給与及び旅費に関する条例」において、「一般職の職員の例により知事が定めるもの」と規定されており、給与条例主義に抵触するとまではいいきれないと考えます。伊地知特別秘書の公開された特別秘書給与額1100万円あまりというのは、県部長級職員の給与水準にならうものです。知事特別秘書の職責に鑑み、県部長職の給与総額に倣うという県の基準は、妥当であると考えます。昭和47年以来、自民党土屋知事も含めた長期にわたって、この運用が行われてきました。今に至って、このような申し立てを行う提出者の姿勢には、違和感を覚えます。
以上