12月定例会が閉会、本定例会を振り返って

2017年12月22日

日本共産党埼玉県議会議員団

団長 柳下礼子

 

12月定例会を振り返って

一、12月定例会には、台風21号被害対策を中心とした平成29年度埼玉県一般会計補正予算をはじめ40件の知事提出議案と11件の議員提出議案が審議に付され、党県議団は知事提出議案34件に賛成・同意した。また議員提出議案には埼玉県小規模企業振興基本条例など7件に賛成した。

 

 

国保の構造的矛盾は国の負担で解決を

一、知事提出議案について、山西省友好記念館を廃止する条例は地元小鹿野町長・議長連盟の存続要望がでていることから賛成できない。

埼玉県国民健康保険などに関する条例は、国保の都道府県化を前提としており認められない。都道府県化によって、市町村繰り入れをやめる指導が行われ、保険税引き上げや、徴収強化、保険証取り上げがさらに強化される懸念がある。低所得者が多いにも関わらず、保険税額が高いという国保の構造的矛盾は、国の負担の抜本的引き上げで解決すべきである。

 

原発の再稼動は許されない

知事をはじめとする特別職の期末手当引き上げは、実質賃金の連続的引き下げで生活が苦しい県民感情に鑑み、賛成できない。

一方、県職員の退職手当を一人70万から80万円の幅で引き下げる条例には、5年前の引き下げと併せて500万円近い引き下げ額は、職員の人生設計を狂わせるとして、反対した。

一、議員提出議案である「原子力発電所の再稼働を求める意見書」案(賛成=自民・県民   で採択)には、原発が、ひとたび重大事故が発生すれば、被害は空間的にも、時間的にも、社会的にも限定することができないとして反対した。

 

小児医療センターの不祥事、県が介入すべきではない

また「国民の意思を正しく反映させるため、選挙事務の改善を求める意見書」(賛成=自民・公明・改革などで採択)には、投票の有効性の判断は、多様なケースを想定して各選挙管理委員会にゆだねられており、中央選管での一律の判断には限界があるとして、それぞれ反対した。

また、政府が大筋合意と称しているTPP11や日EU・EPAには、国会でも疑義が呈されており、まだ発効されていないTPP11等を前提とした「畜産関係者による収益性の向上に係る取組への支援を求める意見書」案(反対は共産党のみで採択)には賛成できない。

本年6月県立小児医療センターにおいて、職員が診療報酬請求事務を怠り、県に損失を生じさせた件について、問題の件自体はあまりにも重大な不祥事であり、県は監査委員の指摘を謙虚に受け止め、再発防止に努めるべきであるが、当事者双方納得の上での合意事項や職員の募金活動に対して、県議会が決議をもって禁止するというやり方は、議会の役割になじまないと考え、賛成できないとした。

 

一般会計と特別会計決算は認定できない

一、9月定例会より閉会中審査が行われていた「平成28年度埼玉県一般会計及び特別会計決算の認定について」「平成28年度埼玉県公営企業会計決算の認定について」は、①国民健康保険の都道府県化を前提とした支出、②マイナンバー制度の推進のための番号制度基盤整備事業費の支出、③重度心身障害者医療費助成制度の年齢制限、④県立小児医療センター移転費用、⑤思川開発など巨大開発への負担金などから認定できない。

 

前原県議の一般質問が県の姿勢を質す

一、前原かづえ県議が、本会議一般質問にたち、台風21号被害の被災者支援や、ホンダ狭山工場閉鎖問題、難病患者の申請手続きの負担軽減や、県外私学へ通う生徒に対する父母負担軽減金差別、県の医師不足解消のための総合診療専門医の積極的育成について取り上げた。特に、被災者に対して支援金を支給する「県・市町村安心支援制度」を豪雨災害にも拡充すべきだとの質問に、上田知事は「こういうことがまた起きているということも含めて、再度、市長会・町村会にお願いする」と再調整の意向を表明した。

また、10月にホンダ狭山工場閉鎖が公表された問題について、前原県議は「知事も狭山市も物わかりがよすぎる」と批判し、撤退による影響の調査と、ホンダに対して撤退するなと要求するよう知事に求めた。産業労働部長はホンダ撤退の影響が甚大であり、狭山市と協力して関連会社訪問を行うと答弁し、知事も「狭山工場活用を期待している」「ホンダが今般の計画をどのように実施されるか把握したうえで、地元狭山市や商工団体とともに具体的に対応する」と答弁した。

 

35人学級の実現など、県民の願いを県が不採択

一、政務活動費の支出を証明する領収書のインターネット公開をもとめる請願が9月定例会から継続とされていたが、「現在係争中の案件もある」という理由から、県民・共産以外の会派によって不採択とされた。

党県議団紹介の35人学級などを求めた「ゆきとどいた教育をすすめるための請願」は、5万超の署名数にもかかわらず、共産党以外の会派によって不採択とされた。同様に党県議団紹介で、2万超の署名を添えた「所得税法第56条の廃止を求める請願」も自民・公明・県民らによって、6万もの署名を添えた「教育負担の公私格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める私学助成についての請願」も共産党以外の会派によってそれぞれ不採択となった。

以上