6月26日、柳下礼子埼玉県議団団長は、本会議一般質問で、県立高校統廃合問題、県立病院の独法化問題などをとりあげました。
子どもたちの貧困状況調査もない、保護者・高校生のヒアリングもない
県教委は今年4月に「魅力ある県立高校づくり実施方策策定に向けて(再編整備の進め方)」として、2029年度までに、10~13校程度の県立高校を統廃合する計画を公表しました
柳下県議は、「進め方」が、子どもの貧困状況について調査・分析していないこと、保護者、高校生、地域の人の意見を聞いていないことなどから、高校統廃合先にありきだとして、認められないと質しました。これに対して、小松弥生教育長は「県立高校の再編整備は生徒数の減少に対応し、適正な学校規模の維持と社会のニーズにこたえる特色化を図るもの」だとして、経済的困窮などの問題は再編整備に関わらず、県立高校の重要課題であると答えました。
少人数学級、給付制奨学金を先行すべき
埼玉県教委は、1999年の「いきいきハイスクール構想」にもとづき、全日制高校を19校、夜間定時制を14校減らしてきました。その際、地元首長はじめ議会、保護者、OBほか地域住民の存続を求める多数の要望が寄せられました。
柳下県議は、魅力ある県立高校づくりというなら、少人数学級や修学旅行などの負担を軽減する給付制奨学金を先行すべきだと主張しました。
職員処遇切り捨て、患者負担の増大の独法化
2007年、総務省は「公立病院改革ガイドライン」を発表し、全国の自治体に対し、公立病院に地方独立行政法人も選択肢とする「経営形態の見直し」を迫ってきました。本県おいても「埼玉県立病院の在り方検討委員会」で検討が始まっています。
柳下県議は、全国で初めて独法化に移行した大阪府立病院をとりあげました。大阪府立病院では、パナソニック出身の副理事長を中心に、徹底した経営論理が強調*され、看護師の給与削減など職員の処遇切り下げ、高額な個室料金など患者負担の増大で収益改善を実現しました。柳下県議は公立病院の根幹を否定するような独法化は認められないと、質しました。
岩中督病院事業管理者は「周産期や救急など高度専門、不採算医療についてはまさに公立病院が担うべき役割です」「今後県立病院の在り方を検討していくうえでは診療現場の職員と意見交換していくことも大切」「県立病院の在り方に関する勉強会を開催し、4病院のすべてで述べ千人を超える職員が参加している」と答弁しました。
循環器センターは救命救急を 小児医療センターは医師派遣を
柳下県議は県立病院が果たすべき役割として2点提案しました。
循環器・呼吸器病センターについてさらなる拡充をし、救命救急機能を担うべきだという提案については、「対応可能な領域に限るが、重篤な救急患者を積極的に受け入れ、平成29年受け入れ実績は4147人に上る」として、引き続き医師の確保を図り県北地域における救急医療を支えていくと答えました。
また、小児科・周産期医療を支えるために、小児医療センターの医師体制を強化し、今以上に各地に小児科・新生児科医師の派遣を行うべきという提案については「県の施策に協力して医師を派遣するためには、まだまだ体制が十分ではなく、地域の病院に常勤医師を派遣することは現時点では困難。まずは、医師の確保に努める」と答弁しました。