金子正江県議が意見書・決議について反対討論

12月22日、定例会最終日において金子県議が議員提出議案に対して反対討論を行いました。全文は以下の通りです。

 

原発の被害はどこまでも広がる危険が

日本共産党の金子まさえです。党県議団を代表して、議員提出議案に対する反対討論を行います。

初めに議第36号「原子力発電所の再稼働を求める意見書」案についてです。

本意見書は冒頭で「エネルギー政策の基本は、安全性を前提と」すると述べていますが、この立場に立つならば、本意見書には反対する以外に選択肢はありません。

福島第1原発の事故から6年半が経過した今も、なお、6万8千人が故郷に帰ることができずにいます。原発は、ひとたび重大事故が発生し、放射性物質が外部に放出されると、もはやそれを抑える手段は存在せず、被害は、空間的にどこまでも広がる危険があり、時間的にも将来にわたって危害をおよぼし、地域社会の存続さえも危うくします。被害がどうなるかを空間的、時間的、社会的に限定することは不可能です。このような事故は、他に類をみることができません。

だからこそ、原発再稼働に反対する声は、産経・読売新聞を含めどの世論調査でも過半数を超え、揺るがないのです。

 

原発の再稼動は中止し、廃炉のプロセスに入るべき

意見書案には、「原子力規制委員会により、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原発の、再稼働を進める」とあります。しかし、12月14日広島高裁は、伊方(いかた)原発について、原子力規制委員会が、新基準に基づき適合としたことを不合理だとして、運転差し止めを命じる決定を出しました。現在の原発技術は、本質的に未完成で危険なものであり、規制委の新基準では原発の安全性を保障することはできません。

安倍政権は、エネルギー基本計画で、2030年度に全電力供給の20%から22%を原発で賄う目標を掲げています。これは、30基程度の原発再稼働が、前提となっています。国民の命と安全を置き去りにした暴走としか言えず、これを推進するような意見書は絶対に認めることはできません。政府は「原発ゼロ」の政治決断を行い、原発の再稼働を中止し、すべての原発で廃炉のプロセスに入るべきです。再稼働させた原発は、停止を求めます。

 

 

投票の有効性は各選挙管理委員会判断によって

続いて議第37号「国民の意思を正しく反映させるため選挙事務の改善を求める意見書」案についてです。

本意見書は「衆議院比例代表選出議員及び参議院比例代表選出議員の選挙における投票に係る有効・無効の判断基準を明確にすること」とありますが、投票の有効性の判断は、多様なケースを想定して、各選挙管理委員会にゆだねられており、中央選管での一律な判断には限界があります。また「政党に対し特定の略称を使用させない」とありますが、政党の自由を拘束しかねず賛成できません。

 

日本政府に対しTPP11と日EU・EPAからの離脱を強く求めるべき

続いて、議第39号「畜産関係者による収益性の向上に係る取組への支援を求める意見書」案についてです。本意見書はTPP11及び日EU・EPAの発効を前提として、畜産農家への支援強化を国に求めたものです。しかし、TPP11等について、政府は「大筋合意」「大枠合意」と称していますが、アメリカの不参加のもと20項目もの凍結事項が残り、国会でも「見せかけの合意」だとして、附帯決議等で「その詳細を検討し、国民に情報を開示する」ことを要求されています。合意発表後には、カナダの大統領が「急いで合意はしない」と態度を翻しています。

意見書にもあるように「TPP11及び日EU・EPAにより安価な輸入品との競争にさらされることになる国内農業者はなお懸念や不安を抱えてい」ます。TPP11等はまだ発効されたわけではありません。本県議会の「TPP交渉に関する決議の遵守を求める意見書」の立場を堅持し、日本政府に対しTPP11や日EU・EPAから離脱するよう強く求めるべきです。したがって、本意見書には反対です。

 

募金活動禁止の決議は議会の役割になじまず

最後に議第40号「県立病院の組織及び経営の改善を求める意見書」案についてです。

本意見書は、本年6月県立小児医療センターにおいて診療報酬請求事務を怠り、県に損失を生じさせた件について「当該職員に対する損害賠償請求を直ちに取りやめるとともに、すでに支払われたものを返還すること」「職員の募金を直ちに取りやめるとともに、すでに支払われたものを返還すること」を求めたものです。問題の件自体は、あまりにも重大な不祥事であり、病院局は監査委員の指摘を謙虚に受け止め、再発防止に全力を尽くすべきと考えます。しかし、当事者双方納得の上での合意事項や、職員の募金活動に対して、県議会が決議をもって合意をまげ、活動を禁止するというやり方は、議会の役割になじまないと考えます。したがって、本決議案に賛成することはできません。

以上です。